秋吉台カルストロード
CATEGORYレースレポート
クラス:JCL
開催地:山口県秋吉台
日程:10月30日
距離:118km
天候:晴れ
出場チームメイト:畑中勇介、山本元喜、新城雄大、山本大喜、花田聖誠、仮屋和駿
レースレポート
今回のレースで一番のポイントは何といってもカルストベルグ。
あの激坂でのペースアップで集団は確実に絞り込まれ、そこで登れる選手にしかリザルトが残せる可能性はない。
キナンとしては基本的に登れる選手が多いので有利ではあるのだが、今回はそれ以上にチーム右京のメンバーが濃く、圧倒的に有利だろうという予想をしていた。
ダイボール選手は当然として、直前に加入したプラデス選手、そして小石選手も確実に登れるので最悪の場合においては1~3位までを独占される、という可能性も考えていた。
石橋選手も登れるが、これまでの動きやメンバーの構成から考えると武山選手と一緒にアシスト側に回るだろうと考えた。
出場選手の一覧から考えても登りでの正面切っての勝負になるとキナンとチーム右京の全面戦争で、そのうえで登れるメンバーをそろえている右京が有利、という予想。
ここまで踏まえたうえで、チーム右京にとって一番理想的な展開は数名程度の少人数で最終周回のゴールに向けたカルストベルグに入ることだろうと予想できた。
キナンとしては一番登れる大喜で優勝を狙うことを一番に狙い、そのために最終周のカルストベルグにある程度の人数を残した団子状態の小集団で突入することが目標となった。
カルストベルグの麓から一斉に頂上までの踏みあいを行えば大喜が勝てる確率が一番高いから、という考えの上での作戦だった。
つまり、レースでは絞り込みをかけて少人数に数を残して展開を有利に運ぼうとするチーム右京と、少しでも集団の人数を残して最後のカルストベルグで勝負がしたいキナン、という形になるだろう、と予測できた。
キナンは大喜の登りで勝負がメインで逃げは打たず。
チーム右京が加わる逃げが出来た場合には乗っていくが、そうでなければ10名近い逃げが出来たところで追わない、と決めていた。
今回のコースでは10名の逃げが出来たとしても登りで分解、ないしペースアップした集団に追いつかれて消耗するだけで終わる、と考えたからである。
レースは3km弱のパレードを挟んでからリアルスタートとなった。
道幅が広いことや逃げを打とうと考えた選手が少ないこともあってか、激しいレースになる際特有のスタートから逃げを打ちたい選手たちによる先頭の取り合いがあまりなく、リラックス感のあるスタートとなった。
激しくない展開は自分たちも脚を残しつつ登りに備えれるので悪くは無く、どうせカルストベルグで一気に絞り込まれるんだろう、と考えていたのだが、1周目の折り返しからチーム右京が集団を牽引してペースアップしていたのは驚いた。
アシスト側に回る選手が少しでも消耗してくれるのは後の展開において有利に運ぶ点しかないのでキナン側としては嬉しい誤算であった。
適度に集団での位置取りを行いつつ秋吉台を抜けていき、一気に下ってカルストベルグへ。
絞り込みというほどではないが、集団に確実にダメージが入るまずまずのペースで登っていき、山頂を通過した際にはやはり人数が減っていた。
ちなみに、スタートフィニッシュラインでダイボール選手が先行していたが、山岳ポイントの周回数を勘違いしていたのではないか?という疑いが残っている。
山岳ポイントは2周目、3周目、ゴールに設定されており、1周目の終わりには山岳ポイントの設定は無かった。
集団の人数は絞られたものの、その後にペースが緩んだことで再び大集団に戻り、数名が単独で抜け出すだけの展開になった。
やはり登りだけで勝負になっていくのだろうと考えながら走る。
集団の牽引には畑中さんが入ってくれて武山選手と一緒にコントロールしていた。
畑中さんは広島の骨折で鎖骨にプレートが入ったままで、本調子ではないがかなりいいペースで牽引してくれていた。
最初はコントロールしてくれている真後ろに入っていたが、後方を確認すると団子状態になっていたので下がった方が風避けに他のチームの選手を利用できると考えてキナンでまとまって集団中盤まで下がった。
折り返し後のアップダウン区間は基本的に追い風なので、カルストベルグに向けた位置取りも兼ねて前方に上がっていた。
そこから2回目のカルストベルグへ。
登りの入り口からチーム右京がペースアップしている様子が見えたので、下りで遅れた分を一気に踏んで前に上がる。
