ジロ・デ・イタリア 4日目
ジロ・デ・イタリア 4日目
クラス:WT ステージレース
開催国:イタリア
日程:5月10日
距離:200.0km
天候:晴れ
起床時体重:61.3
起床時心拍:43
出場チームメイト:ダミアーノ・クネゴ、ジャコモ・ベルラート、アレサンドロ・ビソルティ、グレガ・ボーレ、リカルド・スタキオッティ、イウリ・フィロージ、エドワード・グロス、山本元喜、ジャンフランコ・ジリオーリ
コースプロフィールは省略。
レース前のミーティング
「今日は誰かが逃げに入れ!」という指示が出る。
自分に対しても「ゴー!」と言われたらアタックに行けという指示が出る。
レースレポート
今日は自分も逃げれれば逃げていいという事でやる気十分でスタートラインに並ぶ。
前から5、6列目くらいの位置からパレードスタート。
「ゴー!」と言われれば行けとは言われたもののいつ言われるか分からない。
チーム内でも逃げたい選手が多いはずなので言われない可能性もある。
しかもアタック合戦が長期化すれば自分が逃げに乗るはかなり厳しくなる。
アタックの回数も何回も行ってしまうとゴールするための足を残せなくなる。
狙い目は2日目3日目にベルラートがやったような「スタート直後の飛び出しでの逃げ」か、その飛び出しが捕まってからのカウンター。
とにかくスタートと共に動けるようにパレード中に前から2列目まで上がる。
自分がいる集団の左端と逆側の先頭付近にベルラートがいる。
今日も行く気だろう。
0kmを過ぎてレーススタート。
アタックがかかりベルラートが反応する。
そして集団が「伸びた」
今日はスタートアタックが決まらなかった。
アタックに反応できるように集団の前方を維持しながら様子を見る。
クネゴもジリオーリも上がって来ている。
それぞれが逃げる為にアタックに反応するので、誰も反応していないアタックを見つけるのが大変。
反応していないアタックに誰かが反応する前に反応して飛び出すが簡単に決まらない。
3回くらいアタックに反応してみたが決まらなかった。
「あと反応できて1、2回かな?それ以上やると頭に血が上ってやめ時が無くなるな」と思っていると登りが始まる。
こんな登りコースマップにあったっけ?と一瞬思ったが、最初に若干の登りがあった事を思い出した。
逃げが決まっていないことでペースが上がる。
アタックに行ったこともありキツイ。
まずここではアタックできない。
アタックしようものなら吸収された際に集団の最後尾送りになる。
ダメージを押さえて登りきる為に集団内の位置を若干下げながら登る。
登りはそこまで長くなくしばらくして下りに入る。
ハイスピードで下っているため前には上がれず。
集団中盤から後半あたりで下る。
平坦区間に入った際に逃げが決まっていなければ再びアタックに反応してみよう。と考える。
下りが緩くなったところで集団が横に広がりペースが落ちる。
いつの間にか逃げが決まっていたようだった。
逃げが決まったのならあとはクネゴかボーレの側で今日も待機かな?と思っていると無線で会話が始まる。
音質も良くなくイタリア語もそこまで分からないので詳しくは分からないが、雲行きが怪しい。
なんとなくわかるが聞き間違いか勘違いであって欲しい。
願いが通じず「集団の先頭に出て追いかけろ」という指示が出る。
一応クネゴに確認すると「前に上がるぞ……」という事で追走開始。
20km手前の地点からタイム差3分でNIPPOのみのローテーションが始まる。
無線からの指示を聞いていると、逃げとのタイム差を詰めたところでグロスを発射して逃げに乗せるとのこと。
グロスとエースのクネゴ以外の7人でローテーションを回す。
全力ではないが確実に前とのタイム差を詰めていくためにチームタイムトライアルのような感じで追いかける。
そのおかげでタイム差は徐々に詰まっていく。
ローテーションをしながらいろいろ思うことが有る。
「今日がイタリア初日だから大切という事は分かるが、2日目、3日目とベルラートが逃げていた訳なのだからわざわざ決まった逃げを追いかけなくても……」とか、
