Genki一杯

Top Page > レポート > レースレポート > 2022ツール・ド・おきなわ

2022ツール・ド・おきなわ

クラス:UCI2.2
開催地:沖縄
日程:11月13日
距離:200km








天候:晴れ
出場チームメイト:11新城雄大、12畑中勇介、13山本元喜、14花田聖清、15小出一樹


レースレポート

3年ぶりのツールド沖縄。
今回のレースは2週間前のJCL山口の結果から自分と花田で最後の羽地ダムの登りで勝負する、という作戦に沿ってチームの動きを組み立てることになった。
基本的にはある程度の集団で羽地に入り、そこからタイミングを見てアタックを仕掛けるか、チーム右京のプラデス選手の動きに反応しながら集団を絞り込んでいく、という作戦だった。
今年はコース変更により登りの距離が延びているので、例年以上に登りで結果が決まりやすいだろう、という予想の元、ある程度集団に人数が残っていてスプリンターがいたとしても千切り切れるという判断の上での作戦だった。
プラデス選手との登りでの力勝負には不安はあったものの、おそらく相互に警戒し合っている状況だろう、という予想から先に抜け出したりするのが厳しいと考えられ、であれば登りで真っ向勝負を仕掛けて勝ちに行くしかない、ということになっていた。
羽地の登りに至るまでの展開では、雄大がある程度は攻撃的に動き、キナンにとって有利な展開を作りに行ったり、状況によっては逃げ切りも狙うという方向で、小出と畑中さんには基本的に集団牽引でのアシストに回ってもらう、ということになっていた。
逃げに関しては10人以上の逃げが決まるようであれば、雄大と花田は乗れるように構えて置き、状況によっては自分も逃げに加わるようにするが、積極的に逃げを狙いに行く、という作戦では無かった。