小石選手のペースメイクで登っていたが、今回は山岳賞が絡んでいることもあり頂上に向けて明らかにペースが上がっていた。

大喜が山岳ポイントを獲得するためにアタックしたことでペースが上がり、少し離れてしまったが勾配が緩んだところですぐに追いついた。
先頭は登りで絞り込まれたことでキナンから自分、大喜、花田、右京からプラデス選手、ダイボール選手、小石選手の6人になった。
この6人での抜け出しは右京からすれば理想的な展開でこのまま行きたかっただろうが、キナン的には実力で見た場合に不利だと判断したため、ローテーションは回すが積極的にペースを上げには行かなかった。
イマイチペースが上がり切らなかったことで後方集団に追いつかれる。
先行出来ていた6名は登りで勝負できる確信があるので、無駄な脚を使わないために温存、追いついた選手達は消耗していることで動けずという膠着状態になる。
アタックがかかるものの複数名での抜け出しは見逃されず、集団は最終集団まで合流し大きくなった。
再び畑中さんが少しでも仕事を遂行するべく先頭に出てペースをコントロールしてくれていた。
中間スプリントでの抜け出しがあったものの集団一つのまま武山選手と畑中さんのコントロールで3回目のカルストベルグへ向かっていった。
下りでギャップを稼いだダイボール選手がそのまま先行して登り始めたため、自分が先頭に出て一定のペースで追う。

頂上に向けて差を埋めていくつもりだったが、ダイボール選手がジワジワと加速していき、少しずつ差が広がっていた。
山岳ポイントを狙って大喜がアタックしてダイボール選手を捕らえに動いたがそのペースアップで自分と花田が遅れてしまった。

先頭はアップダウン区間で大喜とチーム右京3名という圧倒的に不利な状況になってしまう。
遅れた自分と花田は協力して少しでも早く差を詰めるべく、限界を越えない限界のペースで追い続ける。
先頭ではアタックが交互に繰り返され、大喜が一方的に殴られる展開。
一刻も早く追いつくために片方だけでも全力で追いつくべきか?という考えも頭に浮かぶが、それを行ったところで人数的に不利になるので良くない。
2人で協力しながら少しずつ差を埋め、前が緩んだところで一気に詰めに行こうともするが、そういう時に限ってアタックがかかり瞬間的に差が広がる。
先頭はアタックと牽制を繰り返しているので当然と言えば当然なのだが、追いつきそうという希望を見せられた後に差を広げられると心が折れそうになる。
それでも頑張って追っているとプラデス選手が打ち合いをやめて下がってきた。
あまり効果的に大喜を消耗させられていない、と考えて脚を温存する判断をしたのだろう。
先頭が2対1になったことで攻撃の勢いが落ち、追いつけて同数での勝負に引き戻すことが出来た。
3対3ではあるが、以前チーム右京側が有利なことに変わりはなかった。
キナンとしては一度集団に戻ることで状況をリセットしたい、そしてそれまでに先行する右京の3人に脚を少しでも削っておきたい、という思惑があり、アタックを仕掛けていた。
アタックを仕掛け先行するものの逃げるつもりは無いので、踏まないという奇妙な動きではあった。
アタックに反応する際と逃げる気が無いとバレるまでの1ローテーション分は反応した選手を消耗させることが出来る。
逆に右京側の選手もアタックを仕掛けてくることもあるが、その際はチェックにだけ入って前には出ない。
その流れの中で花田のアタックがスルーされて単独先行になる。
おそらく独走力が低いと判断されて、消耗させようと考えられたのだと思う。
そこに大喜が追加でアタックし反応したダイボール選手と一緒に3人での先行になる。
自分は小石選手とプラデス選手の間に挟まれ、プラデス選手のブリッヂを警戒していた。
アタックと牽制の掛け合いの結果、先行3人に追いつくタイミングで集団も迫っていたので、アタックしたところプラデス選手が一緒に抜け出し、再び地味な消耗作戦を仕掛けておいた。
自分では最後のカルストベルグで正面切ってダイボール選手とプラデス選手と勝負して勝ち目は薄いので、大喜が勝負した際に少しでも有利になるようにダイボール選手とプラデス選手の脚を削っておくことは大切。
追いついた集団には雄大と仮屋が残っていたので、そこからアシストとしての動きを2人に任せる。
アタックの仕掛け合いの結果抜け出したVC福岡の選手に小石選手とブリッツェンの小野寺選手がブリッジした。
小石選手が動いたタイミングで仮屋が反応しようとしたが、呼び止めて追わないように指示した。