「逃げが決まって休めると思ったのに追いかけるとか、逃げに選手を送り込めなかった事に対する罰ゲームみたい……」とか、
「結構高い負荷でローテーションを回しているけど後半の山岳大丈夫だろうか……?」とか、
「ワールドツアーチームから絶対に『余計なことしやがって』って思われてるよな」とか
「っていうか、こうやってローテーションしている姿って時間帯的にテレビに映らないよな……」とか
とにかくマイナスなことが頭に浮かぶ。
しかしそんなことで文句を言える立場では無い。
「前を追え」という指示が出た以上は「もういい」という指示が出るか、前に追いつくまでは追いかけ続けるのである。
他の選手のペースを落とさないように気を付けながら、かつ力を使い過ぎないように気を付けてローテーションをする。
ローテーションをしている感じだとフィロージがサボっている。
去年の北海道でもサボっていた。
皆フィロージがそういう性格だと分かっているようで文句は言わないが、フィロージが変わった瞬間に一気にペースが上がる。
無線からは逃げとのタイム差が聞こえてくる。
確実に縮まっていっている。
その内追いつくだろう。
他にも「チームタイムトライアルだ!頑張れ!」等と聞こえてくる。
「今年のジロはチームタイムトライアル無いはずだったのにな……」と思いながらローテーションを続けていると、とうとうタイム差が1分を切り、逃げの姿が視認出来るようになる。
そこから更にタイム差を詰めていく。
30秒程。
NIPPOの列車の後ろにいたクイックステップの選手が「どこまでタイム差詰めるんだよ、早く発射しろよ!」と言っている。
そのすぐあとにグレガがグロスを後ろに付けて集団から発射。
その後にグロスがボーレの後ろから発射して逃げを追いかけ出す。
グロスが発射した後に集団が再び活性化するが逃げは捕まらずそのまま行った
そしてそこからアタック合戦がまた始まる。
しばらくしてグロスが飛び出したままで集団が落ち着いた。
60kmを過ぎていた。
そして再び無線からヤバそうな内容が聞こえてくる。
近くに居たフィロージに「グロスにげに入ってないの?」と確認する。
「宙ぶらりんの状態でジュリアーニが怒ってる」と言いながら「やべーな」という顔をしている。
そして無線では監督と選手の口論が始まっている。
監督のジュリアーニがかなり怒っている。
そしてとうとう「前に出ろ!」という指示が出る。
「マジで?」と思っていながらクネゴの側にいると「他の選手と一緒に前に上がってくれ……」とクネゴに申し訳なさそうに言われる。
「マジか……」と思いながら他のNIPPOの若手が待つ集団の先頭に上がって行く。
アスタナの横を過ぎる時に「またあいつら始めんの?」と言っている声が聞こえる。
「そうです監督がオコなんです」と思いながら前に上がって行く。
前に出てローテーションを始めるが前回に比べて圧倒的にユックリ。
仕方が無くやっているという感じ。
そして自分の番が回ってくる前に「もういい」という指示が出る。
ジリオーリが「下がるぞ」と言って下がって行く。
後ろにいたクイックステップに「何がしたいんだよ!」と言われ、下がって行く最中にティンコフから「もういいのか?グッジョブ」とからかわれる。
いろいろな事態が終息しやっと集団の後方で休みだす。
他のNIPPOの選手とも話をするが一様に「疲れた」と言っていた。
その後ボトルを1回運んで引き続き休憩。
途中で真っ暗なトンネルを通過する。
その最中に「オォー」という低い雄たけびと共にブレーキがかかる。
「落車か?」と思ったがどうやら違うらしい。
暗いトンネルの両サイドの地面に松明のようなものが置かれていた。
「これが原因か」と思いながら横を通過すると暖かい。
何か別な方法は無かったのだろうか?
その後も地面への設置型松明は2回ぐらい現れ、そのたびに暗いトンネル内でブレーキがかかり中々危険だった。
ちなみに今日は足の調子が良さそう、しかしローテーションしているので結構疲れている。
この後120kmと145km地点から登りが始まるが、どこまで付いて行けるだろうか?
