ツアー・オブ・チンハイレイク 5日目
ツアー・オブ・チンハイレイク
クラス:HC ステージレース 5日目
開催国:中国
距離:132.6km
天候:晴れ
チンハイレイクの東岸を走り、ハイクラスの山岳を越えてゴンゲへ向かう直線レース。
コースマップ上では前半は小さめのアップダウンが連続する平坦コースで、後半にはハイクラスの山岳がある山岳コースだった。。
41.6kmと77.3m地点に中間スプリントが、85.6km地点にハイクラスの山岳が設定されており、ハイクラスの山岳は10%の登りが5km続く感じだった。
レース前のミーティング
昨日逃げたのは良かったが、やはり風がキツイと逃げた側がかなり不利になるし、昨日の落車のダメージも有るので今日は逃げずに集団にいるようにという指示。
コース的にも昨日と同じで前半には横風が吹いて集団が分断されるかもしれないので気を付ける必要がある。
登りでは無理せずに完走だけは出来るように走るようにという感じだった。
レースレポート
ツアー・オブ・チンハイレイクにはパレードスタートが無いのかもしれない。
今日もピストルの音でのレース開始。
今日はアタック合戦に参加せずに集団内で待機。
しかし、スタート直後からの登りでのアタック合戦により、集団もかなりのハイペースで進む。
今日のアタック合戦は今までと様変わりして相当激しい。
集団内に居てもかなりキツイ。
登りでは集団内を下がりながら登りきり、下りで集団前方まで上がり登りで下がる余裕を稼ぐ。
いつまでたっても逃げが決まらない。
フェンチュンカイがアタックに行くのが見える。
「自分も行きたいな」と思うが、即座に昨日のダメージから考えるに絶対行ってはいけないと思い直す。
延々とアタック合戦が続き、集団内でもキツイ状況から、今日はアタック合戦に参加していなくて本当に良かったと改めて思う。
もし参加していれば確実に千切れている。
逃げが決まったのは41.6kmの中間スプリントの手前。
しかし集団のペースもそこまで落ちずタイム差も広がらない。
そして50kmを過ぎたあたりから恐怖の横風でのペースアップが始まる。
右からの横風で集団が左に寄せられる。
自分の前の選手は左の路肩ギリギリを走っている。
昨日の落車のせいもあり、自分は左ギリギリまで寄れず右からの風を受ける。
足がかなりキツく前から離れてしまいたいが、ここで離れると終わってしまうと思い粘る。
ペースが少し緩み楽になる。
嫌な予感がする。
後ろがかなり苦しんでいるこの状況で、先頭がペースアップを緩める意味が無い。
嫌な予感が的中し、自分の2人前で集団が分裂している。
自分の前の選手が踏むが追いつけず交代。
自分も踏むが縮まる気配がなく限界で交代。
前から遅れる。
後ろから抜きに来た選手の後ろに付く。
交代で前を引くが、当然差は縮まらず。
後ろを見ると結構大きな集団が来ていたのでそこに合流。
コースが右に直角に曲がり、風向きが変わる。
今までが右後方横寄りの風だったのが、右前方前寄りからの風に変わる。
前の30人ほどの集団に残ったのは士揮とポッツォ。
自分の50人以上いる集団にはマラグッティとアントニオもいた。
前にはポッツオも行っているし、これだけ人数がいれば引く必要も無いだろうと集団後方で待機。
横からの風が強ければ強いほど集団は急な角度で斜めになる為、集団後方は横からの風をもろに受ける。
今の様に弱めの横風であれば集団がペースアップしても集団の角度は緩やかに斜めになる。
なので、集団後方でも前の選手が風除けになる位置に入れるから後ろに居ても問題ない。
自分は総合順位も遅れているし、前に追いつきたいわけでもない。
今日は集団でゴールできればそれでいい。
マラグッティからも特に指示がない。
集団は前に追いつきたいメンバーがペースを上げ、そこに千切れたくないメンバーが付いて行く。
77.3kmの中間スプリントを過ぎ右に直角に曲がり登りが始まる。
前の集団は登りに入りアタックがかかりばらけ、そこに自分たちの集団から山岳で勝負したい選手が飛び出し、混在し、バラバラのブチブチに千切れた状態で登る。
自分は集団最後尾から自分のペースで登っていく。
途中で「グルペーット(ユックリ登りたいメンバー集まれ!的な掛け声)」と叫んでいる選手を抜いていく。
出来るだけ前で登りきるに越したことは無い。
前に居ればトラブルや限界になって遅れたときに、まだ後ろに集団が有るので安心感が違う。
限界を超えないように自分のギリギリのペースで登り続ける。
アモーレ・エ・ヴィータのエーススプリンターのガバッツィになぜか抜かれるが気にしない。
限界一歩手前のペースで登っているので結構きつい。
抜いてくる選手や車も利用するが、踏み過ぎないように気を付ける。
5km程登ったがまだラスト1kmの看板が見えない。
踏むのを止めそうになるが我慢して踏む。
ラスト1kmの看板が見える。
同時に前からマラグッティが降ってきて自分の前を走る集団に付く。
