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全日本選手権ロードレース 2017

全日本選手権ロードレース 2017

クラス:ナショナルチャンピオンシップ
開催国:日本
日程:6月25日
距離:210km



天候:晴れ
出場チームメイト:中島康晴、野中竜馬、山本元喜、阿曽圭佑、雨乞竜己、椿大志

言わずと知れた全日本選手権。
自分の今シーズンで一番狙っていたレース。


レース前のミーティング

自分がエースで最後に勝負できるように走るという作戦。
具体的な作戦は序盤の展開で自分以外の選手で動いてもらい阿曽と中島さんに逃げに入ってもらう。
中盤以降の展開で残っている選手にフォローしてもらいながら動いて自分がラスト4周以降に動いて勝負するという作戦。


レースレポート

序盤は様子見のために動かないが安全策と有力選手の動きを警戒して集団前方でパレードを終える。
パレードが終わると同時に別府さんを含む2人が飛び出していく。
一旦その2人を捕まえるために集団は協力して進む。
自分は集団前方で様子見。
1列で下りを終えて2つ目の登りへ。
このコースは平均8%1kmの登りを終えた後に3kmほど若干のアップダウンと下りを経て平均10%越え600m程の登りに入る。
2つ目の登りを終えて後ろを確認すると集団が30名程にまで減っている。
後で知ったが1回目の下りの途中で大きな落車が発生したらしく、結構な人数の有力選手が巻き込まれた。
集団先頭にいた自分の選択はかなり正解だったと言える。
しかし、その落車に野中さんが巻き込まれ雨乞も足止めを食らった。
野中さんは怪我が酷くその周でリタイア、雨乞は集団に復帰することはできたがそこで脚を使ってしまいその後リタイア。
この時点でキナンの選手は4人になってしまった。
これはかなりの痛手であったが仕方が無い。
集団前方では阿曽が積極的に動いてくれているおかげで安心して様子を見続けることが出来た。
阿曽が一人で動き過ぎていた部分もあったので指示やアドバイスをしながら動いてもらう。
途中から椿と中島さんも前に上がってきてチェックに入ってくれる。
しかし逃げが決まらないままレースが進む。
予想していたパターンの内の1つに「別府さんが動くことで逃げが決まらない」という展開があるのではないかというものもあり、まさにその状態だった。
別府さんが動くことで逃げが決まらずにアタックがかかったり集団が広がったりを繰り返す。
1、2名の少数の逃げが出来ては捕まる、という展開を繰り返して周回数を消費していく。
別府さんの動きを見ながら、中切れ等に巻き込まれないように注意して動く。
特に1回目の登りの前にある下りが要注意。
別府さんが先頭でハイスピードで下ることが多く、そこで伸びた集団後方が登りで苦しむという事がたびたびある。
そのペースアップにより中盤で中島さんが千切れてしまいリタイア。
自分の感覚的には登りのペースは辛くない。
感覚的に脚の調子がかなり良いのが分かる。
全日本に向けて体重の絞り込みをかけたのでその効果が出ている。
集団は徐々に人数を減らしながら進みラスト8周で椿を含む4名の逃げが出来る。
集団は牽制状態に入り2分差まで広がる。
ラスト6周の後半で別府さんが集団のペースを上げて逃げとのタイム差を詰める。
一気に40秒詰まり1分20秒まで近づくが、他のチームが牽引を嫌う事で差が広がりすぐに2分差に戻る。
ラスト5周に入り平坦区間で散発的にアタックがかかる。
自分も反応して動いて行く。
下りの手前で7名程で抜け出すことに成功する。
しかしイマイチローテーションが嚙み合わない。
自分が単独で先行する形になる。
どうするか一瞬悩んだがこのまま先行して、登りをハイペースで登れば集団の人数を絞ることが出来ると判断し踏んでいく。
