全日本選手権ロードレース
クラス:ナショナルチャンピオンシップ
開催国:日本
日程:6月24日
距離:213km
天候:晴れ
最大ワット:956W
※パワー2マックスでの測定
出場チームメイト:中島康晴、山本元喜、雨乞竜己、新城雄大、中西健児
言わずと知れた全日本選手権。
今シーズンでかなりウェイトを重く置いていたレースでレースの1週間前からチームと別行動で現地入り。
入念なコース試走と万全のコンディション調整で挑んだ。
レース前日のミーティング
自分に対する指示はレース中盤辺りからの有力どころの逃げに確実に乗り、逃げ切りの場合には勝つこと、という指示。
レースレポート
基本的にはレース中盤からの動きに対応するという事で集団の中盤、後方寄りでレースを開始する。
スタート直後のアタック合戦に興奮して反応してしまわないようにする策でもある。
ここのところずっと、レース序盤に動き過ぎてしまい結局後半に脚が残っていないという状況が延々と繰り返されている。
去年の全日本選手権も動き過ぎが原因で脚が無くなってしまっている。
そのミスだけは絶対に犯せない。
とにかく落ち着いて脚を温存することに集中する。
レースが号砲スタートし、いきなり上り坂。
集団前方でのアタックの様子を観察しながら走るが大きな逃げは決まらなさそう。
1つ目の登りを6分23秒間264Wで通過する。
そこまで脚に来る感じではない。
緩い下りを挟んで再び登る。
ここの登りは後ろに付いている方が圧倒的に楽という事が分かっている。
今回のコースに関しては1週間前から現地入りしていたこともありかなり念入りに試走を重ねている。
合計の周回数では27周。
その内には6時間かけて12周走った日が2回含まれている。
残りの3周はリカバリーライド。
コースプロフィールは頭に染み付いているし、2回目の12周の際にラスト5周をチームと合流して走ったことにより、単独走と集団走でのフィーリングの違いも完璧に把握している。
更に付け加えるなら1回目の12周は雨天で2回目は晴天、天候への対策も完璧。
2回目の登りを通過し下りへ。
ここでジワジワと位置を上げていく。
この後に8%の登りがあり、それを終えると短距離の平坦区間を挟んで左折、道幅が狭くなった状態で下りへ入る。
人数が絞られていない1周目では落車や接触に危険があるので前方に上がっておくことで危険を回避したい。
登りで先頭付近にまで上がって、平坦区間と下りもそのままほぼ先頭でクリアする。
下り切ったところで一気に登る。
400mで50m近く登る12%程の急坂。
集団先頭は勢いで突っ込めるが、中盤は前が詰まるためにブレーキすることによる失速がデメリットになり、集団後方であれば少し離した状態で突っ込むことで前を風除けにしつつ勢いを保ったまま登ることが出来る
一番楽なのは集団後方だとは思うが、落車や中切れのリスクを考えると先頭が安心。
集団の先頭ではアタックがかかりペースが上がるがそこまで辛いものではない。
1分間441W
一瞬の平坦区間を経由して下りへ。
そこで想定外の事態が発生。
急な下りを抜けた先で後ろを振り返ると集団が分断されている。
17名程の集団。
逃げに強いメンバーも入っており中々に悪くないメンツ。
後ろで落車が起きたせいで止まっているのではないか、と思うくらいの良いメンバーが前に抜け出している。
これは逃げた方が得と判断しローテーションに加わっていく。
何度か後ろを振り返るが集団が追ってくる様子は一向にない。
1周目を完了し2周目へ。
メンバーを再確認するとたいていのコンチネンタルチームは2名以上入っているのに対しキナンは自分一人。
これは最終的に分が悪くなるな、と判断し温存方向に走り方をシフトする。
しばらくすると雄大を含む集団から抜け出してきたメンバーが先頭集団に合流し32名の逃げ集団が完成する。
この集団には各チームの有力選手が均等に含まれておりかなり強力なメンバーになっていた。