小石選手は登りでの力があることが分かっていたので、このタイミングで消耗させておきたかった。
仮屋に一定の距離で追い続けてもらうことで逃げのメンバーを消耗させることが出来る。
当然、仮屋は消耗してしまうが登りで勝率の高い小石選手を消耗させられるのであれば悪くない。
射程圏内で距離を維持してくれていたが、少し辛くなったようで先頭を交代し自分が先頭に出る。
仮屋が辛くなってきているのであれば早めに詰めた方が良いと判断して、ペースを上げて少し詰めたところで再び仮屋に代わり、差を詰め切るように指示した。
追いつくタイミングで後ろを確認したことで集団が割れていることを認識した。
おそらく大喜との牽制でダイボール選手とプラデス選手と大喜が離れたのだろう。
先行集団には花田もいたので、小石選手以外であれば自分と花田の勝率がかなり高い。
先行3人を吸収する際のカウンターで石橋選手がアタックを仕掛けたが、今度は花田に反応するように指示した。
この状況では小石選手を消耗させつつ、他の選手と自分か花田が抜け出すというのがキナンとして理想的。
動きの中で堀選手が単独先行したところに自分がブリッジを仕掛けて2人になった。
後ろを確認すると集団がさらに分かれ、それぞれ石橋選手と小石選手が先頭で牽いていたので、二人を一気に消耗させるチャンス!と考えて本気で踏んでいった。
当然ゴールまで踏み切れるように調整はしていたが、堀選手と2人で協力できるので労力半分で二人を消耗させられるのはかなり美味しい。
交代するたびに後ろを確認し、最終的に小石選手が猛烈に追い上げてきているのを確認して踏みやめる。
小石選手が自分を吸収したところでペースダウンしたので、前で踏んでいた堀選手が単独で先行する形になった。
吸収されたタイミングで大喜とプラデス選手、ダイボール選手の姿が確認できたので集団を落ち着かせるより、アタックを仕掛けて追走させることで消耗させた方が良いと判断し、失速した集団から再びアタック。
石橋選手だけが反応し集団が離れたので再び逃げ開始。
石橋選手はローテーションを拒否していたが、今日のレース全体を通してアシストとして動いていたので、自分の動きのチェックで反応したのだろう。
そもそも、後ろにチーム右京の登れる選手が残っているので、ここで石橋選手が前を牽くのは裏切り行為になる。
堀選手とローテーションを回しているとレバンテフジのボローエルデン選手が合流し3人で協力してペースを上げる。
この4人で逃げ切れればカルストベルグで引き離して勝てる自信があったので、登りのために脚を温存しつつも逃げ切りも考えて踏んだ。
そのまま4人で逃げたまま、ラストのカルストベルグへ。
集団が後ろから追っていることもあり、変に駆け引きするよりも自分の最速タイムで登り切るのが最適解だと判断し、登り出しから一定のペースを意識して踏んでいく。
すぐに単独になり、踏み過ぎないように意識して踏んでいった。
ここで焦って踏み過ぎると終盤に失速するので後ろから追いつかれる可能性が高くなってしまう。
登りの途中で後ろを確認するとプラデス選手が勢いよく迫っており、かなり焦ったがペースを上げると失速するので、もはや自分の限界のペースで登り続けるしかなかった。
勾配が緩んだところで一気に差を詰められ追いつかれた。
一呼吸置いて千切ろうと踏みなおしたが突き放せず、速度が落ちたところでカウンターアタックをかけられ逆に千切られてしまった。
ラスト100mを切ったところで再び踏みなおして逆転を狙ったが、振り返ったプラデス選手が再び踏みなおしたことで追いつけず、2位でゴールした。

感想
やれることは全てやったうえで最終的に力が及ばなかったという印象。
優勝を逃してしまったが、大喜の3位も含めて表彰台に2人送り込めたのは良かったと思う。
純粋な力勝負だけで正面からぶつかるとチーム右京に表彰台を独占される危険も感じていたので、チームとして連携できたおかげで残せた結果であるのは間違いないと思う。
登りでの力がもう少しあれば、最終周に大喜を一人にしてしまった状況を含め、全体的に不利な場面を減らせたり最後に優勝できるタイムで登れていたと思うので、さらに上のリザルトを求めるのであれば力を付けるしかない。
優勝できず悔しかったが、手は全て尽くしたうえでの結果だったので後悔は無かった。

キツさレベル
10
最後まで追い込み切って、全て出し切ったうえでのゴールだった。
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開催地:山口県秋吉台
