アンチドーピングに関して

アンチドーピングに関しての自分の個人的な見解と解説につていです。
疑問がある人もそうでない人もはぜひ見てください!


自分が学生であったころには海外で起きた問題としてしかドーピングに目を向けていませんでしたが、自分が活動の場を移したここ数年においては身近な場所で問題が起きているように感じます。
そこで今回はドーピング問題に関して自分の考えを述べていきます。


1.競技会・ドーピングチェック時における使用物質の確認に関して
2.アンチドーピング禁止物質の確認方法に関して
3.禁止物質の変化に関して
4.メーカーの対策に関して
5.TUEに関して
6.TUEが必要な選手に関して
7.チームの対応等に関して


1.競技会・ドーピングチェック時における使用物質の確認に関して


まず、アンチドーピング違反に関して、これは完全に選手個人の自己責任であると自分は考えています。
その一番の理由として「選手自身が摂取している物についてはその本人しか完全に把握することが出来ないから」が挙げられるためです。
自分が今まで参加してきたて国際大会を始めとするドーピングチェックが行われる大会においては必ずレース前に「摂取した物質の申請書」がチーム単位で配布されています。
チームは事前に選手からレース前に使用した薬やサプリメントの聴取を行いここに記載して提出します。
選手はどのような物であれ、使用している物があればその時点でチームにそれを伝えます。
この手順において選手が自己申告しない限りチームは使用状況を把握することが出来ません。
また、アンチドーピングチェックの場においても自分が摂取した物質を自己申告することが可能です。
テストの結果を記載する用紙に申告用の専用欄が設けられており、そこに自分が摂取したものを記載します。
用紙の欄自体は狭いのですが希望すれば別紙にも記載することが可能で、ここには薬だけでなくサプリメントの類も記載することが可能です。
心配であればプロテインやビタミン剤のメーカーから固有名称まで記載することが可能で、万が一サプリメント等の汚染により意図せず禁止物質を摂取してしまっていた場合には記載された内容が考慮されます。
このように競技参加前とアンチドーピングチェック前の二段構えで摂取した物質の申告の場が設けられています。
そしてこの二つのどちらの場面においても申告するのは選手自身なのです。
選手自身が自分の摂取したものを把握し危機管理を行い責任を持つ必要があるのです。
これは自分がプロになる前から、アンチドーピングテストを初めて受けた高校生の頃から変わっていません。

もっとも、ここまで記載した内容はアンチドーピングの最終段階における話です。
根本的な話において選手はアンチドーピングに反する物質を摂取しないことが大前提となっています。



2.アンチドーピング禁止物質の確認方法に関して


よく「選手は薬を服用することが出来ずたいへん」という話が出ますが、あれには間違いがあります。
選手は「一般販売されている薬や漢方薬」を服用することが出来ないだけで「抗生物質を始めとする風邪薬」を使用することは可能です。
風邪や体調不良になった場合には病院にて「選手であること」「漢方薬が使えないこと」「抗生物質は使用可能であること」を説明して処方してもらう薬を調整してもらいます。
基本的に抗生物質であれば心配する必要はありません。
しかし世界で最も病院数が多い日本、全ての医師がそういった事情を把握しているわけではありません。
選手自身が使用可能な薬を把握し処方された薬が安全であるかどうか確認する必要もあります。
そのためのサイトや資料もちゃんと準備されているのです。
公益財団法人日本スポーツ協会のアンチドーピングページ(http://www.japan-sports.or.jp/medicine/doping/tabid537.html)のアンチドーピング使用可能薬リスト(http://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/supoken/doc/2018antidoping.pdf)には常に使用が可能な薬が紹介されています。
逆に禁止物質のリストである禁止表国際基準もWADAから発表されており、https://www.realchampion.jp/assets/uploads/2018/08/2018_ProhibitedList_JP.pdfにて確認することが可能です。
使用可能物質リストには常時無条件で使用可能なもののみが紹介されていますが、使用量上限や摂取方法に制限のある限定付きの利用可能物質は紹介されていません。
また、禁止表国際基準に関しては36ページにわたるPDFに禁止成分が記載されているため確認が大変という面もあります。
そこでそれらをさらに使いやすく、調べやすくしたものにGlobal DRO JAPAN(https://www.globaldro.com/JP/search)というサイトが存在します。
このサイトでは競技を指定し薬の名前を検索することで使用の可否と存在するのであれば限定条件(使用上限や摂取可能な方法など)が表示されます。
非常に複雑なアンチドーピングの禁止物質のルールに関して検索することにより一発で把握することが可能なため非常に便利です。
調べただけでは心配という方にはスポーツファーマシストに直接相談することも可能です。
JADA(Japan Anti-Doping Agency)はアンチ・ドーピングの知識を持つ薬剤師さん約6000人をスポーツファーマシストとして認定しています。
全国にいるスポーツファーマシストを検索できるサイト(http://www3.playtruejapan.org/sports-pharmacist/search.php)も用意されており、自分の身近に済んでいるファーマシストを見つけて電話や直接相談することが可能です。
一番確実な方法は病院で出してもらった処方箋を持ち込み、確認してもらいながら薬を受け取る方法でしょう。



