Genki一杯

Top Page > レポート > レースレポート > 全日本選手権ロードレース2021

全日本選手権ロードレース2021

開催地:広島森林公園
日程:10月24日
距離:183km



天候:晴れ

出場チームメイト:中島康晴、畑中勇介、山本元喜、新城雄大、山本大喜、花田聖誠


レースレポート

今年のレースにおいて、国体、熊野と照準を合わせていた2つがキャンセルになってしまった自分としては、何としても獲りたかったのが今回の全日本選手権。
前2つに並ぶ3つの照準レースであり、今年の中で一番に集中して挑んだ。
チームのオーダーとしては、自分と大喜を主軸にしつつも、展開によっては誰でも勝負できる構えであった。
しかし、展開がハードになれば、やはり自分と大喜が勝敗の要になることは予想できており、最終盤でどう戦うか?はとても重要であった。
チームの作戦では他のチームに比べて人数が比較的少ないキナンが、この広島のコースにおいて、あまりに早くから攻撃を仕掛けすぎると人数差でのディスアドバンテージが開く可能性が高い、という判断になった。
したがって、序盤に大人数の逃げが決まらない限りは集団で様子をみて、人数を揃えているチームの消耗を待ってから、攻撃をたたみかけるという作戦となった。
レースの距離は180km強、具体的にはラスト4周の3段坂では勝敗に向けた動きが始まると予想された為、それ以前の6~5周目で攻撃を仕掛けれればベスト、という結論になった。

レースは号砲でスタートするマスドスタート形式。
2年ぶりの開催ということで、前回のロード優勝の入部さんとTT優勝の増田さんが先頭に並んでその後ろに、速いもの順で選手が並ぶ。
自分は最初の動きを警戒していたので先頭に並んでいた。
レースは定刻でスタート。
先頭に並んでいたこともあり常に先頭が見える位置で状況に対処できるように集中を切らさない。
スタート直後からアタックはかかる。
しかし、あまり決定的な勢いも人数も動かない。
全員が長距離のレースという事で警戒しつつ、探り探り仕掛けているという雰囲気はある。
キナンとしては序盤から動かない、という事にはなっていたが、集団の動きやマークの具合も知りたかったので、自分は何度かアタックに乗ったり軽く仕掛けてみたりもした。
その際に明らかにキナンの動きは警戒されている、と感じた。
他の選手のアタックの際と比較して、集団の反応の仕方が明らかに違う。
確実に繋がっていて抜け出せる雰囲気ではなかった。
これはキナンが逃げに乗るのはかなり辛いだろうと状況を整理しつつ集団に戻る。
三段坂で集団が軽く分断されるような状況もあったが、すぐに一つになる。
明らかに大きい逃げが出来る状態ではない、と判断して集団内で様子を展開を見守る方向に切り替える。
全体的にそういう雰囲気が流れたこともあってか、シマノの風間選手が単独で逃げる状態でレースが落ち着く。
単独逃げが決まった直後から愛三がコントロールを始める。
247021115_428275918704661_6412722406163491691_n.jpg
完全に様子見状態で、逃げのペースに合わせた牽引になっており、集団で走行している分にはダメージがほぼ無い。
集団の人数も全然削られておらず、明らかに楽な展開という状態ではあるが、変に仕掛けたところで自分達が無駄足を使う事になるので動きどころが難しい。
どうしたものかと悩んでいる間も距離は減っていく。
チームで集まって相談した結果、できる限り集団を引き延ばした状態で登りに入り、そこからハイペースで登ることによって集団へのダメージと分断を狙う、という作戦になる。
動き出すのはラスト6周から。
最初にラスト6周に入る段階で中島さんにローテーションに加わってもらい、キナンが逃げを吸収したがっている、という様子を見せつつ、他のメンバーで集団前方の好位置に待機する。
248354667_567738617616651_8970090057396112103_n.jpg
その状態で三段坂に入り、そこからは花田の牽引でペースを引き上げて集団の絞り込みを計る。
最初の段階で前に上がっておくことで、攻撃を仕掛けるタイミングを少し分かりにくくするのが作戦だった。
作戦通りにレースは進み、逃げていた風間選手が吸収される。
その直後に別のシマノの選手がアタックを仕掛けたが、反応する選手がおらず再び単独逃げとなる。
しかしそれも、ペースを上げている集団から大きなリードを奪う事は出来す、三段坂に入る。
登り出しから花田を先頭に自分がペースの指示を出しながら登りのペースを上げる。
しっかりと牽引をしてくれたことで、自分が余裕を持ちつつラストの登りに入れた。
さらに絞り込みをかけるために、かなり力を込めて頂上まで踏み切り、集団の分断を計る。
キナンのメンバーはしっかりと残っており、集団は少し分断されつつあった。
しかし、それまでのペースが緩すぎたこともあり、全体的に脚の残っていた選手が多かった。
一時的には分断が発生したものの、平坦区間で先行集団の意思統一が図れず失速、追いついてきたメンバーが合流したことで再び集団が一つにまとまってしまう。
集団を絞り込みたいキナンとしてはもどかしいが、ここで動き過ぎると無駄脚を使ってしまい不利になる。
ペースの落ちた集団で思うようにかき乱せず、苦しい展開になっている。
ラスト5周に入るも、三段坂でペースが上がらず。
仕掛けるチームが居ない事で、コース唯一の長い登りを一つ無駄にしてしまったことになる。
辛い展開に持ち込んでスプリンターを確実に振らせたい、と気持ちは焦るが、それをキナンが全てやるわけにはいかない、という状況によって行動に制限がかかる。
近くに居た雄大にも、少し待とう、という話しかできず。
ラスト4周に入る。
あまり勢いのあるとは言えない状態で再び三段坂に入る。
ここで戻ってきていた花田にペースアップを頼み、登りでの分断をもう一度狙う。
残りの距離にして40km強。
この辺りからであれば、優勝を狙う選手も動いてくるので人数を絞っていけるはず。
248366624_584825702834584_2898616287739787479_n.jpg
ある程度登れる選手が残った先頭集団が形成されたが、スタートゴールラインを過ぎて下っている最中に、遅れた集団が追いついてきて人数がかなり増える。
人数が増えたまま三段坂に入るが、集団の勢いが落ちたまま。
むしろかなり遅い。
増田さんや中根さんといった強力なクライマーや先ほどのキナンの動きを警戒してか、誰も仕掛けない事で緩いペースで三段坂を登り切ってしまう。
ラスト3周へ。
登りで再び花田にペースアップしてもらい絞り込みをかける。
その動きの結果、ある程度人数が絞り込まれ、登り切った先で入部さんが単独で逃げを開始する。
直前のJPTのレースでかなりの力を見せて優勝していただけに、入部さんの動きを無視するわけにはいかず、畑中さんが積極的に追走に入ってくれる。
自分と大喜は集団の分断に注意を払いながら集団で走るが、集団には20名近く残っており単純な登りでの力勝負にはならない可能性も出てくる。
やはり入部さんの独走は中々捕まらず、ラスト2周の三段坂で中根さんのアタックによってペースがかなり上がるも、逃げたまま。
集団は10名程に絞り込まれる。
さらに登り切った先で金子選手と寺崎選手がアタックし、そこに自分も加わり3人の追走が出来る。
この逃げに入ったは良いが、結果的にかなり判断に悩む動きになってしまった。
入部さんを捕まえたいが、ここで踏み切ってしまうと後ろから追いつかれた際に、なす術なく千切れてしまう可能性がある。
また、金子選手と寺崎選手に関してはレースで走ることが少なく、脚質や脚の残り具合が読めない。
結果、積極的にローテーションを回すことが出来なかった。
248477552_1056865358447770_5987553269789838845_n.jpg
ラスト1周に入っているが、コースの前半はコーナーが連続することで後ろとの差が分からない。
一方、前に居る入部さんとは少しずつ差が詰まりつつあった。
途中の登り返しで入部さんに追いつくのと、ほぼ同じタイミングで、中根さんと増田さんが追いついて来る。
それに反応して付いたはいいが、この二人と一緒に行くと三段坂で千切られる可能性がかなり高い。
どうしたものか、と困っていると結局、集団に追いつかれる。
そこから三段坂へ向かう最後の登りの入り口で小石選手がアタック。
一瞬集団が止まり、見送ってしまうと逃げ切られる可能性があるという怖さがあったので、自分が単独でアタックしてブリッヂを仕掛けに行く。
下り切った後の平坦区間で小石選手に追いついたのは良いものの、後ろから集団にも追いつかれ、10人で登りに入る。
登りの途中で小石選手と草場選手がアタックして先行する。
集団が止まり、お見合い状態になる。
これを追わないと、逃げ切られてしまうかもしれないと焦った結果、自分が集団を牽引して登りで差を詰める。
完全に詰め切ることはできなかったが、数秒差まで詰めたところで池周りの平坦区間へ。
先頭を交代したところで加速する集団に何とか張り付く。
しかし、最後の登りの頂上に向けて再度、活性化した集団に付くことが出来ず千切れる。
ここで自分の全日本は実質終了。
その後は後ろから追いついてきた第2集団からも千切られて18位でゴール。
247481820_149613470663931_2749430006285326846_n.jpg
トップ集団では大喜が4位に入ったのが最高位。