また、全体的な傾向として逃げ屋がかなりの人数含まれており、自分としてはかなり美味しい逃げ。
特に逃げを決めるためにペースアップするということが無かったが、メイン集団をコントロールするチームが現れなかったために逃げとのタイム差がドンドンと広がっていく。
すぐに4分まで開きそこからジワジワとタイム差が開いては詰まりを繰り返し、最大で7分以上に開く場面もあった。
集団内ではこのメンツで行くのか、後ろからエースが追いついて来るのを待つのかという複雑な思惑が絡み合いお互いに探り探り進めていく。
一時的には結構な失速もあり、メイン集団に吸収されるか?と心配したが結局は追いつかれずにレースが進む。
逃げのメンバーの中にはNIPPOでチームメイトだった石橋や小石が居たこともあり会話が盛り上がり中々に楽しかった。
自分の足の調子としては前腿の反応が鈍く、ラストの勝負に絡めるかは微妙かなという感覚。
レース中には雄大と今後の動きの予想と警戒するべき選手の話もしておく。
・自分的に一番警戒しておきたいのは小石。恐らく登りで仕掛けてくる。
・同様に石橋もアタックが得意ではあるが、動き過ぎる傾向にある。
・佐野さんは当然踏めるが脚を使う場面も多いためそこが付け入る隙。
・ブリッツェンは本来であれば誰でも勝負できる強さがあるが直近のレース結果を見る限り疲労が溜まっている気がする。
・愛三に関しては登れる早川さんと阿曽に加えてエーススプリンターの岡本選手も乗っているので完全に逃げを決めたがるはず。
・シマノに関してはエース級の選手が乗っていないため集団の牽引に回る可能性が高い。
・キナンに関しては……人数的に不利なので真正面からやりあったところで負ける。集団の人数が減り戦力的にイーブンになるまでは脚を温存。
・徐々に後ろも差を詰めてくる可能性があるが牽引するのは逃げに選手を送り込んでいないコンチネンタル以外のチームやシマノぐらいなので詰まる可能性が低い。
・コース自体がジワジワと脚を削って来る上にもし後ろから追いついて来る選手が居ても疲労困憊の可能性が高いので焦らずに対応していく
という話になる。
集団後方で様子を見ながら展開を観察していく。
タイム差が更に少しずつ広がっていく。
それに合わせて逃げ切りを視野に入れ始めた32人の集団が少しギクシャクし始める。
ローテーションを渋る選手が中切れを起こして数名が先行し、それを遅れた集団が追いかけるという展開が続く。
牽きたくないなら集団最後尾に居ればいいのに中途半端に前に上がるせいで結構迷惑。
様子見を続けた結果、レースが大きく動いたのがラスト5周手前。
ブラーゼンの選手が抜け出していき、それを集団が見送る。
抜け出しが先行したままラスト5周へ入る。
この登りの入り口で石橋がアタック。
数名が追いかけはじめるが自分はワンテンポ様子を見る。
思っていた通り、というべきか佐野さんが牽引を始め先行している数名を捕まえにかかる。
1本目の登りを3分55秒、350Wで登り切り集団が一つにまとまる。
緩い下りで後ろを確認すると数名が遅れている。
アップダウンを通過し落ち着いたところで人数を数えると17名。
今の動きで一気に削られている。
更にそこから頻繁にアタックがかかる展開になる。
この頃には前腿の反応も良くなってきており、「なんか調子いいぞ?」状態になって来る。
落ち着いて状況を判断し動かない。
残ったメンバーの大半が脚を残していたため決定的な逃げが発生しない。
集団最後尾から観察を続ける。
3名程が飛び出しては吸収される展開が続く。
自分としては3名程の抜け出しであれば行かせてしまっても問題ないと考えていた。
まだ4周と少し残っている状況。
距離にしては50km以上残っている。
ここで抜け出したところで確実に失速して吸収されるだろう。
そうなれば飛び出した選手は優勝争いが出来なくなる。
雄大もちょくちょく動いているので止めたいがタイミングが無い。
そして自分が一番警戒している小石も動いていない。
自分の理想としてはラスト3周=42kmを切った辺りで動いて行きたい。
