2022ツール・ド・北海道 第3ステージ
CATEGORYレースレポート
クラス:UCI2.2
開催地:北海道
日程:9月11日
距離:170km
天候:晴れ
出場チームメイト:21トマ・ルバ、22マルコス・ガルシア、23山本元喜、24新城雄大、25山本大喜
レースレポート
いよいよ最終日。
初日から日々足切りの恐怖に怯えながらも、走ってきた北海道も今日で最後となる。
多少のイレギュラーは存在したものの、キナンは現在トマが総合2位に付けている。
初日のリザルトでは大喜とマルコスも上位に居たので2日目の結果で若干チャンスを失った形にはなっていたが、トマは3位の松田選手と20秒差で逆転される危険性は低く、1位のEFの門田選手とは5秒差というEFのワンミスで奪えるポジションに居たのでチャンスを狙うという形だった。
トマは基本的に自分で対応するから他の選手は自由に動いてくれても大丈夫と言ってくれていた。
昨日に順位を失った大喜とマルコスは奪い返しに行く、と息巻いており、おそらく同じような考えを持っている他チームのチャンスがある選手を巻き込んで4分差以上の逃げ切りで逆転を狙う、という作戦だった。
自分や雄大は総合のチャンスは無いが、逃げの動きでレースをかき乱すのが目的だった。
EFのコントロールにダメージを与えることが重要となる。
コントロールしきれずに大喜やマルコスが4分以上タイム差を広げてゴールすれば総合が逆転でき、4分差以内でもEFが疲弊してトマが門田選手から5秒以上タイム差を付けれれば総合優勝できる。
そして4分差以上の逃げ切りが決まらず、集団でゴールした場合にはトマの個人総合2位と、おそらくチーム総合優勝できる、という形。
上位の成績を狙うことはできるが、取りこぼすことは無いだろう、というチームとしては良い形で最終日に挑むこととなった。
自分個人としては、とにかくレースを活性化してEFが苦労する展開になるように、かき乱したかった。
ダメージを与えれば与えるだけ自分たちに有利になるわけだから、動かない手は無い。
最悪自分が完全に脚を使い切ってDNFになったところでチームにとって大き過ぎる被害はないだろう、という考えの元、脚の使い切りを目標としてスタートラインに並ぶ。
懸念点は2日間苦しんでいることで余裕が無い可能性。
いざスタートしてみたら全然余裕がなく、付いて行くことで精いっぱいというパターンだが、その時は仕方が無いと諦めて散るしかない。
というわけでレーススタート。
EFにとっては自分が逃げたところで全く問題は無いだろうから、自分の動きとしては逃げたい他の選手を引き連れて逃げを作り、可能であれば8名以上を先行させることで追走に脚を使わせたい、という考えがあった。
あとはEFのコントロールの仕方によっても攻撃の仕方が変わってくる。
EFが序盤は好きにアタック合戦を行わせて、ある程度落ち着き始めてからコントロールを開始するつもりなら、積極的に攻撃を仕掛けたところでダメージを与えられないので意味が無い。
逆に最初から少人数しか逃がしたくないような、集団をまとめる動きをしてくる場合、登りでアタックを続けて踏み続けることでダメージを与えられる。
結果、EFは後者の集団をまとめる動きをしていたように見えた。
流れに乗ってまとめるというよりは、積極的に集団を牽引して少数しか逃がすつもりが無い雰囲気。
だからかなり積極的に攻撃を仕掛けていった。
自分が逃げに乗れるかどうかは別にどうでもよくて、人数の多い逃げを作りたかった。
ワチャワチャとアタックが繰り返された結果、マルコスが2人で抜け出していった。
EFとしては、この2人を見送るのが一番楽なパターンのはずだったので、追加で人数を送り出すために集団からアタックを続けて、活性化させた。
相手がされたく無いであろう攻撃を仕掛けるのは定石。
その結果、8名が追加で抜け出していったが、そこにEFの留目選手も入っていたので実質9人が先行。
EFが追加の逃げを打ち切るためにペースダウンの体制に入り、分かりやすく「10人以上は逃がすな」と声を出していたので、再びアタックを仕掛けて再活性化を狙ったが、逃げに動ける脚を残している選手が居なかったのか、沈静化する。
追加で逃がすつもりが無いということもあり、自分がブリッジを仕掛けに行っても追われ、どう仕掛けようか、と考えているとトマが「キナンが一番脚を使わされているから、一度やめよう」と言っていると雄大に伝えられ、終戦。