感想

色々と判断の難しいレースだったと思う。
全日本選手権は各選手のかける思いが他のレースよりもかなり大きいので、特殊なレースになりやすい。
それが今回は守りに入った展開という形で出た。
自分自身も何としても外せない、絶対に失敗は出来ない、と焦りを持ち続けた結果、終盤で思い切りのいい動きを出来なかったことが今回の敗因の一つでもあると思う。
勝利した草場選手が強かったのは大前提としたうえで、少し展開が違えば自分も優勝できる可能性は存在していたと思う。
その可能性一つ一つに対し、細かな判断ミスや迷い、僅かな力の足らなさ、そういったものが積み重なって今回の結果となった。
レースで苦しむ中で、その時々において「最善」と感じた判断を積み重ね続けていたのは疑いようが無いので、優勝できた可能性は存在していたが、何度繰り返してもこの結果は変わらないのだろうと思う。
今回のレースでは終わってから、「もし、あの時、別の判断をしていれば……」と思うことが多々あった。
でも、今の自分の持っている能力や判断力において、その場で下せる最善を尽くした以上は、それ以外の選択肢が無かったのだと思う。
つまり、いま必要なのは、自分がレースで出来なかった「別の判断」が出来る自信と力を付ける事なのだと思う。
レースは各選手の思惑によって様々な展開があるのが面白みではあるが、自分は今回のレースを結果的に面白かった、とは思えない。
「自分が面白かったと思えるレース」をするためにも、もう一段階上の力を付けて、次を目標にする必要があると、再認識させられた。


キツさレベル

10
最善を尽くして限界まで追い込み切って、散った。 amazonをお気に入り登録される際はこちらからどうぞ!

山本元喜のYouTubeチャンネルはコチラ!

山本元喜の本はコチラ!

COMMENTS

0 Comments
There are no comments yet.

REPLY

Leave a reply