そうこうしている内に集団一つでラスト4周へ。
登りが始まった瞬間に小石がかなりキレの良いアタックを繰り出す。
早くないか!?と一瞬反応が遅れるが即座に追う。
先に反応していたブリッツェンの小野寺選手が小石から付き切れする。
前に出させて牽かせる作戦か?と警戒し、ある程度小石が離れるのを待って後ろからアタック気味に小石を追いかける。
小野寺選手はそこで遅れ自分は山頂まで小石を追い続ける。
頂上付近で小石が後ろを振り返り自分が追っていることを確認する。
小石が単独で逃げるよりも自分と二人で逃げた方が有利と判断したのか若干ペースが緩んだ気がした。
山頂で小石と合流し2人逃げが出来上がる。
小石に対する必死の追走は2分49秒で436W出ていた。
合流した時点で後ろを振り返ると集団が粉砕しているのが分かる。
一番近くにいる小集団を牽引しているのが緑のジャージ、マトリックスの佐野さんだ。
残りの距離は50km以上、レース全体としては四分の一残っている。
これを二人で逃げ切るのは厳しいかもしれない。
小石に「後ろと合流する?」と聞くと「いや、しないっす」と即答。
かなり自信満々。
これなら二人での逃げ切りも可能かもしれない。
そこからは二人でローテーション。
小石に「脚を止めちゃうとすぐに差が詰まるんで常に踏み続けましょう」と言われ「オッケー」と答える。
小石もかなり良いペースで踏めているためにコミッセールバイクが表示してくれるタイム差がジワジワと広がっていく。
最初は20秒程で4名が追走しており、その後ろに7名が40秒差で続くという状況。
そこから後半の下り基調の区間に入る頃には4人と40秒差、7名とは1分30秒以上に広がっている。
7名よりも4名の方が力強く、差を広げないように踏ん張ってはいるが完璧に協調の取れている自分と小石の方が速い。
必至に追っているであろうこの状況で差が広がっているという事はパワーバランス的にはコチラが優位な可能性が高い。
残りの距離も考えて踏み過ぎないように、ペースを落とさないように気を付けながら踏む。
そこで後ろの選手の情報が入って来る。
追っているメンバーはマトリックス佐野さん、ブリジストン石橋、ブリッツェン小野寺選手、キナン雄大。
これはビッグチャンス。
後ろの集団に雄大が控えていることにより、もし追いつかれたとしてもキナンは有利に展開していくことが可能。
しかも現状において前を追う必要のない雄大は後ろの集団で先頭交代に加わっていないハズ。
タイム差が開いたことで右京とキナンのチームカーが先頭に上がってきて、それぞれが交代でチームカーと作戦会議する。
やはり雄大が先頭交代に加わらずに温存しているので追いつかれそうになっても焦らなくていいと伝えられる。
また、右京は7名の集団に平塚さんが残っているだけなので小石は行くしかない状況という事も伝えられる。
引き続き小石と協調して逃げ続ける。
ラスト3周に入る。
21分後半で周り、その間の平均出力276W
引き続き一定のペースで淡々と逃げ続ける二人。
登りの途中でコースに響くガラパさんの実況から「後ろの集団が3名になった」という情報を得る。
雄大が遅れていると優位性が失われるので辛い所。
しばらくして遅れたのは小野寺選手というのが判明する。
そのまま相変わらずの40秒差で自分達と後ろ3名(実質2名)の追走という展開が続く。
その後ろの集団は2分近く離れ気にする必要が無くなり、更にその後ろに関してはタイム差が表示されていないために状況が分からないが、おそらく結果には絡んでこないだろう。
前半の山岳部分を終え下り基調の後半に入ったところでチームカーを呼んで「雄大にラスト1周の登りでアタックして単独で前を追うように」と伝えてもらうようにお願いする。
1周以上先の展開ではあるが、あらかじめ伝えておくことで気持ちと脚を準備しておいてもらった方が良い。
狙いとしては雄大が単独で追走していることで「自分は後ろに追いつかれてもいい」という状況を作り出し、ゴールを優位に展開することが出来るという考えだ。