そこからしばらくは集団内で待機。
序盤に動いた感じではコンディションは悪くなさそう。
初日こそ絶望的に辛かったが、少しずつ良くなっていっているように感じる。
EFは逃げと3分差でタイム差をキープしたいようで、登りが始まるまでに少しずつタイム差を広げていた。
逃げのメンバーで総合最上位だったのは、ブリヂストンの今村選手でマルコスは2位だった。
逃げが大きなタイム差を付けて逃げ切った場合でも、今村選手を千切ることが出来なかった場合、総合順位は2位止まり、ということになる。
こういう状況になるとキナンとしてはEFのコントロールが崩壊するも、タイム差は4分以内で収まり、トマが門田選手から5秒差を取る、という手段が一番総合優勝に近い気はした。
そんなこんなで最終日唯一の山岳ポイントのある登りに入る。
ここで2日目に遅れた総合上位の選手が攻撃を仕掛け始める。
逃げ集団にブリッジするのが目的のアタックではあるが、集団が活性化してコントロールするEFを含めた全員が疲れるに越したことは無いので、ブリッジするつもりのない自分もアタックを仕掛ける。
基本的に自分の動きは無視されるが、そのまま先行し続けて後からアタックをかけてきた選手の牽引を行うという形でペースアップを図る。
自分が単独で抜け出して問題は無いだろうが、総合順位逆転の可能性がある選手に抜け出されるのは困るのでEFも追わざるを得ない。
そんなこんなでどこまで意味があるか分からない先行と牽引と吸収とアタックを繰り返していると、大喜と増田さんが抜け出した。
しばらく2人とEFのコントロールする集団のタイム差が30秒差ほどで維持されていたので、勾配の緩い区間だけでも牽引できればアシストになるだろうと思い、集団から発射して、頑張って追いついたがいっぱいいっぱいで、大喜が登りで踏んだせいで千切れた。
後ろからトマがブリッジしてきた場合には発射できるように踏みやめずに一定のペースで走っていると、山岳ポイント手前でEFに追いつかれ、そこからは集団内でトマと一緒に走った。

自分を千切っていった大喜はその後、増田さんを置いて単独で逃げ集団にブリッジを仕掛け、合流した。
その後、逃げ集団からEFの留目選手が集団に帰って来て牽引に加わった。
タイム差は延々と3分前後をキープし続け、ラスト40kmあたりから愛三がローテーションに加わった。
EFはそれまでの牽引で疲労していた上に、逃げ集団を吸収する必要が無かったので、積極的に牽く感じではなく、愛三はおそらく逃げを吸収したいものの牽引しきる力が無いため、中途半端にタイムが詰まる程度でラスト20km地点あたりでは逃げ切りがほぼ濃厚になっていた。
逃げ集団からは少しずつ選手が遅れ最終的には8人で逃げ続けていた。
ラスト40kmほどは下り基調で時速40km以上はほぼ常に出ており、時速50km以上出ているところも多かったので、追いつかれる可能性があるのでは?と心配もしたが、追いつくことは無かった。
集団ではトマが門田選手から5秒のタイム差を獲得すれば優勝という状況だったので、短い登りでアタックを仕掛けていたが決まらず、集団でのゴールスプリントとなった。

結果、逃げ切りの集団でマルコスが3位に入り、トマが総合2位を守り、チーム総合もキナンが獲得することが出来た。

感想
2日目よりも体が動いていた気がする。
正直、ゴールしなくてもチームとしての攻撃に意味があればいいという気持ちで動いていたので爆散覚悟で全力で最初から動いていた。
自分の感覚としては、完走したかったり余裕が無い選手が多かったのが、後先考えずに攻撃している選手が少なかった気がする。
総合リーダーが長めのタイム差をキープすればいい日には、大きく遅れている選手は逃がしてもらえることが多いのに、勿体ないな、と思う気持ちもあったが、まぁ選手それぞれにやりたいことがあるので仕方が無いかと思う。
今回はリハビリの気持ちももって参加していたが、ガッツリ追い込むことが出来て、疲労困憊でやり切った気持ちを持てるレースだった。
チームとしても成績を残すことが出来ていたので悪くは無かったと思う。
キツさレベル
8
調子が良くなっていたこともあり動けていて限界で終了、という感じではなかった。
特に中盤以降はコントロールされた集団に付いて行くだけだったので、そこまで疲れ切った感じは無かった。
