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アナトミー・トレインの考え方

これまで紹介してきたアナトミー・トレインの話の続き。
今回は具体的にアナトミー・トレインを自転車に生かす方法について紹介します。





アナトミー・トレインの考え方


「アナトミー・トレイン」は、体の中に12本の筋肉のラインが存在しており、各ライン内の筋肉が相互に影響を及ぼし合っている、という考え方である。
そして、この考え方は、他の筋肉に対する考え方やアプローチを否定するものではなく、そのバックグラウンドに加えられるものである、とも解説されている。
分かりやすく例えるなら「膝の痛み」に対し、膝関節周りの筋肉をマッサージで解すことに効果があるという事は否定しない。
そのうえで、そこから繋がる筋肉に対してもアプローチすることで、痛みの根本的な原因を解決していく、というのが「アナトミー・トレイン」の考え方の一例になる。
実際には、体のバランスや、筋肉の各ラインの相互の影響も考えつつ、全体として見ていくのでさらに複雑になる。

人間の筋肉は全て繋がっている


人体模型や筋肉図で見られる、各筋肉が関節を跨いで綺麗に繋がっている図、というのは筋肉の配置が分かりやすいように、余分と思われる要素が排除されて見やすくされている。
これは、各筋肉がそれぞれ、どの骨と繋がって、どこに作用しているのかを解剖学的側面から「一つずつ単独で」理解しやすくした結果である。
しかし、本来、筋肉は上記で余分と判断された、皮膚やそれに付随する薄い筋肉で繋がっており、相互に作用を与えている。
この筋肉同士を一つと考えたものを「アナトミー・トレイン」では「筋筋膜連続体」と呼んでいる。

ラインの具体的な実感方法


「筋筋膜連続体」の中でも一番実感しやすいのは、スーパーフィシャル・バック・ラインと呼ばれるものだと思う。
これは足底から始まり、ふくらはぎを経由し、ハムストリングを経て仙骨へ、そこから腸肋筋(ちょうろくきん)を通り、頭頂を越えて瞼の上にまで繋がる筋肉である。
つまり、体の背面を足底から頭頂まで、縦一直線に繋いでいる筋肉群を一つにまとめてSBLと呼んでいるのである。
SBLを具体的に実感するためには、立位の状態で前屈するのが分かりやすい。
膝をまっすぐに伸ばした状態で、腰を前に曲げて頭を出来る限り下げる。
限界まで下げると、ハムストリングとふくらはぎにかなりの張りを感じるはず。
この状態で膝を曲げる。
すると、ふくらはぎとハムストリングの張りがなくなり、体がより深く曲がり、太ももに腹を付けることも可能になると思う。
これは、膝を曲げたことで、ふくらはぎとハムストリングが緩み、生まれた余裕を腰部と背部の屈曲に回すことが可能になったため、可能になった動きである。
実際に試してもらうと、前屈の角度だけでなく、背を丸める動きも容易になっていることを感じてもらえると思う。
ふくらはぎやハムストリングの動きが腰部や背部にも影響を与えている証拠である。

アナトミー・トレインの考え方は自転車にも応用できる


SBLの一連の繋がりは自転車の動作に応用しやすい。
なぜなら、自転車でペダルを踏みこむ際にSBLが使用されるからである。
中でも一番イメージしやすいのはハムストリングだろう。
ある程度、自転車に乗るのに慣れてきた人は、ペダルを踏む際にハムストリングを意識するだろう。
だが「アナトミー・トレイン」の考え方を応用するのであれば、踏み込む際に使用するのはハムストリングだけではない。
意識している人もいるであろう、臀部の筋肉だけでなく、ハムストリングと繋がる腸肋筋も使う事とで負担を分散し、より効率よく走ることが出来るようになるはずである。

自分の実践している「連動」


自分の踏み込みのイメージとしては、ふくらはぎはあまり使わない。
ふくらはぎを使うことで生まれる踵が上下するペダリングは効率が悪いからである。
ふくらはぎは足首の固定に使うイメージで、そこから上を使って脚を回す。
主に使うのはハムストリングと臀筋。
アナトミー・トレインでは、臀筋はハムストリングとは別のラインに分類されている。
そしてハムストリングの動きに合わせて背骨の左右の筋肉も意識する。
その際に腹筋の下部に力を入れて骨盤を安定させることでフォームが崩れるのを防ぐ。
体の動かし方や「連動」に関しては、まだまだ勉強&実践の最中であり、今後はさらに動きが変わってくる可能性もあるが、「脚を回す」という動作における連動は、今の状態から大きく変化することは無いと思う。
一度、この方法を実践で試してみることで、連動の感覚を味わってみてもらいたい。


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