ジロ・デ・イタリア 12日目
ジロ・デ・イタリア 11日目
クラス:WT ステージレース
開催国:イタリア
日程:5月19日
距離:182km
天候:雨
起床時体重:61.4
起床時心拍:46
出場チームメイト:ダミアーノ・クネゴ、ジャコモ・ベルラート、アレサンドロ・ビソルティ、グレガ・ボーレ、リカルド・スタキオッティ、エドワード・グロス、山本元喜、ジャンフランコ・ジリオーリ
コースプロフィールは省略。
レース前のミーティング
ミーティングで「今日はお前の日だ!逃げに乗れ!」と言われる。
そして「スタート直後に1番にアタックしろ!」と言われる。
平坦ステージではほぼ毎回「逃げろ」と言われている。
そろそろ逃げに乗れないと毎回アタックすることになるので大変。
今日はいつも以上に居合を入れて逃げに行く。
レースレポート
雨で殆どの選手がスタートに並びに来ないが、自分はかなり前から並びに行く。
雨がかからないところを見つけて一人で待つ。
スタート時間が近づいて来て選手が増え、パレード開始。
先頭1列目でレース開始。
開始と全く同時に全力でアタック。
踏みまくる。
集団から数人で飛び出している。
交代する。
自分、サウスイースト2人、ガスプロム1人、ランプレ1人。
あまりメンバーが良くない上にランプレが回りたがらない。
すぐに集団に追いつかれる。
追いつかれた瞬間に単独でアタックを掛ける。
一瞬飛び出したがすぐに吸収される。
連続で動いてキツイ。
雨と寒さで筋肉も固まっておりかなり痛い。
しかし今日はここでは下がれない。
集団前方で耐える。
再びアタックに反応するが決めれず。
その後BMCと確かカチューシャ?が飛び出す。
集団が全力で追いかけるが中々差が詰まらない。
差が少しつまり集団が若干緩んだタイミングでベルラートが無線で「今行け!」と言い。
自分がブリッジをかけに全力で飛び出す。
全力で踏んで後ろを見ると集団が結構離れている。
前2人には時間がかかるが追いつけそう。
後は集団がやめてくれれば逃げが決めれる。
全力で踏み続け前に追いつこうとする。
体感時間では1分以上踏んでいたように感じた。
後ろからまず3人ほどに抜かされ、その後に集団に抜かされる。
力を使いすぎて一気に集団に飲み込まれたが前方付近にギリギリ留まる。
もともと飛び出していたうちの1人は帰ってきたがBMCはそのまま先行を続けている姿が見える。
その後集団に飲み込まれているせいで前の様子が分からなくなるが、少しして集団のペースが落ちる。
無線から「今行け!」と言われるが、自分の居る集団左側の前も完全に蓋されていて無理。
橋に入り左側に若干隙間ができ、前のティンコフの選手を無理やり前に上がる。
前に上がった際に「オイ!」と怒鳴られて腰の辺りを殴られる。
無理やり入った事に怒っているのか、アタックしようとしてる事に怒っているのかは分からないが、今はそれで怯んでいる場合ではない。
丁度集団左側からもアタックがかかり、それに反応して自分もアタックする。
集団が伸びただけで決まらず。
そこから再び自分がアタック。
決まらず。
力尽きて集団に呑み込まれる。
その直後にバルディアーニが飛び出して単独で集団から離れていく。
「あれを追いかけろ!」と無線で言われるが、足が無い。
すぐに集団がペースを落としアタック合戦が本当に終了。
開始から20分程。
その後集団内に居ると、近くに着たクネゴに「どうだ?」と聞かれる。
「かなり疲れた」と答えると「(逃げれなかったが)挑戦したのだから良かった。休め」と言ってくれた。
その後グレガからも「挑戦して乗れなかったのだからしょうがない。ここからトランクイーロ(大門さんからユックリでは無く落ち着けや焦るなという意味だと教えてもらった)だ。周回コースに入っても危険であれば無理するな」と言ってくれた。
こういう時は優しい言葉の方が涙腺に来る。
そこから反省タイム。
逃げに乗れず、かなり悔しかったので今日の動きを振り返る。
まず足的には悪くない。
調子も良いしいい反応が出来ていた。
問題はタイミングと冷静さ。
タイミングに関しては集団との掛け合いもあるので何度も試して掴むしかない。
冷静さに関しては……焦り過ぎた。
このジロという大舞台で何としても逃げたいという気持ちが冷静さを失わさせていた。
仕方がないと言ってしまえばそれまでだが、もっと落ち着かなければいけないと思う。
短時間に何度も動いたせいでキレが無くなって行き、ここぞ!という時に動けなかった。
20分くらいそんなことを考えていた。
この反省を次に生かして頑張るしかないと考え気持ちを切り替えてレースに集中する。
スタートから降っていた雨が徐々に強くなり、本格的に寒くなって来る。