3.禁止物質の変化に関して


禁止物質は毎年追加と削除が行われ変化し続けています。
昔はカフェインが禁止物質に含まれていたこともありました。
後年に追加された禁止物質であっても以前の検体からその反応が見られれば処罰の対象となります。
しかし、これに関しては深く心配する必要は無いでしょう。
なぜなら新規で追加される禁止物質というのは「その時点では検出することが出来なかった、あるいは認識されていなかったがために処罰対象から漏れていた物質」であるからです。
一般的に処方されるような薬が後年に追加されることはまず無く、明らかに競技能力向上目的で開発されたものが該当します。
もし、万が一にでも「ドーピング違反ではないけど、この薬とっても効くよ」と伝えられて薬を渡されたなんて場合にはそれに該当する可能性があります。
絶対に服用しないようにしましょう。
自分が摂取するものは成分が完全に把握でき安心して使用できる物のみにする必要があります。
そのために上記の手段を用いて確認する必要があるのです。



4.メーカーの対策に関して


薬以外でもごく稀にサプリメント等から禁止物質が検出されることもあります。
サプリメントも薬と同様に成分が明記されている物を使用するに限ります。
しかしここには一つ落とし穴が存在しています。
それは「サプリメントは食品と定義されており、含まれている成分を全て表記する義務がない」という点です。
成分表に記載が無いからといって絶対に安心できるとは限らないのです。
サプリメントメーカーもその状況に対策をとっています。
メーカーによってはアンチドーピング検査機関に成分検査を依頼し、検査結果を安全の証明としています。
自分が使用しているchoiceのサプリメントもその内の一つでLGC社において成分分析の結果で安全が保障されています。
また、キナンサイクリングチームが使用している「サンプロテクト ファイター」は日焼け止めとして日本で初めてアンチドーピング認証を取得した製品です。
製品によっては目薬から禁止物質が出ることもあるので選手は細心の注意を払って選びます。
その際に検査機関で成分検査を受けており安全が保障されている製品は選手でなくとも安心して使うことが出来ます。
選手だけでなくすべての人に安心して使ってもらうために、またそれを証明するために企業は様々な手間と時間をかけているのです。



5.TUEに関して


ここまでは禁止物質を不意に摂取しないための手段を紹介してきました。
しかし選手であっても治療等によって禁止物質を投与しなければならない場合もあります。
そういった場面においてはTUE(Therapeutic Use Exemption、治療目的使用に係る除外措置申請) を申請し、承認を受けることによってドーピング違反認定を回避することが出来ます。
JADAのTUEに関するページ(https://www.realchampion.jp/process/tue)に記載があるようにTUEの承認には条件が存在し

治療をする上で、使用しないと健康に重大な影響を及ぼすことが予想される
他に代えられる合理的な治療方法がない
使用しても、健康を取り戻す以上に競技力を向上させる効果を生まない
ドーピングの副作用に対する治療ではない

