ツール・ド・サンルイス2016 6日目
ツール・ド・サンルイス 6日目
クラス:1クラス ステージレース
開催国:アルゼンチン
距離:159.5km
天候:晴れ
コースはラ・トマを出発し北と東に曲がりながら進み山岳に入りメルロにゴールするコース。
146.4kmに3級山岳ポイント、152.0kmと159.5kmのゴール地点に1級山岳ポイント、47.0kmと136.3km地点に中間スプリントポイント地点が設置されていた。
レース前のミーティング
ホテルの部屋でミーティング後に車で移動、スタート前にもミーティング。
自分への指示は明日があるので絶対に逃げなければいけないという訳ではないという感じ。
特にスタート直後は逃げたいチームがこぞってアタックを仕掛け合うので、そこには参加せず、その後に勢いが落ちて来れば逃げの為にアタックしてみても良い。
ゴール前の10km以上の坂も有るのでそこである程度で登れるくらいには体力を残しておくように。
逃げに乗れなければチームのメンバーと同じ所にいる事。
特に今日は横風と向かい風がキツイことが予想されるのでいつも以上に近くに居るように気を付けて一緒に動くようにという指示。
レースレポート
スタートラインに並びに行くとそこそこ前方に並ぶことが出来た。
パレードスタートが始まり前に上がろうとする。
コーナーが連続したり道幅が急に狭くなったりしていたせいで、あまり前に上がることが出来ずにいるとリアルスタート地点を越えてレースが始まる。。
初端から逃げに乗る必要は無いと言われていたこともあり、焦らず集団の中盤より少し上で前に上がるタイミングを見計らう。
スタート直後は向かい風が強く集団内にいると少し余裕を持って付いて行ける。
集団の先頭では向かい風を切り裂いてアタック合戦が行われているのだろう。
先頭の様子を見て見ようとしたが、背が低いため前が見えない。
集団の速度が遅いこともあり集団の前方は結構詰まっている。
なかなか簡単に上がれそうにない。
上がれない内に逃げが決まってしまえば、それはそれで仕方がないと思いながら付いて行く。
進行方向が若干変わったことにより横風が少し吹き出した。
更に、地形も緩やかなアップダウンの連続する丘陵地帯に入った。
向かい風が弱まったおかげで集団のペースが上がる。
横風とアップダウンの影響で団子状態だった集団が縦に伸び出す。
集団の両サイドにスペースが出来たので先頭付近にまで上がる。
アタック合戦はワールドツアーチームも逃げようとアタックをかけるかなり激しいものだった。
これに参加すると疲労が半端無いと判断し、しばらくは様子見ることにする。
ワールドツアーチームは当然の様に潰し合っているのだが、それ以外にもアルゼンチンの選手が逃げようとした際には明らかに他の飛び出しとは違う勢いで潰されている。
昨日アルゼンチンの選手が3人逃げ切ったことが原因だろう。
しばらくしてアルゼンチンとワールドツアーチームのどちらでもない選手が2人飛び出す。
そろそろ決まるタイミングかな?と思いその2人を集団から飛び出して追いかける。
追いついて後ろを見ると数名の選手がそれぞれ単独で追いかけて来ていたが、集団からは少し離れている。
追いかけて来ていた選手も合流し2、3回ローテーションしたところで集団に追いつかれる。
集団の後ろに下がってしまうと前に上がって来るのが大変なので出来る限り集団の前の方に合流する。
そこからは集団の先頭付近にひたすら付いて行く。
アタックが何度もかかり、そのたびに追いかけて集団のペースが上がるので相当キツイ。
横風も吹いているので集団の後ろは地獄絵図だろう、前に上がって来ていて良かったと心から思う。
いきなり強くなる横風が原因で選手が煽られてふら付く。
そのせいで選手同士の接触が起き、ぶつかられた選手がぶつかって来た選手にキレている光景が増えてくる。
アタック合戦が長くてしんどいことも原因だろう、集団自体の雰囲気も結構悪い。
アタックがかかる毎に「アタック合戦終了!」という声が集団から上がるようになって来るが、逃げたい選手がその声を無視してアタックすることで集団もそれを追いかけるので中々終わらない。