自分と集団までは50m程。
登りきれば下りに入るので集団に付いた方が絶対に楽。
前の集団に追いつきたい。
前の集団は登りが終わる前にペースアップする可能性がある。
ペースアップされると追いつくのは無理。
その前に追いつく必要があるが、追いつく為には全力でダッシュする必要がある。
全力ダッシュして前に追いつき、更にそこから集団がペースアップしても根性で粘り切れる距離。
メーターを見ながら登りの残りの距離を計算する。
少し早いが、ラスト700m付近で一気にダッシュに前の集団に追いつく。
予想どうり山頂に向けてルスベロの選手がペースを上げてくる。
相当キツイがここで千切れるわけにはいかないと全力で粘る。
山頂が見える。
山頂だけを見据えて全力で我慢。
根性の出し所。
千切れずに山頂通過。
緩く下りだしペースが更に上がるが全開で追い込んで付いて行く。
前の選手に追いついたり、チームカーを使い無理やり追いつきてきた選手が合流し、自分のいる集団が20人ほどになる。
集団の最後尾に付く。
前にはポッツォもいるし無理に追いつかなくていい。
それ以前に前を引くと千切れそう。
マラグッティはいつの間にか居なくなっている。
チームカーで無理やり追いついて来たガバッツィが全力で下りを引く。
前に追いつければゴールスプリントで勝つ自信があるのだろう。
自分は最後尾でひたすら休む。
時々中切れが発生しているが無視。
他の選手が頑張って前に追いついてくれる。
後ろを見ると誰もいない。
この集団に後ろから追いつくのは無理だろう。
それは同時にここから遅れると大幅にタイムロスすることを意味している。
前に10数名の集団が見えてくる。
105km辺りの登りで前に追いつく。
ポッツォもそこにいた。
かなりキツそう。
集団のペースが上がり千切れる選手が出てくる。
それを抜いて前に付いて行く。
ラスト25kmの看板を過ぎる。
登りの頂上が見える。
ポッツォは自分の後ろに付いている。
本日2回目のここで千切れる訳にはいかない。
重いギアを踏む余裕はないので超高回転で前に付く。
長くはもたないが、ここさえ堪え切れればいい。
前の選手とともに山頂通過。
前の選手は集団最後尾と10mほど離れていたが下りで踏んですぐに追いつく。
曲がりくねったかなり危険な下りを全力で前に付いて行く。
下りが下手な選手を抜き去る。
コーナーの上手い選手が先行し集団が2分されかけていたが直線で1つにまとまる。
下っている間ずっと最後尾。
ラスト10kmを切る。
ポッツォが後ろに下がって来て「調子はどうだ?」と聞かれる。
「いい感じ」と答えると、前で先頭を引くローテーションに加わってくれ、と言われ前に上がる。
今まで山頂からずっと最後尾で足を溜めていたのでかなり余裕がある。
先頭のローテーションでガンガン引く。
レースの詳しい状況は分からないが、先行している選手がいるはず。
前に2人の逃げが見える。
あれが先頭か?
しかし、レースの先頭を走る先導車がいないので先頭では無いはず。
ラスト5kmを切る。
ローテーションがイマイチ上手く回らない。
とにかく前の2人は捕まえておきたい。
自分が先頭で踏みながらラスト3.7kmの左コーナーに入る。
後ろを見ると離れている。
どうせ集団に戻ってもローテーションが上手く回らず引かさせられるだけなので、それなら逃げた方が良いと判断。
独走開始。
前を追いかけて踏めなくなるギリギリのところで踏み続ける。
ラスト3kmを切る。
後ろは結構離れている。
緩く登っているので辛いが我慢して踏む
ラスト2kmで前2人を抜く。
振り返ると後ろがさっきより迫っている。
時々振り返りながら踏み続ける。
一瞬しか振り返らないので分かりにくいが、距離が詰まっていないように感じる。
しかし、ラスト1kmのところで後ろに車輪の音が聞こえる。
追いつかれると判断し踏むのを止め、集団の7番手辺りに入る。
ラスト500mを切る。
ポッツォが左から上がる。
アシストしたいが自分は右側に居るので無理だった。
最後の右コーナーを曲がりスプリント開始。
自分も10番手辺りからスプリントしてみる。
集団トップはポッツォが取った模様。
自分は途中まで飛び出していたこともあり、あまり加速せずむしろ減速し5人ほどに抜かれてゴール。
レースのリザルトを見て知ったが、自分たちの集団より先に26人もゴールしていた。
感想
足を休めるだけのレースにするつもりであったが、結果的に今までで1番良い位置でゴールすることが出来た。
落車の影響も思った以上になくて安心したが、ジワジワ出てくる可能性もあるので油断できない。
ラスト3km手前で飛び出したのは結果的には意味が無かったが、自分本来の走りをすることが出来てかなり良い感覚を得ることが出来た。
これからもハードなコースが続くので集中して気合を入れて挑んでいきたい。
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