少し前に阿曽から「かなり辛い」という事も聞いていたので、メンバーの少ないキナンとしては少しでもライバルチームの選手を減らす必要がある。
先頭のまま下り切る。
登りの手前で一瞬後ろを確認すると集団は棒状1列でかなり伸びている。
下った勢いそのままに登りに入って踏んでいく。
後ろを一切振り返らず、頂上まで踏み切れるギリギリのペースで踏み切る。
相当キツイ。
交代し後ろに下がる。
先頭は自分を含めて5人。
中根さん、小石、西薗さん、徳田優。
集団は離れている。
頂上からはNIPPOの2人がローテーションして逃げの4名を追う。
西薗さんは鈴木龍が入っているし自分は椿が前に入っているのでローテーションに加わらない。
優は相当辛いようで顔が死んでいる、それに恐らくチェックで付いてきただけだろう。
下り切って2回目の登りへ。
小石と中根さんのペースが相当速くかなり苦しんだが粘り切って付いて行き、頂上で前の4人と合流する。
先頭9名、悪くない。
登り切った後のアップダウン区間で後ろを振り返ると集団は見えないがNIPPOの選手が他のチームの選手と2人で追って来ているのが見える。
登りで追ってきたという事はマリノだろう。
この状況で登れるNIPPOの選手3人とやり合うのはかなり不利。
追いつかれたくは無かったが合流してくる。
他にも土井さんや入部さんも追いついて来る。
飛び出したメンバーの意思が上手く噛み合わなかったことと集団が追ってきたことで集団が一つにまとまってしまう。
そこから平坦区間を抜けて再び登りへ向かっていく。
登りが始まると今度は小石とマリノの2人が集団の先頭でペースを上げる。
付いて行こうと粘るが離される。
集団もバラバラになり、2人が先行しそれを単独で追う選手が続く。
登りの頂上で何とか2人に追いつき小集団になる。
その後のアップダウンで中切れを起こした選手のせいで前から遅れる。
下り切って2回目の登りへ。
登りの入り口から踏んでいって前に単独で追いつく。
しかし、追いついた先に居た選手も疲労の色が濃い選手が多く、そのまま先行しきれずに集団に追いつかれる。
登りで全力を出して振り切っているのに毎回追いつかれるのでは意味が無い。
そこからアップダウンでアタックがかかり続ける。
どのアタックも逃げに繋がる可能性があり油断できない。
アタックに反応してはいるが飛び出した選手を後から追う展開が多く、後手に回ってしまっている。
脚を消耗して追いつくが集団も追って来ており1つにまとまり、再びアタックがかかりそれを追うという展開が続く。
ラスト3周手前の補給所で3人が飛び出す。
反応するか迷ってしまい、見逃す。
その後に4名が飛び出す。
集団が広がり離れていく。
これは行かしてはマズイと判断し追う。
石橋が一緒に飛び出してきてローテーションしながら追う。
しかし、ここまで動いてきたダメージが大きく差を詰めれない。
石橋はまだ脚があるようで良いペースで前を牽く。
良いペース過ぎて後ろに付いていても休めない。
前に見える4人は、後ろから自分たちが追っているのを確認するとペースを上げる。
頑張って踏むがどうしても差が少しずつしか詰まらない。
差を詰め切る前に自分の脚が尽きてしまい、石橋から遅れてしまう。
追う事に全力を尽くしてしまったせいでオールアウト状態。
一気に失速してしまう。
平坦区間を終えて下りを過ぎて登りへ、早川さんに抜かされる。
その後に別府さんがイーブンペースを維持しながら自分を抜いて行く。
そこに付いて行こうとしたが脚が残っておらず離される。
完全に失速した状態で走っていると後ろから来た椿と合流する。
椿が延々とイーブンペースで走り続け自分がそれに付いて行く。
完全に力尽きて千切れていたので付いて行くだけでもかなり辛かった。
完走できるように走り続けていたが、ラスト1周に入るところで打ち切られた。