日程:10月30日
距離:118km
天候:晴れ
出場チームメイト:畑中勇介、山本元喜、新城雄大、山本大喜、花田聖誠、仮屋和駿
レースレポート
今回のレースで一番のポイントは何といってもカルストベルグ。
あの激坂でのペースアップで集団は確実に絞り込まれ、そこで登れる選手にしかリザルトが残せる可能性はない。
キナンとしては基本的に登れる選手が多いので有利ではあるのだが、今回はそれ以上にチーム右京のメンバーが濃く、圧倒的に有利だろうという予想をしていた。
ダイボール選手は当然として、直前に加入したプラデス選手、そして小石選手も確実に登れるので最悪の場合においては1~3位までを独占される、という可能性も考えていた。
石橋選手も登れるが、これまでの動きやメンバーの構成から考えると武山選手と一緒にアシスト側に回るだろうと考えた。
出場選手の一覧から考えても登りでの正面切っての勝負になるとキナンとチーム右京の全面戦争で、そのうえで登れるメンバーをそろえている右京が有利、という予想。
ここまで踏まえたうえで、チーム右京にとって一番理想的な展開は数名程度の少人数で最終周回のゴールに向けたカルストベルグに入ることだろうと予想できた。
キナンとしては一番登れる大喜で優勝を狙うことを一番に狙い、そのために最終周のカルストベルグにある程度の人数を残した団子状態の小集団で突入することが目標となった。
カルストベルグの麓から一斉に頂上までの踏みあいを行えば大喜が勝てる確率が一番高いから、という考えの上での作戦だった。
つまり、レースでは絞り込みをかけて少人数に数を残して展開を有利に運ぼうとするチーム右京と、少しでも集団の人数を残して最後のカルストベルグで勝負がしたいキナン、という形になるだろう、と予測できた。
キナンは大喜の登りで勝負がメインで逃げは打たず。
チーム右京が加わる逃げが出来た場合には乗っていくが、そうでなければ10名近い逃げが出来たところで追わない、と決めていた。
今回のコースでは10名の逃げが出来たとしても登りで分解、ないしペースアップした集団に追いつかれて消耗するだけで終わる、と考えたからである。
レースは3km弱のパレードを挟んでからリアルスタートとなった。
道幅が広いことや逃げを打とうと考えた選手が少ないこともあってか、激しいレースになる際特有のスタートから逃げを打ちたい選手たちによる先頭の取り合いがあまりなく、リラックス感のあるスタートとなった。
激しくない展開は自分たちも脚を残しつつ登りに備えれるので悪くは無く、どうせカルストベルグで一気に絞り込まれるんだろう、と考えていたのだが、1周目の折り返しからチーム右京が集団を牽引してペースアップしていたのは驚いた。
アシスト側に回る選手が少しでも消耗してくれるのは後の展開において有利に運ぶ点しかないのでキナン側としては嬉しい誤算であった。
適度に集団での位置取りを行いつつ秋吉台を抜けていき、一気に下ってカルストベルグへ。
絞り込みというほどではないが、集団に確実にダメージが入るまずまずのペースで登っていき、山頂を通過した際にはやはり人数が減っていた。
ちなみに、スタートフィニッシュラインでダイボール選手が先行していたが、山岳ポイントの周回数を勘違いしていたのではないか?という疑いが残っている。
山岳ポイントは2周目、3周目、ゴールに設定されており、1周目の終わりには山岳ポイントの設定は無かった。
集団の人数は絞られたものの、その後にペースが緩んだことで再び大集団に戻り、数名が単独で抜け出すだけの展開になった。
やはり登りだけで勝負になっていくのだろうと考えながら走る。
集団の牽引には畑中さんが入ってくれて武山選手と一緒にコントロールしていた。
畑中さんは広島の骨折で鎖骨にプレートが入ったままで、本調子ではないがかなりいいペースで牽引してくれていた。
最初はコントロールしてくれている真後ろに入っていたが、後方を確認すると団子状態になっていたので下がった方が風避けに他のチームの選手を利用できると考えてキナンでまとまって集団中盤まで下がった。
折り返し後のアップダウン区間は基本的に追い風なので、カルストベルグに向けた位置取りも兼ねて前方に上がっていた。
そこから2回目のカルストベルグへ。
登りの入り口からチーム右京がペースアップしている様子が見えたので、下りで遅れた分を一気に踏んで前に上がる。