小石も状況を察しているようで「後ろ待ちますか?」と聞いてきたが今回は自分が「いや、待たん」と言い切って逃げ継続。
そこから若干2人のペースが落ち、後ろとの差がジワジワと詰まっていく。
23分35秒、242Wでラスト2周へ。
最初の登りを終えたところで後ろを確認すると3名の姿が見える。
「これはいずれ追いつかれるな」と予想。
小石も後ろを確認し始める。
2回目の登りの途中で後ろを再確認すると雄大が単独で追っており、その後ろに少し遅れて佐野さんが続く。
雄大グッジョブ。
そこで自分は付き位置になり雄大が合流するのを待つ。
雄大が追いついてきたところで「ここで粘れよ!」と伝えて3人になった集団のペースを上げる。
理由は単純、佐野さんを追いつかさせないため。
佐野さんをここで千切ることが出来れば全体でみれば3対1に、先頭集団で見れば2対1に持ち込むことが出来るので圧倒的に有利。
山頂手前で後ろを確認すると小石と雄大が自分から離れ佐野さんが追いつく直前。
ならば単独で逃げるのもあり、と判断し踏んでいく。
下りで少し差を広げれたが、3つ目の登りの途中で追いつかれ4人になる。
そこから数回アタックがかかるが集団は4人のまま。
自分はラスト1周の登りで仕掛けようと決め、チェックにだけ入る。
一旦下り、農場を通過する12%越えの登りで佐野さんがアタック。
誰か反応するか?と様子を伺うが動かない。
一番に動くだろうと予想していた小石も脚が無い可能性が高い。
だが即座には追わず少し待つ。
この登りは中盤からであれば絶対に踏み切れない。
登りの終盤から踏み切った方が楽に追いつける。
タイミングを計り一気に加速、単独で佐野さんを追う。
この登りを1分1秒で通過、平均出力463W最大出力841W
狭い下りを抜け、2車線の広い道路に出たところで佐野さんに追いつく。
二人で逃げになるが、ラスト1周に入ったところでアタックすることを決めている自分は少し抑えめ。
後ろからは小石が追っており、その後ろに雄大が付き位置で控えている。
佐野さんに「踏まないと追いつかれるぞ!」と言われるが焦らない。
この状況で踏み切る必要があるのは佐野さん。
さらに追い打ちをかけるように雄大が2周目終盤で小石を千切りブリッヂをかけてくる。
自分が待つために付き位置に入り、雄大を確認した佐野さんがペースを上げるが、ラスト1周手前で雄大が追いつく。
ゴールライン前の平坦で雄大と作戦会議を行う。
雄大から「正直、両足が攣ってて限界です」と伝えられたので「分かった、俺がやるから付き位置で粘れ」と伝える。
ラスト2周を23分37秒248Wで終える。
そしてラスト1周へ
登りへ入る直前に佐野さんが大きく膨らんだのを確認し、イン側から一気にアタック、逃げ切りにかかる。
登りで千切りにかかるが、あと1周あるので出し切らないように気を付ける。
事前の練習で11周回走ってから1周全力で走るトレーニングを行っていた効果が出ている。
残りの距離に備えつつ最速で登る力加減が感覚で分かる。
最初の登りを3分21秒、376Wで登り切り緩いアップダウンへ。
後ろからは佐野さんが10秒ほどで追っており、雄大の姿は見えない。
もし、追いつかれたとしても、再びアタックするか、雄大がいることを理由に付き位置からのゴールスプリント。
この状況であれば勝ち方はいくらでもある。
今は焦らずに1周を自分の最速で走る事に集中する。
緩い下りと登りを終えた所で後ろを再び確認する。
佐野さんの姿が見えない。
差が広がっている。
登り区間での差が広がるのは最初から想定済み
だからこそ登りでアタックしたのである。
問題はここからの下りを含むアップダウン区間。
体重差が20kg近くある以上は本来であれば位置エネルギーが運動エネルギーに変わる下りは佐野さんの方が圧倒的に有利。
しかし策が無いわけでは無い。
極端な前傾姿勢+そこからのペダリング。
上ハンドルを握り、トップチューブに腰を落とす。