となっています。
病気やケガにより禁止物質を使用しないと治療することが出来ないといった場合に限り、事前に申請し承認されることで使用許可が出ます。
原則としてTUEが必要とされる大会の30日前までに申請する必要があります。
日本の自転車ロードレース競技の国内大会においてTUEが必要とされるものは「国体育大会」「全日本選手権ロードレース」「全日本選手権ロード・タイムトライアル」の3大会になります。(https://www.playtruejapan.org/2018-tue/より)
国際大会やUCIレースでもアンチドーピング検査が行われているのでTUEの申請が必要です。
また、救急治療や急性病状など突発的な事情による治療で禁止物質や禁止方法を使用した場合には「遡及的TUE申請」という方法で申請することが可能です。
その際には通常のTUEの申請書類に加え、「緊急性を証明する医療記録」が必要になります。
「遡及的TUE」は大会の有無に関係なく速やかに申請する必要があります。
TUEに必要な申請書はJADAのホームページ(https://www.realchampion.jp/download/6)からダウンロードすることが可能です。
TUE申請書は選手本人の情報だけでなく医学的情報を伴う診断内容などを医師に記載してもらう必要があるため、非常に手間がかかります。
またTUEは提出したからといって確実に認められるものではなく、厳密な審査が行われます。
却下された際には別の手段を模索しなければならないので「禁止物質や方法を使用しなければいけないかもしれない」という選手は早めに申請を行うようにしましょう。



6.TUEが必要な選手に関して


TUEの申請が必要な選手と申請ステップに関してはJADAのホームページの画像で紹介されています。
TUEの申請に関して
難解に見える画像であるためわかりやすく解説します。
まず理解しておく必要があるのが「RTPA(Registered Test Pool Athlete)」です。
これは競技会外検査対象のアスリートのことを指します。
自分がRTPAに当てはまるか否かは「ADAMS」を提出しているかどうかで一発で分かります。
このシステムの内容は今回の内容から逸れますので割愛します。
自転車ロードレースの世界で「RTPA」に当てはまる選手は「オリンピックやアジア大会といった国際大会に日本代表で参加した選手」か「プロコンチネンタル以上のチームに所属する選手」に限られます。
(こういった選手はアンチドーピングに関して特別な指導を受けているので、いまさら自分が説明する必要が無いので説明を省きます。)
よって国内の選手は殆どが「RTPAではない」選手となり、画像で緑色に色分けされている箇所に該当します。
複数のパターンが紹介されていますが、一番左列の中断の「対応不要」以外は申請する必要があります。
「対応不要」の箇所はアンチドーピングテストが行われない大会です。
「TUEの申請はアンチドーピングテストが行われる全ての大会で必要である」と覚えておけば問題ありません。
フローチャートが複数に分かれてはいますが、アンチドーピングテストが行われる大会の30日前までに申請し、その結果次第で複数のパターンに分かれます。
TUEを申請する必要がある選手は、まずは大会の30日前までの申請を絶対に守るようにしましょう。



7.チームの対応等に関して


アンチドーピングに対してチームとしても様々な取り組みを行っています。
基本であるアンチドーピングの講習の実施、チームドクターによる薬やサプリメントの管理、プロコンチネンタルチームに所属していた際はレースごとにホテルの住所が連絡されていました。
ドーピング違反者がチームから出ることはイメージダウンに繋がる問題です。
それだけでなく一定の期間内に複数の違反者が同一チームから出た場合、そのチームは活動を停止させられてしまいます。
チームの活動を守るためにも違反者が出ないようにチームも注意を促し可能な範囲でコントロールを行っています。
それと同時に罰則が定められている場合もあります。
具体的には「ドーピング違反を犯した際に給料の〇倍の違約金を請求する」といったようなものです。
違約金の請求はチームだけでなく参加した大会や個人スポンサーなど様々方面から発生する可能性があります。
選手は広告塔であり「良いイメージを持ってもらうために活動している」のだという自覚を持つ必要があるのです。


悪意ある使用を根絶するために実施されるアンチドーピングテストに不注意で引っかかるようなことが無いよう、選手自身がしっかりとルールを把握し自己管理を徹底して競技に取り組むようにしましょう。
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COMMENTS

1 Comments

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あなたの筋肉  

プロがレース中に平地を走る際に
どの様なギヤ比にしているのか興味があります
個人差はあるでしょうが大体どの程度なのでしょう?

2018/09/15 (Sat) 22:06 | EDIT | REPLY |   

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