パレードでしばらく走ってからレース開始。
今回は逃げる気が全くないので後方である程度リラックスしながら展開を眺めて、積極的な動きが出来た際にだけ前に上がるようにしていた。
しばらくアタックと吸収は繰り返されていたが、最終的にブリッツェンの宮崎君が単独で逃げていった。
宮崎君の単独逃げが確定的になってから後追いするような動きが何度かあったが、全て捕まり、ひと段落して一人対集団という構図でスローペースのレースが始まる。
309591714_433135362342728_9211070782816224187_n.jpg
しかし、いつものごとくレバンテフジのモンゴルチャンピオンのエルデン選手が単独で後追いでアタックしていき、集団から2名が先行した状態でレースが進行する。
ゆったりペースで逃げとのタイム差を広げつつ残りの距離を消化していき、1回目の普久川ダムの登りはシマノのコントロールで集団一つのまま登り切り、2回目の普久川ダムへ向けてはブリヂストンのコントロールでレースが進んだ。
今日のレース展開的にペースが緩いままレースが進み過ぎると集団に脚を残したスプリンターが多く残る可能性があり、キナンとしてはあまり美味しくない。
ある程度脚に来ている状態で、しっかり脚がある選手しか最後の登りを踏み切れない、というような状況に持ち込みたかったので、そこまでは大人しくしていたキナンではあったが普久川ダムの登りの雰囲気とペース次第では小出にペースを上げてもらって集団にダメージを与えに行こう、という話になった。
2回目の登りではブリヂストンのコントロールで入っていったが、そこまで速いペースでは無かった。
トラック選手中心のチームなので、一定のペースで山頂を越えたかったのだろう。
登りの勾配が上がったタイミングで先頭に出て、そこから小出にペースアップを任せ自分は集団内で落ち着いて登る。
315409932_6224618974232537_2863490199647342526_n.jpg
小出が消耗したところで雄大と花田が先頭を牽き、そのまま山頂を越える。
集団の人数がある程度は絞られ、楽ではなさそうな状況ではあったが自分的には余裕があったので悪くなかった。
その後のアップダウン区間では他のチームの牽引に任せて一旦は様子見をしていた。
チーム右京の小石選手がかなり積極的に牽引を行っていたので、明確にアシスト側に回っているな、という印象は受けた。
登りで苦しんでいた畑中さんや、牽ききって遅れていた小出も復帰してきたことで集団の牽引に加わってもらい、逃げとのタイム差を詰めてもらった。
宮崎君は序盤から逃げていたことで比較的早くに捕まり、エルデン選手が単独で逃げる状況で残りの距離を消化していたが、かなりいいペースでタイム差が詰まっており、捕まえられるのは確実、という状況だった。
最後の登り手前で逃げを吸収して全員で登り勝負という展開よりも、早めの段階で捕まえてしまい、荒れた状態で消耗して登りに突入した方が有利になると判断したため、ローテーションに入ってくれていた小出には泳がさずに早めに捕まえに行くように指示し、ほどなくして吸収してアタックの打ち合いになった。
状況によってはここで自分が抜け出してしまうのもありかな?と思って動いてみたがプラデス選手がしっかりと反応していたし、自分もプラデス選手が動いた際には絶対に逃さないように警戒していたので、このタイミングでの逃げは難しいと判断して一旦、気持ちを落ち着かせた。
登りでアタックの仕掛け合いを利用して雄大とブリッツェンの小野寺選手、右京の吉岡選手、レバンテフジのボローエルデン選手が抜け出した。
吉岡選手がどれだけ走れるかが心配だったが、今日はアシスト的な動きをしていたので勝負はできなさそう。
ボローエルデン選手も登りが苦手そうなので、仮に4名が逃げ切った際には雄大と小野寺選手の一騎打ちになる可能性が高いが、登りであれば雄大に分があるように感じた。
であれば、キナンとしては逃げ切っても勝率が高い、ということで落ち着いて後の動きに対応することが出来た。
まずは他のチームに追走のためのプレッシャーをかけるためにしっかりと牽制し、有力チームの動きには対応できるように注意を払っていた。
吉岡選手が入っていることでチーム右京も似たような動きをしていたのだが、アップダウンが緩くなったタイミングから武山選手がプラデス選手の指示で集団の牽引を始めた。
やはり吉岡選手に任せきるつもりは無い、ということだったのだろう。
逃げも完全な協調体制だったわけでは無いようで、分裂しているのは見えるが誰が遅れているのかは分からない、という状態だった。
武山選手が牽引を続けるうちに最初にボローエルデン選手が集団に戻り、その先で吉岡選手が千切れているのが見えた。
キナンとしては願ってもない状況。
雄大が逃げていることでチーム右京が絶対に追わないといけない状況になった。
遅れてきた吉岡選手も加えローテーションを回していたのでしっかりその後ろに付けて状況を把握できるように備えていた。
しっかりと追走していたが、追加で前の2人にブリッジしたい選手も居たようでブラーゼンの選手やシマノの選手がアタックしていた。
おそらく単騎でしか残っておらず、かつ最後の登りでスタートから勝負すると辛いと判断しての動きだったのだろう。
キナンとしてはプラデス選手と登りでの勝負になると考えていたので、登り入り口までにチーム右京の戦力を削いでおくことが重要、ということもあり他のチームの動きは無視した。