ただでさえ小さい体を更に小さくして空気抵抗を最小に。
そして悲しいかな短い脚のおかげでそんな姿勢でも比較的スムーズにペダリングが出来る。
体幹も総動員して全身で踏む。
本来であればこのスタイルでの走行は危険なので避けるが、レースでの規制+道が綺麗という事が試走で分かっていたので積極的に取り入れる。
そのおかげで1.3kmの下りを1分9秒、平均時速69.3km最高時速78kmで下り登りへ。
登りの途中でタイム差が40秒に開いたことを伝えられる。
下りで10秒のアドバンテージを得ることが出来た。
ここで勝利を確信する。
佐野さんにはここでわざわざタイム差を広げる必要がないし、今の下りで差が広がったのならこの後のコースプロフィールで差を詰められる場面はない。
後は自分のベストペースを維持して逃げ切るのみ。
残る2カ所の登りで踏み過ぎないように気持ちを落ち着かせ、下りで速度が上がるところは前傾姿勢で加速する。
ペースを維持し続けていたが、そこは流石の佐野さん40秒差から離すことが出来ない。
それでも焦らず落ち着いて自分のペースを維持。
追いつかれたところで勝つ方法はある。
今は無理に踏んでしまう事によるオールアウトを避けることに集中しないといけない。
もし、オールアウトするようなことがあれば追いつかれた際にゴールスプリントに持ち込めなくなる可能性があるからだ。
だが結局、佐野さんが40秒からタイム差を詰めてくることは無かった。
ラスト3km辺りから頻繁に後ろを確認しつつゴールを目指す。
ラスト1kmの時点で後ろに姿が見えないことでやっと安心する。
そしてラスト500mを切ったところでガッツポーズに向けての準備を開始。
ガッツポーズでゴールした。
感想
率直な感想
選手をしている以上は何としても欲しいと思っていたタイトルを獲得することが出来て本当にうれしい。
その反面、もう少し時間がかかると思っていたので今は実感がまだない。
感謝の言葉
ジロを完走しキナンに移籍、国内やアジアのレースに多数出場するもイマイチ結果が振るわず、応援してくれている人の期待に応えられていないという思い、なにより「ジロを完走した」というプレッシャーを感じているにもかかわらず結果が伴わないという点に自分自身かなりのフラストレーションを感じていた。
「成績を出したいが出せない」という状況の中で色々と方法を模索しては失敗するという事を繰り返しドツボに嵌っていたのだとも思う。
また、ジロ完走後に結婚し子供が出来たことで家庭を持ち、今まで以上に守るものが増えると共に妻として支えてくれたさくらに応えたいという気持ちも強かった。
人から苦言を呈されにくい自分を自分以上に理解した上で叱責し、普段の生活を支えるだけでなく子育ても完璧にこなすさくらには感謝しかない。
また家族だけでなく本当に多くの人に支えてもらっていると実感している。
それは大きな成績が残せていない自分に対して諦めることなく期待を寄せ続けてくれたチームスタッフやチームを支えてくれているスポンサーの方々、そしてメインスポンサーであるキナンの角口会長をはじめとする社員の方々、会場まで脚を運んでくださったサイクルプロデュース熊野の内野さんと大谷さん、そして一緒にレースを作り出してくれたチームメイト、と数えだしたらキリがない。
そういった自分の想いや応援してくれる人の全ての想いに応えることが出来た今回の結果は何物にも代えることのできない価値のあるものだと感じている。
自分一人では絶対に手に入れることのできなかった生涯にわたる宝物となるだろう。
自分を応援し支えて下さった全ての方にお礼と感謝を述べたいと思います。
本当にありがとうございました。
レースの展開に関して
レースの展開に関しては最初に32人の逃げが出来るというイレギュラーが発生したが、そこに対しても自分と雄大の2名が乗れたことで完璧に対応できていたと思う。