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開催地:北海道
日程:9月11日
距離:170km
天候:晴れ
出場チームメイト:21トマ・ルバ、22マルコス・ガルシア、23山本元喜、24新城雄大、25山本大喜
レースレポート
いよいよ最終日。
初日から日々足切りの恐怖に怯えながらも、走ってきた北海道も今日で最後となる。
多少のイレギュラーは存在したものの、キナンは現在トマが総合2位に付けている。
初日のリザルトでは大喜とマルコスも上位に居たので2日目の結果で若干チャンスを失った形にはなっていたが、トマは3位の松田選手と20秒差で逆転される危険性は低く、1位のEFの門田選手とは5秒差というEFのワンミスで奪えるポジションに居たのでチャンスを狙うという形だった。
トマは基本的に自分で対応するから他の選手は自由に動いてくれても大丈夫と言ってくれていた。
昨日に順位を失った大喜とマルコスは奪い返しに行く、と息巻いており、おそらく同じような考えを持っている他チームのチャンスがある選手を巻き込んで4分差以上の逃げ切りで逆転を狙う、という作戦だった。
自分や雄大は総合のチャンスは無いが、逃げの動きでレースをかき乱すのが目的だった。
EFのコントロールにダメージを与えることが重要となる。
コントロールしきれずに大喜やマルコスが4分以上タイム差を広げてゴールすれば総合が逆転でき、4分差以内でもEFが疲弊してトマが門田選手から5秒以上タイム差を付けれれば総合優勝できる。
そして4分差以上の逃げ切りが決まらず、集団でゴールした場合にはトマの個人総合2位と、おそらくチーム総合優勝できる、という形。
上位の成績を狙うことはできるが、取りこぼすことは無いだろう、というチームとしては良い形で最終日に挑むこととなった。
自分個人としては、とにかくレースを活性化してEFが苦労する展開になるように、かき乱したかった。
ダメージを与えれば与えるだけ自分たちに有利になるわけだから、動かない手は無い。
最悪自分が完全に脚を使い切ってDNFになったところでチームにとって大き過ぎる被害はないだろう、という考えの元、脚の使い切りを目標としてスタートラインに並ぶ。
懸念点は2日間苦しんでいることで余裕が無い可能性。
いざスタートしてみたら全然余裕がなく、付いて行くことで精いっぱいというパターンだが、その時は仕方が無いと諦めて散るしかない。
というわけでレーススタート。
EFにとっては自分が逃げたところで全く問題は無いだろうから、自分の動きとしては逃げたい他の選手を引き連れて逃げを作り、可能であれば8名以上を先行させることで追走に脚を使わせたい、という考えがあった。
あとはEFのコントロールの仕方によっても攻撃の仕方が変わってくる。
EFが序盤は好きにアタック合戦を行わせて、ある程度落ち着き始めてからコントロールを開始するつもりなら、積極的に攻撃を仕掛けたところでダメージを与えられないので意味が無い。
逆に最初から少人数しか逃がしたくないような、集団をまとめる動きをしてくる場合、登りでアタックを続けて踏み続けることでダメージを与えられる。
結果、EFは後者の集団をまとめる動きをしていたように見えた。
流れに乗ってまとめるというよりは、積極的に集団を牽引して少数しか逃がすつもりが無い雰囲気。
だからかなり積極的に攻撃を仕掛けていった。
自分が逃げに乗れるかどうかは別にどうでもよくて、人数の多い逃げを作りたかった。
ワチャワチャとアタックが繰り返された結果、マルコスが2人で抜け出していった。
EFとしては、この2人を見送るのが一番楽なパターンのはずだったので、追加で人数を送り出すために集団からアタックを続けて、活性化させた。
相手がされたく無いであろう攻撃を仕掛けるのは定石。
その結果、8名が追加で抜け出していったが、そこにEFの留目選手も入っていたので実質9人が先行。
EFが追加の逃げを打ち切るためにペースダウンの体制に入り、分かりやすく「10人以上は逃がすな」と声を出していたので、再びアタックを仕掛けて再活性化を狙ったが、逃げに動ける脚を残している選手が居なかったのか、沈静化する。
追加で逃がすつもりが無いということもあり、自分がブリッジを仕掛けに行っても追われ、どう仕掛けようか、と考えているとトマが「キナンが一番脚を使わされているから、一度やめよう」と言っていると雄大に伝えられ、終戦。
そこからしばらくは集団内で待機。
