レース展開について ~破章~
CATEGORYレース戦略・戦術
さて、前回に引き続きレースの大まかな流れの話です。
今回は逃げが出来るまでの話とその後の展開について紹介します。
様々な思惑が重なり合う逃げが決まるまでの動き。
1時間以上続く場合もあれば、スタートアタックがそのまま決まるというような展開もあります。
アタック合戦がどれだけ長引くか、というのはその日のレースプロフィールを見ればだいたい予想が付きます。
平坦コースであれば長引きにくく、山岳コースであれば長引きやすい。
これは平坦コースでは「逃げ切り」の可能性が極めて低くなるため、逃げを狙うチームが少なくなるからです。
逃げを狙うチームが減ると逃げの人数が減ります。
人数の少ない逃げは集団にとって脅威になりません。
どんなに強力なエースであっても、少人数でスタートから逃げ切るなんてことは平坦ではありえません。
したがって、捨て駒に近い形で逃げが決まりそれを有力チームが追う、という展開に早々に移りやすいのです。

いずれにせよ逃げが決まるなら、早いうちに決めてしまうことで、追う側も追われる側も楽にレースを進めようという考え方です。
しかし、この考えは山岳コースには適用されません。
連続でハードな山岳が襲いかかる山岳コースでは、逃げに対する集団の人数差がアドバンテージになりにくいからです。
集団で走るメリットは空気抵抗の削減にあります。
しかし登りでは速度が落ちるために、空気抵抗が下がります。
結果として、
大人数で走ろうが、少人数で走ろうが、辛さが変わらないということになるのです。
むしろ、下りの下手な選手に足止めを食らう可能性や、落車に巻き込まれる可能性を考慮すれば、逃げの方が有利、なんて可能性もあります。
したがってレース序盤から、各チームのエース級の選手が前へ前へと動き続けます。
その結果、レースはサバイバルレースと化し、逃げが存在せず先頭集団の絞り込みで勝敗が決する、という激しいレースになります。
さて、ここからは逃げが決まりました、集団とタイム差が1分以上開きました、という状況での話になります。
ワンデーレースの場合には逃げに選手を送り込んでいないチームの内、<最有力と思われるチームが、集団の牽引=コントロール、を開始します。
ステージレースの場合には総合順位で、上から順に見た中で逃げに選手を送り込んでいないチームが、コントロールします。
先ほども記述しましたが、ロードレースは空気抵抗との争いです。
集団を先頭で牽くということは当然、一番体力を消耗するということになります。
有力チームを消耗させることで他のチームが有利になるように作り出した展開、ということです。
特にステージレースにおける総合トップのチームは、全チームから警戒されるため、よっぽどのことが無い限り選手を逃げに送り込むことが出来ません。
集団のコントロールに関して、有力チームも黙って牽き続けるわけではありません。
様々な思惑と手段で他のチームの協力を仰ぎます。
例えば必要以上にタイム差を開かせるという方法があります。
他のチームに対して、このままじゃ逃げ切っちゃうけど、いいの?とプレッシャーをかけるわけです。
逃げに送り込んでいる選手が格落ちする選手である場合や、総合順位で大きくタイム差が開いている場合には、協力を取り付けれる可能性があります。
総合順位の仕組みに関しては、順位が逆転されるのが下位からであることを利用して、自分達のチームの選手が逆転されないギリギリのタイム差、に収めてゴールすることでライバルチームだけ順位を落とすというテクニックになります。
実際には逆転されかねないチームがコントロールに加わるため、順位の変動が起きることは稀です。
他にも、平坦ゴールでゴールスプリントを狙いたいチームが他にいるであろう場合には、ある程度タイム差を詰めたところで、他のそういったチームにコントロールを押し付けます。
ゴールスプリントがしたければ勝手にやってくれ、という意思表示です。
ここで紹介したのは極一部ですが、こんな風に様々な思惑が絡んでレースは進んでいきます。 amazonをお気に入り登録される際はこちらからどうぞ!
