ジロ・デ・イタリア 17日目
ジロ・デ・イタリア 17日目
クラス:WT ステージレース
開催国:イタリア
日程:5月25日
距離:196km
天候:晴れ
起床時体重:60.2
起床時心拍:47
出場チームメイト:ダミアーノ・クネゴ、アレサンドロ・ビソルティ、グレガ・ボーレ、リカルド・スタキオッティ、エドワード・グロス、山本元喜、ジャンフランコ・ジリオーリ
コースプロフィールは省略。
レース前のミーティング
ミーティング後に「今日はどうしたいか?」と聞かれ、「スタートして足の調子が良ければ逃げに挑戦したいが、悪ければ休んで回復させたい」と伝えると、それでオッケーと言って貰えた。
レースレポート
集団中盤でスタートラインに並ぶ。
パレード中に上がるが先頭までは出れず。
レース開始。
スタートしても集団がユックリのまま。
前の状態が分からず疑問に思いながら前に上がって行く。
だいたい予想はしていたがスタート直後の飛び出しが決まった模様。
集団先頭がガッチリと固められており前に出れる状況では無い。
集団のペースも結構ユックリ。
普段であれば後ろに下がる状況。
しかし空気が違う。
相当ピリピリしている。
集団の先頭を逃げを決めさせたいワールドツアーチームが固めてはいるが、常に左右のサイドを気にして誰も飛び出さないようにかなり警戒している。
逃げが決まれば、談笑が始まりトイレに行く選手も現れるが、それも一切なし。
超高密度の集団先頭部分がシーンと静まりスプロケットの空回りする音だけが響く。
どう考えても次の動きが起きる。
ここで下がるのは良くない。
しばらく集団3列目辺りで待機する。
集団の左サイドに居るが、ランプレの選手が自分の前を固めており中々飛び出せない。
無理に出ようとすれば落車を引き起こしかねないし、左のゴツゴツした岩の壁で体を削りかねない。
動きが起きるのを待つ。
とうとう左側からLOTTOソウダルの選手がアタック。
それを追いかけ集団が伸びる。
アタックした側も全力、追う集団も全力で爆速で下る。
これは相当怖い。
前に付いて行くのが中々難しい。
「皆で一緒に綺麗に下ろう」と言う感じでなく「後ろを突き放すために全技術を投入しての攻めた下り」だ。
付いて行けず離れてしまう。
ここで交代してはいけない。
ただでさえ他のチームから下に見られるプロコンの選手。
その選手が中切れを起こして、その尻拭いを他のチームの選手に押し付けたとなれば良く思われない。
前に入れて貰えなくなる。
足を使ってでも遅れた差を前が緩んだ際に取り戻さないといけない。
下りが一旦終わり平坦に入った際で飛び出しが捕まった様子。
前方で集団が広がりペースが落ちているのが分かる。
ここで追いつかないといけない。
一気にダッシュして追いつくのではなく、ペースを維持してジワジワと差を詰めて前に追いついた。
かなり疲れたがしょうがない。
集団の先頭が再び広がりペースを落としている。
この感じでは追加の飛び出しは不可能だろう。
もし飛び出しても下りで確実に捕まる。
自分と同じような判断をした選手が多かったのか、集団の空気が緩む。
密度も下がり、トイレに行く選手も出て来て談笑が始まる。
こうなれば追加のアタックは出来ない。
アタックを企んでいるのがバレただけでもブチギレられる。
今日は諦めて休もう。
そう思い自分も気を緩めて一旦下がる。
次の登りは32kmから。
山岳ポイントではないが結構勾配があったはず。
今日はその登りとその次に来る100km辺りで終わる山岳ポイントの登りで遅れずに集団に付いて行くのが完走の絶対条件。
それが終わるまではリラックスできない。
足の状態もそこまで良くない。
芯の部分に疲れが残っている感じがする。
警戒しないといけない。
登りが始まる。
始まってスグに前の選手が捨てた捕食の包み紙が自分の前輪のスポークに絡まる。
しょせん紙なので落車などの心配は無いが、ホイールが一周するごとにシャカシャカシャカシャカうるさい。
恐らく空気抵抗も上がっているハズ。
気分的にもペダルが重く感じる。
ペースも結構速くてキツイし、音はうるさいわで相当イライラする。
何度か走りながら取り除こうとするが取れない。
無理をすれば前輪のスポークで指を切断したり落車したりする可能性があるので中々難しい。
気にしないでおこうとしてもやはり気になる。
最終的に一旦止まって取り除いてから集団に戻った。
そこからは登りで疲れた分を取り戻すために集団後方で休憩しながら進む。
山岳ポイント手前で補給を受け取り、念の為に集団中盤まで上がって登りに入る。
逃げが決まっているためペースも遅く4級山岳という事で勾配も緩く、全くしんどく無いペースで登りきる。
32kmからの登りの方がよっぽどしんどかった。
そこからは再び集団内や後方、あるいは他のチームメイトの側で休憩しながら走る。
(今日はどこまで集団に付いて行った方が良いかな?