前半で体調を崩したのもこの雨と寒さのせいだった。
チームカーにジャケットを取りに下がろうとする。
そこでティンコフの選手に声を掛けられる。
「さっきは殴って悪かった」
今までの罵られたりすることはあっても謝られたことなど無かったし、そもそも自分が無理やり入った事も悪かったので「こちらこそ無理やり入って悪かった」と伝えた。
それでも「俺の方が悪い」と言って謝ってくれた。
確実に格下な自分に対して謝ってくれるなんてかなり驚いた。
マヌエーレ・ボアロだった。
そこからジャケットを受け取り羽織る。
しばらくはそれで問題なかったが、徐々に冷えてくる。
かなり寒い普通に走っているだけだと歯がガタガタするくらい寒い。
これは確実にマズイ。
体を温める為に少し集団から遅れて走る。
余分に踏むことになるがその分温まる。
体温が下がり過ぎて風邪がぶり返すよりマシと考えて走る。
結構な時間そうやって走っていたが集団のペースが少しずつ上がりだしたのでちゃんと付いて行くことにする。
残り60km程。
そこからは他のNIPPOのメンバーと固まって走る。
雨も止み、残り40kmを切る。
集団のペースが落ちたタイミングでスタキオッティとクネゴからレインジャケットを受け取りチームカーに返しに行く。
集団に戻って再びスタキオッティからレインジャケットを受け取る。
スタキオッティが着こんでいたか、誰かから預かったものだろう。
チームカーに再び返しに行くとジュリアーニから「調子はどうだ?」と聞かれる。
「悪くは無い」と答えると「じゃあ逃げている2人が捕まったタイミングでアタックすればいい。日本のファンがテレビで見てるぞ!」と言われる。
見せ場?チャンス?到来!
そのタイミングでアタックできればかなり目立てるだろう。
自分もやりたいと思っていただけにかなり嬉しい指示。
集団に戻り前に上がって行く。
残り40kmを切っていることもあり逃げを吸収する為にかなりペースが上がっている。
前に上がるのにかなり苦労する。
しかも時々現れるコーナーで位置を下げてしまう。
直線で足を使って上がり、コーナーで下がる。
それを何度も繰り返す。
集団のある程度の位置までは上がれるが、そこから先は密集度合いが桁違いで完全に『壁』という感じ。
そうこうしている内にとうとう逃げが捕まる。
逃げが捕まり集団の左右に若干隙間が出来て上がれそう。
しかし上がれない。
ペースが速すぎる。
ゴールスプリントに向けての列車の争いというよりも、自分のような輩が余計な事をしないようにペースを上げて前に出れないようにしている感じ。
それでも前に出ようと頑張る。
(俺の見せ場が!見せ場が!見せ場が……見せ場……限界……)
幾度となく上がり下がりを繰り返したせいで足が限界に達する。
丁度そのタイミングでコースの最後に設定されていた周回に入る。
周回はコーナーがかなり多く、コーナー毎のペースアップに耐える気も起こせずアッサリ千切れる。
そのままアッサリ千切れた5人でゴールした。
感想
逃げようとして全力で頑張った分だけ逃げれなかった悔しさが残った。
無理だったことは仕方がないので次に生かすようにしたい。
逃げれなかったのは残念だったが死に物狂いのファーストアタックがテレビに映して貰えたようでうれしかった。
明日から2日連続でかなりキツイ山岳コースが始まる。
ここを耐え抜くことが出来れば、目標としているジロの完走がグッと近づく。
耐えれなければ家に帰るだけである。
家に帰りたくは無いので、ここで根性を見せて何としても堪えなければいけない。
話は変わりますが、恐らくこのレポートのアップ後にこのブログの「ジロのレポートを上げ出した5月7日以降のページビュー数」が50万ページビューを越えそうです!
広告やアフィリエイトを張っていない為、1銭にもなっていないこのブログですが、このブログを見てロードレースをより好きになってくれるファンの方や新しくファンになってくれる方、またテレビに映らない部分での頑張りや光景を楽しんでもらえる方がいてくれるのであれば値千金だと思っています。
レース後に即行で書いているので誤字脱字も多いですが「アップしている」意味もあるのかなと思います。
アップしなくとも自分の記録のためには書いているとは思いますが。
それでは引き続き「レースを」頑張りますのでこれからも応援よろしくお願いします。
キツさレベル
7
最初のアタック合戦はキツかったが、時間が短かったためそこまでのダメージは無かった。
後半もかなり頑張ったが時間が短かったのでそこまでキツくは無かった。
一番キツかったのは寒さだった。
再び体調を崩さないように気を付けたい。
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