序盤に動いた感じではコンディションは悪くなさそう。
初日こそ絶望的に辛かったが、少しずつ良くなっていっているように感じる。
EFは逃げと3分差でタイム差をキープしたいようで、登りが始まるまでに少しずつタイム差を広げていた。
逃げのメンバーで総合最上位だったのは、ブリヂストンの今村選手でマルコスは2位だった。
逃げが大きなタイム差を付けて逃げ切った場合でも、今村選手を千切ることが出来なかった場合、総合順位は2位止まり、ということになる。
こういう状況になるとキナンとしてはEFのコントロールが崩壊するも、タイム差は4分以内で収まり、トマが門田選手から5秒差を取る、という手段が一番総合優勝に近い気はした。
そんなこんなで最終日唯一の山岳ポイントのある登りに入る。
ここで2日目に遅れた総合上位の選手が攻撃を仕掛け始める。
逃げ集団にブリッジするのが目的のアタックではあるが、集団が活性化してコントロールするEFを含めた全員が疲れるに越したことは無いので、ブリッジするつもりのない自分もアタックを仕掛ける。
基本的に自分の動きは無視されるが、そのまま先行し続けて後からアタックをかけてきた選手の牽引を行うという形でペースアップを図る。
自分が単独で抜け出して問題は無いだろうが、総合順位逆転の可能性がある選手に抜け出されるのは困るのでEFも追わざるを得ない。
そんなこんなでどこまで意味があるか分からない先行と牽引と吸収とアタックを繰り返していると、大喜と増田さんが抜け出した。
しばらく2人とEFのコントロールする集団のタイム差が30秒差ほどで維持されていたので、勾配の緩い区間だけでも牽引できればアシストになるだろうと思い、集団から発射して、頑張って追いついたがいっぱいいっぱいで、大喜が登りで踏んだせいで千切れた。
後ろからトマがブリッジしてきた場合には発射できるように踏みやめずに一定のペースで走っていると、山岳ポイント手前でEFに追いつかれ、そこからは集団内でトマと一緒に走った。

自分を千切っていった大喜はその後、増田さんを置いて単独で逃げ集団にブリッジを仕掛け、合流した。
その後、逃げ集団からEFの留目選手が集団に帰って来て牽引に加わった。
タイム差は延々と3分前後をキープし続け、ラスト40kmあたりから愛三がローテーションに加わった。
EFはそれまでの牽引で疲労していた上に、逃げ集団を吸収する必要が無かったので、積極的に牽く感じではなく、愛三はおそらく逃げを吸収したいものの牽引しきる力が無いため、中途半端にタイムが詰まる程度でラスト20km地点あたりでは逃げ切りがほぼ濃厚になっていた。
逃げ集団からは少しずつ選手が遅れ最終的には8人で逃げ続けていた。
ラスト40kmほどは下り基調で時速40km以上はほぼ常に出ており、時速50km以上出ているところも多かったので、追いつかれる可能性があるのでは?と心配もしたが、追いつくことは無かった。
集団ではトマが門田選手から5秒のタイム差を獲得すれば優勝という状況だったので、短い登りでアタックを仕掛けていたが決まらず、集団でのゴールスプリントとなった。

結果、逃げ切りの集団でマルコスが3位に入り、トマが総合2位を守り、チーム総合もキナンが獲得することが出来た。

感想
2日目よりも体が動いていた気がする。
正直、ゴールしなくてもチームとしての攻撃に意味があればいいという気持ちで動いていたので爆散覚悟で全力で最初から動いていた。
自分の感覚としては、完走したかったり余裕が無い選手が多かったのが、後先考えずに攻撃している選手が少なかった気がする。
総合リーダーが長めのタイム差をキープすればいい日には、大きく遅れている選手は逃がしてもらえることが多いのに、勿体ないな、と思う気持ちもあったが、まぁ選手それぞれにやりたいことがあるので仕方が無いかと思う。
今回はリハビリの気持ちももって参加していたが、ガッツリ追い込むことが出来て、疲労困憊でやり切った気持ちを持てるレースだった。
チームとしても成績を残すことが出来ていたので悪くは無かったと思う。
キツさレベル
8
調子が良くなっていたこともあり動けていて限界で終了、という感じではなかった。
特に中盤以降はコントロールされた集団に付いて行くだけだったので、そこまで疲れ切った感じは無かった。
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