しかし、アタック合戦終了の声が上がって来たという事は、逃げが決までそう時間はかからないだろう。
逃げたいのであればここがチャンス。
アルゼンチンやワールドツアーチーム以外がアタックしたことを確認して自分もアタック。
後ろで「アタック合戦終了!」の声が聞こえる。
飛び出した数名でローテーションしてペースを上げる。
集団とは少し離れている。
これは決めれる!と思い全力に近い力でローテーションを続ける。
何度かローテーションをしていると今まで居なかった選手がローテーションに入って来る。
追いつかれたのか?と思い後ろを見ると、集団は離れているが飛び出している選手が15名程になっている。
追いついて来たメンバーにはワールドツアーチームの選手が結構な人数とチームメイトのグレガがいた。
強い選手が大量に逃げに入ったことで集団は1列になって追いかけて来ている。
追いかけてくる集団から力ずくで逃げようと半端無いペースのローテーションが始まる。
先頭に出るのがかなり辛い。
ローテーションをしていると、サガンも飛び出したメンバーに入っていることに気が付く。
昨日と違い本物のアルカンシェルだ。
飛び出した集団に強い選手が多すぎる。
いくら登りゴールのレースとはいえ逃げに入っている選手がここまで強いと逃げ切りもあり得るかもしれない。
それを防ぐためにも集団は全力で追いつこうとするだろう。
この逃げは決まらないと判断して出来る限りローテーションに入らないようにする。
自分と同じ考えの選手が多いようで、ローテーションに入りたがらない選手が増えて逃げのペースが上がらなくなる。
しばらくして集団が追いついてくる。
自分達が追いつかれた際にアタックをかけた、グロースを含む数名の逃げが決まった。
スタートから30km程の距離だった。
そこからは疲労を回復させながらチームメイトと一緒に動く。
何度かボトルも取りに行く。
だいたい30分~45分くらいでボトル1本分(600mℓ程)を消費する。
横風が吹きそうなところでは全員で集団の前方に上がっていたおかげで後ろにいるよりは楽に走ることが出来た。
それでもペースが速い際にはしんどいことも多々あった。
横風の区間が全て終わり140km地点を通過。
予想していた以上に疲れている。
スタートしてから145kmが過ぎ、道の勾配が徐々にキツクなっていく。
後はどこで集団から離れるか。
あまり速く離れすぎるとタイムアウトになる可能性がある。
ある程度選手が遅れたことを確認してから、自分の近くに居た選手が集団から遅れるのに合わせて集団からそっと離れた。
そこからはある程度の楽なペースを維持しつつ数名で集まって登って行った。
かなり風が強く登りであるにもかかわらず風圧を感じるほどだった。
登りの途中では横風が半端無くキツクまっすぐ走ることが困難な場所もあった。
少し前を走っていたチームメイトのニーバリが風に耐えきれず地面に足を付いてしまい、再スタートしようとするが風が強すぎてスタート出来ず、何故かUターンして下っていき、最終的に数メートル下ったところでこけるという珍事が発生していた。
感想
今日もここ数日とあまり変わらず集団内に居た時間が多かったがしんどさ的には1番しんどかった。
蓄積してきている疲労もあるとは思うが横風でジワジワと疲労させられたことが原因だと思う。
明日が最終日という事で気が緩みそうになるが、そこをこらえて明日の最終ステージのゴールラインを越えるまでは集中を切らさないようにしたい。
また、明日は平坦ステージなので自分に与えられる仕事をしっかりとこなせるように頑張って走りたい。
キツさレベル
7
「ここが特にしんどかった」と記憶に残っている場面と言えば最初のローテーションだけだったにもかかわらず、レース後半の疲労度合はここ最近で一番だった。
全体的に休める部分が少なくある程度の力を出し続けていたことが原因かもしれない。
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