小石選手のペースメイクで登っていたが、今回は山岳賞が絡んでいることもあり頂上に向けて明らかにペースが上がっていた。

大喜が山岳ポイントを獲得するためにアタックしたことでペースが上がり、少し離れてしまったが勾配が緩んだところですぐに追いついた。
先頭は登りで絞り込まれたことでキナンから自分、大喜、花田、右京からプラデス選手、ダイボール選手、小石選手の6人になった。
この6人での抜け出しは右京からすれば理想的な展開でこのまま行きたかっただろうが、キナン的には実力で見た場合に不利だと判断したため、ローテーションは回すが積極的にペースを上げには行かなかった。
イマイチペースが上がり切らなかったことで後方集団に追いつかれる。
先行出来ていた6名は登りで勝負できる確信があるので、無駄な脚を使わないために温存、追いついた選手達は消耗していることで動けずという膠着状態になる。
アタックがかかるものの複数名での抜け出しは見逃されず、集団は最終集団まで合流し大きくなった。
再び畑中さんが少しでも仕事を遂行するべく先頭に出てペースをコントロールしてくれていた。
中間スプリントでの抜け出しがあったものの集団一つのまま武山選手と畑中さんのコントロールで3回目のカルストベルグへ向かっていった。
下りでギャップを稼いだダイボール選手がそのまま先行して登り始めたため、自分が先頭に出て一定のペースで追う。

頂上に向けて差を埋めていくつもりだったが、ダイボール選手がジワジワと加速していき、少しずつ差が広がっていた。
山岳ポイントを狙って大喜がアタックしてダイボール選手を捕らえに動いたがそのペースアップで自分と花田が遅れてしまった。

先頭はアップダウン区間で大喜とチーム右京3名という圧倒的に不利な状況になってしまう。
遅れた自分と花田は協力して少しでも早く差を詰めるべく、限界を越えない限界のペースで追い続ける。
先頭ではアタックが交互に繰り返され、大喜が一方的に殴られる展開。
一刻も早く追いつくために片方だけでも全力で追いつくべきか?という考えも頭に浮かぶが、それを行ったところで人数的に不利になるので良くない。
2人で協力しながら少しずつ差を埋め、前が緩んだところで一気に詰めに行こうともするが、そういう時に限ってアタックがかかり瞬間的に差が広がる。
先頭はアタックと牽制を繰り返しているので当然と言えば当然なのだが、追いつきそうという希望を見せられた後に差を広げられると心が折れそうになる。
それでも頑張って追っているとプラデス選手が打ち合いをやめて下がってきた。
あまり効果的に大喜を消耗させられていない、と考えて脚を温存する判断をしたのだろう。
先頭が2対1になったことで攻撃の勢いが落ち、追いつけて同数での勝負に引き戻すことが出来た。
3対3ではあるが、以前チーム右京側が有利なことに変わりはなかった。
キナンとしては一度集団に戻ることで状況をリセットしたい、そしてそれまでに先行する右京の3人に脚を少しでも削っておきたい、という思惑があり、アタックを仕掛けていた。
アタックを仕掛け先行するものの逃げるつもりは無いので、踏まないという奇妙な動きではあった。
アタックに反応する際と逃げる気が無いとバレるまでの1ローテーション分は反応した選手を消耗させることが出来る。
逆に右京側の選手もアタックを仕掛けてくることもあるが、その際はチェックにだけ入って前には出ない。
その流れの中で花田のアタックがスルーされて単独先行になる。
おそらく独走力が低いと判断されて、消耗させようと考えられたのだと思う。
そこに大喜が追加でアタックし反応したダイボール選手と一緒に3人での先行になる。
自分は小石選手とプラデス選手の間に挟まれ、プラデス選手のブリッヂを警戒していた。
アタックと牽制の掛け合いの結果、先行3人に追いつくタイミングで集団も迫っていたので、アタックしたところプラデス選手が一緒に抜け出し、再び地味な消耗作戦を仕掛けておいた。
自分では最後のカルストベルグで正面切ってダイボール選手とプラデス選手と勝負して勝ち目は薄いので、大喜が勝負した際に少しでも有利になるようにダイボール選手とプラデス選手の脚を削っておくことは大切。
追いついた集団には雄大と仮屋が残っていたので、そこからアシストとしての動きを2人に任せる。
アタックの仕掛け合いの結果抜け出したVC福岡の選手に小石選手とブリッツェンの小野寺選手がブリッジした。
小石選手が動いたタイミングで仮屋が反応しようとしたが、呼び止めて追わないように指示した。
