イル・ロンバルディア
イル・ロンバルディア
クラス:WT ワンデーレース
開催国:イタリア
距離:245km
天候:雨
ベルガモからコモへの直線レース。
172kmまでは2つの登りのある平坦基調で進みそこから本格的に山岳が始まるというコース。
レース前のミーティング
今日はスタート後のアタック合戦に参加して飛び出せという指示。
マラグッティやグロスも前に上がるので一緒に付いて行くようにと言われる。
いつも以上に全力で行けと念を押される。
実際最後まで残れる可能性が無いので前半で見せ場を作れという事だろう。
飛び出せなければいつも通りだが、それよりもとにかく飛び出す事に集中しろという感じ。
レースレポート
パレードは2km程。
その間にグロスと一緒に集団の先頭に出る。
レース開始。
アタック合戦が始まる。
平坦な道でのアタック合戦。
直前まで降っていた雨の影響で路面はウェット。
集団の先頭は1列でアタックがかかっては吸収を繰り返す。
マラグッティが単独で飛び出す。
少しの間先行する。
集団が追いかける。
マラグッティを吸収する前に一旦ペースが緩んだのでほぼ先頭まで上がる。
後ろから「行け!」という声が聞こえる。
マラグッティが吸収されて緩んだタイミングを見てアタック。
飛び出す。
恐らく後ろと離れている。
振り返りはしないが誰かが来ている音がしない。
恐らく単独で先行している。
そのままの勢いで踏んでいく。
ロータリーに入る。
滑りやすそうな路面、逆バンク、雨で湿っている。
滑った。
1人で前後輪共に滑って、こけて左半身を下にしてスライディングしていく。
少しの間を置いて集団から2人ほど先行した選手が転がっている自分の横を通り過ぎていく。
やはり単独で飛び出していたようだ。
今となっては意味が無いが。
飛び出してロータリーで1人ゴケとは……
恥ずかしいし、情けないし、悲しい。
立ち上がって再スタート。
左にこけた事もありバイクは無事。
先頭で飛び出してこけたので集団の最後尾には合流できた。
集団の前方まで上がり直そうとするが速すぎて無理。
最後尾も1列になっている。
緩んだ時に上がろうとするが、すぐに1列になる上にロータリーでビビって遅れる。
しばらくして逃げが行ったようで一瞬緩む。
一応前まで上がろうとするが、再びペースが上がる。
飛び出したメンバーを見える範囲に捕えたままハイスピードで進む。
飛び出したメンバーに選手を送り込めなかったチームが潰しに行っているのだろう。
しばらく追走が続いたが、捕まえることが出来ず。
デネグリを含んだ数名の逃げが決まった。
ペースが完全に落ちる。
落車で負った傷が痛い。
例えば、前方でクラッシュが起きてそこに突っ込むのであれば、ある程度予測が効くので吹っ飛んだ週間に受け身を取ったり転がったりすることが可能である。
しかし、今回は全く予想していないところでいきなり滑ったので受け身も何もできずになすがままに無様に滑っていった。
そのせいで左ももの外側と左ひじが削れた。
左手の付け根も1cm四方で皮がガッツリ抉れている。
滑った原因はタダでさえ滑りやすい逆バンクのロータリーが、雨で濡れて更に滑りやすくなっていたにもかかわらずペースを落とさず突っ込んだせい。
完全に自分のせいなので、ただただ悲しい。
下がって来たグロスに「傷の具合は?」と聞かれ、「左ひじと手の付け根が痛い」伝える。
救護車で治療を受けた方が良いと言われ、一緒に救護車の所に行きグロスが状況を説明してくれる。
そしてそのまま自転車に乗って走りながら救護車から治療を受ける。
治療と言っても傷口の洗浄と消毒だけ。
「ガーゼを巻くか?」と聞かれるが「いらない」と答えて治療終了。
集団に上がり直す。
そこからは安定したペースで進む集団内で休憩。
クネゴの側で走るが、ロータリーで集団が左右に分かれたりコーナーで集団の密度が上がるたびにはぐれる。
その際には無理に上がらずタイミングを見て合流する。
40km地点を過ぎる。
あと10kmでキツイ登りが始まる。
ここからは多少足を使ってでもクネゴの側を維持することに集中する。
50km地点から登りが始まる。
逃げが行っていることもありそこまでペースは上がらない。