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今回は逃げが出来るまでの話とその後の展開について紹介します。
逃げが決まるまでの時間の読み方
様々な思惑が重なり合う逃げが決まるまでの動き。
1時間以上続く場合もあれば、スタートアタックがそのまま決まるというような展開もあります。
アタック合戦がどれだけ長引くか、というのはその日のレースプロフィールを見ればだいたい予想が付きます。
平坦コースであれば長引きにくく、山岳コースであれば長引きやすい。
これは平坦コースでは「逃げ切り」の可能性が極めて低くなるため、逃げを狙うチームが少なくなるからです。
逃げを狙うチームが減ると逃げの人数が減ります。
人数の少ない逃げは集団にとって脅威になりません。
どんなに強力なエースであっても、少人数でスタートから逃げ切るなんてことは平坦ではありえません。
したがって、捨て駒に近い形で逃げが決まりそれを有力チームが追う、という展開に早々に移りやすいのです。

いずれにせよ逃げが決まるなら、早いうちに決めてしまうことで、追う側も追われる側も楽にレースを進めようという考え方です。
山岳コースの特殊な事情
しかし、この考えは山岳コースには適用されません。
連続でハードな山岳が襲いかかる山岳コースでは、逃げに対する集団の人数差がアドバンテージになりにくいからです。
集団で走るメリットは空気抵抗の削減にあります。
しかし登りでは速度が落ちるために、空気抵抗が下がります。
結果として、
大人数で走ろうが、少人数で走ろうが、辛さが変わらないということになるのです。
むしろ、下りの下手な選手に足止めを食らう可能性や、落車に巻き込まれる可能性を考慮すれば、逃げの方が有利、なんて可能性もあります。
したがってレース序盤から、各チームのエース級の選手が前へ前へと動き続けます。
その結果、レースはサバイバルレースと化し、逃げが存在せず先頭集団の絞り込みで勝敗が決する、という激しいレースになります。
逃げが決まってからの展開
さて、ここからは逃げが決まりました、集団とタイム差が1分以上開きました、という状況での話になります。
ワンデーレースの場合には逃げに選手を送り込んでいないチームの内、<最有力と思われるチームが、集団の牽引=コントロール、を開始します。
ステージレースの場合には総合順位で、上から順に見た中で逃げに選手を送り込んでいないチームが、コントロールします。
先ほども記述しましたが、ロードレースは空気抵抗との争いです。
集団を先頭で牽くということは当然、一番体力を消耗するということになります。
有力チームを消耗させることで他のチームが有利になるように作り出した展開、ということです。
特にステージレースにおける総合トップのチームは、全チームから警戒されるため、よっぽどのことが無い限り選手を逃げに送り込むことが出来ません。
集団をコントロールするチームの動き
集団のコントロールに関して、有力チームも黙って牽き続けるわけではありません。
様々な思惑と手段で他のチームの協力を仰ぎます。
例えば必要以上にタイム差を開かせるという方法があります。
他のチームに対して、このままじゃ逃げ切っちゃうけど、いいの?とプレッシャーをかけるわけです。
逃げに送り込んでいる選手が格落ちする選手である場合や、総合順位で大きくタイム差が開いている場合には、協力を取り付けれる可能性があります。
総合順位の仕組みに関しては、順位が逆転されるのが下位からであることを利用して、自分達のチームの選手が逆転されないギリギリのタイム差、に収めてゴールすることでライバルチームだけ順位を落とすというテクニックになります。
実際には逆転されかねないチームがコントロールに加わるため、順位の変動が起きることは稀です。
他にも、平坦ゴールでゴールスプリントを狙いたいチームが他にいるであろう場合には、ある程度タイム差を詰めたところで、他のそういったチームにコントロールを押し付けます。
ゴールスプリントがしたければ勝手にやってくれ、という意思表示です。
ここで紹介したのは極一部ですが、こんな風に様々な思惑が絡んでレースは進んでいきます。 amazonをお気に入り登録される際はこちらからどうぞ!
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