感想

今シーズンで自分が一番結果を残したいと思い挑んだレースだった。
全日本に調子のピークを持ってこれるように前半のレーススケジュールを調整してもらい、コンディションを上げていくことが出来ていた。
そのおかげでレポート中でも書いたが調子は絶好調、ピンポイントで合わせることが出来ていたと思う。
今の自分のベストの状態で挑むことが出来たのが今年の全日本だった。
それだけに勝てなかったどころか、最終的な展開に残ることも出来なかったというのは非常に大きな問題であると自分自身で感じた。
それこそ、千切れてから走っている間は「選手を続けて行く事への不安」にも繋がる程に悩んだ。
走っている最中に答えは出なかったがレースを終えて今回の自分の走りを振り返って悩みは解消できた。
今回結果を残せなかった理由、それは単純に「走り方が悪かった」の一言に尽きる。
展開を読む力、最後まで温存する走り方、不安を抑えて我慢する精神力、それらが足りなかった。
たしかにレース中盤以降に他のチームと比べてチームメイトが少なかったのは苦しかったが、そういう状況であっても有利に持っていく方法は存在する。
それを理解し作戦を切りかえれなかったのは今回の結果に大きく影響している。
また、5周目において椿が逃げに乗っている展開で自分がメイン集団から動いたのは非常に大きなミスだった。
あの状況を15周の内10周を終えた状況と見てしまうとレースが動く局面にかかってきているように感じる。
しかし、実際には70kmも距離が残っていた。
その状況において自分が自ら動いて集団の人数を減らす必要は無かった。
アシストとしての動きであればあのアタックは非常に良かったと思う。
しかし、エースを任されていた身でのあの動きは完全に愚策だったと今になって思う。
その後の平坦区間で逃げに執拗に反応したのも意味が無かった。
完全に冷静さを失っての動きだったと思う。
繰り返されるアタックを冷静に見れず、過剰に動いてしまったのは自分の脚への自身の無さの現れだったと思う。
自分の脚に自信があれば「多少展開に失敗しようとあとで追いつくことが出来る」と余裕を持って見れたはずである。
あのレースでのコンディションを今になって冷静に分析すれば「平坦区間で逃げが出来たところで登り1本で追いつくことが出来る」くらいに脚があった。
それを認識できずに動き続けた結果、有ったはずの脚も無くなり肝心な石橋との追走で力尽きるという結果に至った。
終盤の展開において評価できる動きは「石橋と飛び出して前を追った」部分しかない。
現に石橋は自分が遅れた後に前に追いつき、集団でゴールしている。
こういう問題はひとえに「エースとしての経験不足」が引き起こした。
自分が今までのレースで担ってきた役割は「序盤に動いて逃げに乗る」というアシストとしての動きばかりであった。
自分の人生においてはじめて「エースを担い最後に勝負する」という役割を得たのが今回の全日本だった。
レースの経験は多いがエースとしての経験、実績共に皆無であったことが大きな問題であったのだ。
今回の敗北は非常に悔しく虚無感さえ感じるものであったが、その分手に入れた経験は今までにないほどに大きかった。
今後、選手を続けていくに当たって大きな影響を及ぼすであろう経験を積むことが出来たと共に成長に繋がったと思う。
自分の「コンディション調整能力の高さ」と「エースとして勝つために必要な走り方を知ることが出来た」のが今回の全日本の収獲だった。
勝ちを逃したことは大きいが、逃したもの並みの収獲を得ることはできたと思う。
全日本終了から3日間考えて得た結論がここまでに記述した内容である。
基本ポジティブで楽観的な自分にとって、今回のように終えたレースを長く深く考えたのは始めての事だったが中々悪くなかった。
後は気持ちを切り替えて、先を見据えて、結果を残す事だけに集中してこれからのシーズンに挑みたい。
自分の今年の全日本選手権ロードレースはこのレポートをもって締めにしたいと思う。
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COMMENTS

2 Comments
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全日本選手権、お疲れ様でした。ブログもいつも楽しく拝見しているのですが、山本選手が…浮上してこない!!…と、ここ数日ハラハラしながらブログやツイッターを覗いておりました。
そして更新があり嬉しく思いつつも、記事を読み、自分の弱さや判断ミスに真摯に向き合い受け入れるために必要な時間だったのだなとも思いました。言葉にすれば簡単に聞こえるけど、いい年した大人でもなかなか難しい事だと思います。
これからのシーズンも頑張ってください、応援しています。
冷静に客観的にレースを見つめるレースレポも、最後に何故かプロテインでしめくくるプロテイン星人な記事も、どちらも楽しみにしています!。

2017/06/28 (Wed) 07:32 | EDIT | REPLY |   

なか  

おつかれ!

なかなかレポートが出ないので心配してました。
熟考が明日を切り開くことを期待してます。

2017/06/27 (Tue) 20:34 | EDIT | REPLY |   

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