少し足に来る程度で登っていく。
コーナーが連続するせいで集団内はペースの上がり下がりが激しい。
他の選手との接触に注意しながら山頂通過。
下りに入る。
そこから再び安定したペースで進む。
今日は距離が過ぎるのが速い。
ペースが速いのか、距離が長いと分かっているから気持ち的にすぐに感じるのか。
100km地点過ぎから再び登りが始まるはずと思いクネゴの側で走るように気を付ける。
途中の下り区間でかなり強めの雨が急に降りだす。
視界が悪く車間を詰めれない。
他の選手も同様で集団がかなり広がった状態で、しかしハイペースで下っていく。
強烈な雨ではあったがそこまで長引かずにやんだ。
その後100km地点の登りへ。
今回の登りはそこまででも無いキツさで終了。
下りに入る。
下り切ったところで湖の横を通過する。
ここでペースが落ちて他のメンバーと合流できる。
その後小さなアップダウンが連続する。
次の大きな登りは170kmを過ぎてからのはず。
しかし思っていたよりもアップダウンが激しい。
平坦でのペースも上がりだし、一度はぐれると合流するまでかなり時間がかかるようになってくる。
いつの間にか集団の後方に取り残される。
上がろうとしても集団の前方はかなりの密度で詰まっているか、ハイスピードで縦に伸びているかのどちらか。
いずれにしても上がれる状況ではない。
集団の後方で千切れる心配は無いが上がることも出来ない状態がしばらく続く。
150km台後半で結構キツ目の登りが始まる。
本格的な登りは170kmからのはず。
驚きながらも集団の後方で粘る。
しばらく粘り続けると下りに入る。
道が狭く結構急な下り。
滑ってこけた自分としては結構怖い。
下りに左側で落車している選手がいる。
NIPPOのジャージが見えた。
誰かは分からなかったがそのまま下る。
自分が下りで止まって待っても意味が無いと判断し、集団後方で待つことに。
ここからのコースによっては今落車した選手が集団に復帰してきたときに前方に上がるアシストを出来るかもしれない。
かなりの速さで下っていく。
集団の後方には下りの下手な選手が集まりだす。
下りのテクニックの差で中切れが起きた。
しかし、自分に下りで前に追いつくテクニックは無い。
千切れた選手たちの後ろに付いて行く。
下り切って平坦区間に入るが、ここもコーナーが連続する。
中切れを起こした選手が責任をもって前を追い続ける。
170kmの登りが始まる手前で集団に追いつく。
追っている最中に何度か後ろを確認したが落車した選手は戻って来ていなかった。
その後すぐに登りが始まる。
登りが始まると同時に集団後方にいた選手がバラけて千切れていく。
登り開始から少しは自分も千切れる選手を抜かして前に付いて行くが、登りが始まって程なくして千切れてしまう。
千切れてからも前が見える範囲で粘っていたが、集団のペースがもう一段階上がり更に離れてしまい終了。
174km程の地点。
そこでレース終了。
そこからは千切れた他の選手と集まってゴール地点まで帰った。
ショートカットはしたが、結局200km以上走った。
感想
「逃げよう、前に飛び出そう」と、今までにないくらい気合を込めてスタートしたにも関わらず、その気合が空回りしてしまった。
逃げが決まってからは集団に居ただけでほとんど何もできていなかったのでもっと動けるようにならないといけない。
足の調子は良かったと感じていただけに力の差を知らされて悔しかったとともに、更に力を付けなければいけないと改めて感じさせられたレースだった。
ヨーロッパで走れる選手になる為にはまだまだ力もテクニックも足りないと感じる。
しかしこの1年で今まででは考えられないくらい力が付いたのも事実だと思う。
ここで諦めずに頑張ることが出来れば更に上を目指していけるのだと感じている。
今年最後の世界トップレベルのレースに出ることが出来て本当に良かった。
来年に向けてのモチベーションも更に高めていくことが出来ると思う。
しかし、まだ今年のレースが有るのでまずはそこに集中して頑張りたい。
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