むしろ他チームのエースが動いた方が、そのチームのアシスト選手がローテーションに加わることが無くなるので一方的にチーム右京に牽引を押し付けることが出来る。
と思っていたのだが、終盤の平坦区間でチーム右京の石橋選手がアタックしたことで小野寺選手と雄大、シマノの中井選手、石橋選手が先行することになる。
こうなると右京の牽引が止まるので、自分も石橋選手に向けてブリッジしようかと一瞬悩んでいたが、再びチーム右京が牽引を始めたことで待つことにした。
石橋選手もほどなくして戻ってきたが、吉岡選手も武山選手もかなり辛そうな状況。
しかし、先頭は単独になっていたようで、雄大がチラチラと見えていた。
やはりチーム右京としても単独でのコントロールが辛いこともあって、雄大が見えた時点でプラデス選手から一緒にコントロールしないか?というような仕草をされたが、雄大が完全に吸収されるまでは手伝えない、と判断して断る。
雄大もできる限り粘ったが、羽地ダム前の平坦区間で捕まる。
集団に吸収される際に脚が残っているか確認すると、まだ踏めるとのことだったので、ローテーションに加わって小野寺選手を捕まえてほしいと頼んだ。
雄大が捕まったことでキナンも追走する必要が出来たので、畑中さんと小出も加わったキナン3人と石橋選手でのローテーションになる。
小野寺選手を確実に捕まえるために結構いいペースでローテーションを回してくれていたので、羽地ダムに近づくにつれ1人ずつ離脱していき、小野寺選手を捕まえてからもペースを落とさずに羽地ダムの登りに入っていった。
石橋選手を先頭に登りに入り先頭交代の合図を出されたが、登りの距離が長いので序盤から先頭で踏むと消耗してしまうと判断し交代を渋ると、振り返った石橋選手がそのまま先頭で踏んでかなりいいペースで登り始める。
石橋選手が失速してきて、勾配がもう一段階上がったところから先頭に出てペースを上げる。
直前の平坦区間で集団は縦に伸びており、石橋選手のペースアップでもかなりのダメージが入っているはずなので、中途半端に牽制なんかして後ろを休ませるよりも、そのまま追い込み続ける展開にした方が力勝負になりやすく、分かりやすい勝負ができる。
踏み切ってしまうのは本末転倒になるので余裕を残しつつ、少しペースを落とすと次はプラデス選手がアタックを仕掛ける。
花田とブリヂストンの沢田選手と自分だけがプラデス選手のペースアップに反応できたが、2番手に居た沢田選手が堪え切れずに千切れたため、プラデス選手、花田、自分の順番で登る。
そのままプラデス選手がペースを緩めずに勾配が緩くなるトンネルまで踏み切り、トンネルの途中で交代の合図を出す。
花田が先頭に出たが自分はプラデス選手のアタックを警戒し、前に出ず3番手に入る。
試走の段階でトンネル後の登りは勾配が緩そうに見えるが、そこに到達した時点で全員の脚が限界状態に消耗している可能性が高いので、千切りに行くのであればトンネル後から山頂までで十分な距離がある、という予測になっていた。
で、辛いながらも仕掛けるべきか、カウンターを警戒して山頂まで粘る動きにするべきか?と悩む暇もなく、プラデス選手がアタックする。
反応して必死で付いて行くがかなり辛かった。
ここで離れてしまうと追いつきなおすなんてことは不可能なので、死ぬ気で我慢していたが、何度目かの踏みなおしで堪え切れずに千切れる。
1分走のような感覚でオールアウトまで踏み切っていればもう少し長く付けた可能性はあったが、山頂まではそれ以上に長く、オールアウトして千切れてしまうと大失速してしまうので、千切られた後のことも考えると限界までは粘った。
そこからは独走でゴールを目指していたが、後ろを振り返るとマトリックスのホセ選手が追って来ていた。
ゴールまで逃げ切ろうと踏んでいたが、下り区間で捕まってしまったので、ゴールスプリントになるな……、とどう動くか悩むことになった。
純粋にスプリントで勝負すると分が悪いので確実に後ろをとり、自分のベストタイミングで仕掛ける必要があるのだが、ホセ選手も確実に勝ちたいのでお互いに有利になるように牽制を掛け合っていた。
ラスト500m手前でホセ選手がライン取りを失敗したタイミングで仕掛け、そのまま独走状態で2位でゴールした。
313100059_1148971899059218_225485829180697872_n.jpg

感想

チームとして連携して狙える限界のリザルトだったと思う。
羽地ダムの登りでスプリンターが残れない力勝負に持ち込むという作戦通りの動きで理想としていた状況に持ち込むことが出来たが、最後は力勝負で完全に負けてしまった。
前回の山口に続きプラデス選手と登りでの一騎打ち状態で千切られているので、もう一段階速く登れるようにならないと勝てないな、という印象を持ったので強化するしかなさそう。
チームとしての連携や動きとしては完璧でキナンのチームワークがいつも以上に発揮されていたな、という印象を受けた。
309609562_587970993347210_9136619434487760671_n.jpg

キツさレベル
10
終盤までは無駄な脚を使わずに走ることが出来ていたが、最後の登りの動きで一気にキツくなっていた。
そこからは最後まで休む暇なく追い込み続けていたので、かなり辛かった。 amazonをお気に入り登録される際はこちらからどうぞ!

山本元喜のYouTubeチャンネルはコチラ!

山本元喜の本はコチラ!

COMMENTS

0 Comments
There are no comments yet.

REPLY

Leave a reply