レースの感じ的に120kmからの登りではペースが上がらないだろうし、もし上がっても死ぬ気で付いて行かないとゴールできなくなる。
逆に145kmからの登りはペースが上がる可能性が高いが、そこまで行ければあえて遅れる選手もいるだろうし遅れてもゴールできると思う。
考えてもしょうがないが、120kmからの登りは絶対に集団に付いて行かないといけない。
そして120kmからの登りが始まる。
速くない。
集団の先頭を見てもそこまで踏んでいないし集団の雰囲気も穏やか。
しかし道が細く急なコーナーが連続する箇所もあり、集団の後方は詰まって止まりかけることが多くペースが安定しない。
一定のペースで登りたいので集団最後尾から若干遅れて登る。
こうすれば前が詰まってもある程度であればブレーキせずに走れるのでストレスと無駄な足を使わずに済む。
登りの頂上が近づいてくる。
大丈夫だろうとは思うがペースアップした際に遅れないように山頂までラスト1kmの辺りで前に上がる。
やはりペースは上がらず、クネゴの側で山頂通過。
その後下って平坦区間に入る。
140km辺りで「次の登りに備えて前に上がるように」と無線で指示が出る。
ほとんどの選手が登りに集団前方で入りたいために、先頭付近の位置取りはかなり激しい。
集団の左端から上がろうとするが中々上手く行かない。
集団の中盤より後ろといった位置で登りが始まる。
予想通りのペースアップ。
結構きついが耐えることが出来ないペースでは無い。
割り切って遅れ始める選手も出てくる。
耐えつつ登っているとボーレと並んだ際に「無理して集団に付くな。後ろに遅れている集団もあるからキツければペースを落とせ」と言われる。
明日以降のレースに備える為にもその後に遅れだした選手と一緒に遅れることにした。
途中でそこにボーレも合流。
ボーレはアムステルで顔面落車してしまい、1週間以上練習が出来ていなかったせいで調子がまだ上がっていない。
その為、ジロの前半は休みつつ走って調子を上げて行くつもりなのだろう。
その後下りで失敗しその集団から遅れる。
チームカーに抜かれ、その際に「後ろにグロスがいるグルペットがあるからそこに合流して流して帰って来るように」と言わる。
ペースを落として後ろを待ちつつ下り、下りの途中で合流する。
そこに自分と同じく前から遅れて来たボーレが合流。
グロスより先に遅れていたスタキオッティが後ろから合流。
「パンクしやがった」と言いながらフィロージがいつの間にか出現。
フィロージは良く変な所を走ったり、わざと後輪をロックしたりしているのでそれが原因だろう。
そしてそのままの集団でゴールした。
メイン集団ではクネゴが2回目の山岳ポイントを1位で通過し、山岳リーダージャージを獲得した。
感想
後半の山だけ気にしていればいいと思っていたらとんだ1日になった。
調子が良かったことも幸いしそこまでダメージがあるようには感じていないが、まだまだ先は長いのでしっかりと休んで後半でバテ無いように気を付けたい。
レースが終わってからボーレが「ジロは3週間もあるのだからここで無理をしては最終日まで残れない。今は無理をせず確実にゴールできる集団で休みながら走らなければいけない」と言ってくれたので明日以降は無理をし過ぎないようにしたい。
今日の様に仕事をしなければいけない場面が出てくるのでその時の為に無駄な力を使わずに確実に1日1日をクリアしていきたい。
キツさレベル
7.5
ジワジワとくる疲労感が有ったという感じだった。
追い込み切る前にあえて千切れたため登りもそこまでしんどいということも無く、終盤のアップダウンもグルペットでユックリ走ることが出来たので後半に関してはそこまでしんどくは無かったが、心拍のデータ的には結構追い込んでいる個所もあったので疲労に気を付けたい。
前半で負ったダメージは結構あるはずなのでしっかり休んで回復させるようにしたい。
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