恐らく4時間半のレースで打ち切りが7%だから19分くらいかな?
ラスト40kmでグルペットが出来ればそこに入ればいいけど、こんな平らなレースでグルペットが出来る訳も無いし……。
最低でもラスト20kmまでは集団にいないと不味いな。
ラスト10kmを越えれば1人でも何の問題も無いから流して帰れるな。)
そんな適当な事を考えながら走る。
明日は240kmのレースでその後に超級山岳2連続。
少しでも楽をして足を残した状態で挑みたいところ。
ラスト60km辺りで無線から「横風が吹く可能性があるから他のメンバーがいるところまで上がっておくように」という指示が出る。
クネゴを見つけ側で走る。
徐々に前に上がって行く。
集団先頭が見える。
オレンジのジャージが集団先頭に数人いるのが見える。
見間違えかと思って何度か見直すが、やはり居る。
(なるほど、横風区間を他のNIPPOのメンバーが集団前方でクリアする為に先頭を曳いているんだな。お仕事お疲れ様です!)と考える。
集団先頭を曳いているチームのメンバーは優先的に集団前方に居ることが出来る。
エース級の選手に楽をさせる為に他の選手が仕事をするのである。
今回の場合は横風でペースアップした際に遅れたりダメージを受けるのを防ぐために集団先頭付近にいた方が良いという事だろう。
集団前方に上がって行く。
クネゴが後ろから「一気に前に上がるぞ」と伝えてくる。
「よし!今だ!」と言われ、クネゴを後ろに付けて集団前方まで上がる。
ここまで上がれば横風が吹いても大丈夫、という位置まで上がる。
そしてクネゴから「よし、良いぞ。回ってこい!」と言われる。
「了解です!」と心の中で答えて集団先頭のローテーションへ。
今日はスプリントステージ、チームエースのクネゴやゴールスプリントで動けるであろうグレガ、スタキオッティ、グロス以外の選手が途中のアシストで動くのは当然の事。
だいたい予想はしていた。
それに今先頭でローテーションに加われば確実にテレビに映れる。
いつもテレビに映れないタイミングの仕事ばっかりだっただけにモチベーションは高い。
ラスト50km辺りからローテーションに加わる。
だいたい2分程の間隔で交代している。
自分の先頭の番が回って来る。
踏んでいると、後ろのジリオーリから「もう少し落とせ」と言われる。
モチベーションが高すぎて踏み過ぎた。
そこからは問題ないペースで何度か先頭に出る。
逃げとのタイム差をジワジワと詰めていくペースなので足へのダメージも殆どない。
ラスト35kmを切り他のチームが前に上がって来る。
何でかな?と思っていると中間スプリントポイント。
まずランプレの選手2人が列車を組んで飛び出す。
続いてスプリントポイント狙いの選手達が飛び出した2人を追いかけて行く。
集団内の自分の横でランプレの選手が無線に「右」と告げている。
(なるほど、そうやって後ろから来る選手の動きを伝えて対応するのか。)
自分がスプリントすることは無いだろうが、勉強になる。
中間スプリントで活性化した集団に呑み込まれる。
再び前でローテーションした方が良いのかと思い1回前に上がる。
しかし他のNIPPOの選手の姿が見えない。
仕事終了だろうか?
自分1人が集団の前で回っていても意味が無いので集団後方に下がる。
他の選手も集団内に下がっていた。
それからは集団後方で休憩。
したかったのだがペースが速くて伸び縮みが多く大変だった。
ロータリーごとに集団が伸びては縮みを繰り返す。
休むどころか疲れる。
様子を見つつラスト10kmのゲートを越えたところで単独で遅れる。
付いて行けなくも無いがここまで来れば打ち切られる心配は無い。
自分の楽なペースで足を回して回復させながらゴールした。
感想
基本的に楽なステージだった。
ローテーションに加わっていた姿もテレビに映っていたようで嬉しかった。
自分の感覚的にレースが続く毎に調子が上がって行く気がする。
ようはコンディション的に休息日開けが一番つらい。
明日は240kmの前半平坦ステージなので指示に従いつつ無理し過ぎないように気を付けたい。
キツさレベル
6
たいしてキツく無かった。
33kmからの登りがいろいろ有ったせいで辛かったがそこからの距離も長かったので十分回復できた。
山岳ポイントでペースが上がらなかったのも大きい。
後半のローテーションは鬼曳きという感じでは無かったので問題なかった。
去年の北海道のローテーションの方がよっぽど辛かった。
amazonをお気に入り登録される際はこちらからどうぞ!山本元喜のYouTubeチャンネルはコチラ!
山本元喜の本はコチラ!