小石選手は登りでの力があることが分かっていたので、このタイミングで消耗させておきたかった。
仮屋に一定の距離で追い続けてもらうことで逃げのメンバーを消耗させることが出来る。
当然、仮屋は消耗してしまうが登りで勝率の高い小石選手を消耗させられるのであれば悪くない。
射程圏内で距離を維持してくれていたが、少し辛くなったようで先頭を交代し自分が先頭に出る。
仮屋が辛くなってきているのであれば早めに詰めた方が良いと判断して、ペースを上げて少し詰めたところで再び仮屋に代わり、差を詰め切るように指示した。
追いつくタイミングで後ろを確認したことで集団が割れていることを認識した。
おそらく大喜との牽制でダイボール選手とプラデス選手と大喜が離れたのだろう。
先行集団には花田もいたので、小石選手以外であれば自分と花田の勝率がかなり高い。
先行3人を吸収する際のカウンターで石橋選手がアタックを仕掛けたが、今度は花田に反応するように指示した。
この状況では小石選手を消耗させつつ、他の選手と自分か花田が抜け出すというのがキナンとして理想的。
動きの中で堀選手が単独先行したところに自分がブリッジを仕掛けて2人になった。
後ろを確認すると集団がさらに分かれ、それぞれ石橋選手と小石選手が先頭で牽いていたので、二人を一気に消耗させるチャンス!と考えて本気で踏んでいった。
当然ゴールまで踏み切れるように調整はしていたが、堀選手と2人で協力できるので労力半分で二人を消耗させられるのはかなり美味しい。
交代するたびに後ろを確認し、最終的に小石選手が猛烈に追い上げてきているのを確認して踏みやめる。
小石選手が自分を吸収したところでペースダウンしたので、前で踏んでいた堀選手が単独で先行する形になった。
吸収されたタイミングで大喜とプラデス選手、ダイボール選手の姿が確認できたので集団を落ち着かせるより、アタックを仕掛けて追走させることで消耗させた方が良いと判断し、失速した集団から再びアタック。
石橋選手だけが反応し集団が離れたので再び逃げ開始。
石橋選手はローテーションを拒否していたが、今日のレース全体を通してアシストとして動いていたので、自分の動きのチェックで反応したのだろう。
そもそも、後ろにチーム右京の登れる選手が残っているので、ここで石橋選手が前を牽くのは裏切り行為になる。
堀選手とローテーションを回しているとレバンテフジのボローエルデン選手が合流し3人で協力してペースを上げる。
この4人で逃げ切れればカルストベルグで引き離して勝てる自信があったので、登りのために脚を温存しつつも逃げ切りも考えて踏んだ。
そのまま4人で逃げたまま、ラストのカルストベルグへ。
集団が後ろから追っていることもあり、変に駆け引きするよりも自分の最速タイムで登り切るのが最適解だと判断し、登り出しから一定のペースを意識して踏んでいく。
すぐに単独になり、踏み過ぎないように意識して踏んでいった。
ここで焦って踏み過ぎると終盤に失速するので後ろから追いつかれる可能性が高くなってしまう。
登りの途中で後ろを確認するとプラデス選手が勢いよく迫っており、かなり焦ったがペースを上げると失速するので、もはや自分の限界のペースで登り続けるしかなかった。
勾配が緩んだところで一気に差を詰められ追いつかれた。
一呼吸置いて千切ろうと踏みなおしたが突き放せず、速度が落ちたところでカウンターアタックをかけられ逆に千切られてしまった。
ラスト100mを切ったところで再び踏みなおして逆転を狙ったが、振り返ったプラデス選手が再び踏みなおしたことで追いつけず、2位でゴールした。

感想
やれることは全てやったうえで最終的に力が及ばなかったという印象。
優勝を逃してしまったが、大喜の3位も含めて表彰台に2人送り込めたのは良かったと思う。
純粋な力勝負だけで正面からぶつかるとチーム右京に表彰台を独占される危険も感じていたので、チームとして連携できたおかげで残せた結果であるのは間違いないと思う。
登りでの力がもう少しあれば、最終周に大喜を一人にしてしまった状況を含め、全体的に不利な場面を減らせたり最後に優勝できるタイムで登れていたと思うので、さらに上のリザルトを求めるのであれば力を付けるしかない。
優勝できず悔しかったが、手は全て尽くしたうえでの結果だったので後悔は無かった。

キツさレベル
10
最後まで追い込み切って、全て出し切ったうえでのゴールだった。
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