この二人の動きに関しては宇都宮ロードレースで連携して動きながらも惨敗するという結果に終わっていたのでその反省点を生かしつつ良い所は残すという動きが出来たのがかなり良かったと感じている。
実際終盤の展開に関しては常に優位に立つと共に攻撃と防御を巧みに使い分けることで必要な脚を残しつつ最大の攻撃を行うことが出来ていたと思う。
あの場面で雄大が残っていてくれたのは本当に素晴らしい動きだったと思う。
また、逃げが発生した際にメイン集団に中島さんが居てくれたのも自分たちが休みつつ落ち着いて展開できる要因になっていた。
終盤の展開における小石と佐野さんは本当に強力で雄大とのコンビネーションが無ければ絶対に後手に回っていたし、優勝するのも難しかったかもしれない。
特に佐野さんとは因縁も深く(笑)、数々の敗北を喫してるだけに一つ噛み合わなければ敗北していた可能性が高かった。
レースに向けての準備も今までに無いくらい念入りに、慎重に行ってたのも勝因であったと思う。
全日本ロードの1週間前に行われた全日本タイムトライアルの石川県からレース終了後に移動を開始し島根県入りして1週間の間コースを走り続けた。
コースの勾配の特徴や長さ、天候によるフィーリングや風向きの変化も全て確認した上でレース時間に合わせたトレーニングを2回行った。
合計の周回数は27周に及ぶ。
このトレーニングは今回のレースの終盤でペースを維持できたことと、脚を温存するという面で非常に役立っていたと感じている。
走り方について
今回のレースで勝つまでの間「エースとして勝つための走り方」を手にするために本当に苦労した。
今までは「序盤からとにかくアタックを繰り返す」という走りばかりをしていたために、それが体に染み付き、アタックを抑えるというのがかなり難しかった。
何度もトライ&エラーを繰り返し、そのたびに反省し脚を残せる走り方を手にすることが出来た。
自分に染み付いた走りを変化させるというのは本当に困難でこれがアシストがエースになり辛い要因なのだろうという事をひしひしと感じた。
結局は原点であり自分が初優勝した時の走りである、最後に力を振り絞ってアタックするという点に回帰したのは中々に面白い結果だったと思う。
本当にたくさん悩み色々と模索を繰り返した結果、手に入ったこの勝利と走り方はこれからの自分の成績に大きく影響するのではないかと自分自身で期待している。
今後について
目指すべきところは2020年の東京オリンピック。
そのためにUCIレースにおいて結果を残すことでポイントを獲得し出場枠を少しでも多く確保したい。
今回の結果も含めてキナンサイクリングチームが今年度のアジアツアーランキングでトップに躍り出る可能性が高く、来年度のアジアツアーレースにおける優先出場枠の確保の可能性が高いのも後押ししていると思う。
また、これからはより一層見られる側になるのでレースの走りも普段の行動もより自覚を持って、ナショナルチャンピオンジャージを着るに恥ずかしくないように気を引き締めたい。
まだまだ未熟で至らない箇所が多くある自分であるが、これからも皆さんの応援と期待に応えることが出来るように一層の精進を重ねていきたいと思います。
応援よろしくお願いいたします。
キナンサイクリングチーム 山本元喜
レースデータ
レース全体としては総時間5時間46分53秒。
平均時速36.km、最高時速86.5km
平均心拍数160bpm、最高心拍数194bpm
NP255W
TSS410
最終周回は22分38秒、280Wで終えた。
今回使用したチームスポンサー商品紹介
バイク YONEX CARBONEX Part1
Part2
ホイール フルクラム SPEED 40T
補給食 アスリチューン
マッサージオイル イナーメ・スポーツアロマ Recovery
サングラス uvex sportstyle 104 v
上記以外にも多くの企業様にサポートを頂いています! amazonをお気に入り登録される際はこちらからどうぞ!
山本元喜のYouTubeチャンネルはコチラ!
山本元喜の本はコチラ!