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ツール・ド・おきなわ2019

クラス:1.2クラス ワンデーレース
開催地:沖縄
日程:11月10日
距離:205km
天候:晴れ
平均ワット:230W
最大ワット:1270W



※パワー2マックスでの測定
出場チームメイト:1中島康晴、2大久保陣、3山本元喜、4椿大志、山本大喜


レース前のミーティング

今回は大喜と椿をエースにし、メインのサポートが中島さん。
自分と陣さんは前半のアシストがメインの仕事になる。
序盤にできるであろう逃げには、有力チームが加わっていればチェックする必要があるが、そうでなければ捕まる可能性が高いので見送っても可。
自分もチャンスがあれば逃げに乗るが、あまり積極的には乗らない感じ。
もともと自分はシーズン全体の疲れが蓄積していて、シーズンオフに入りかけているという事もあり、メインの仕事は半分くらい、具体的には2回目の普久川ダムの登りの入り口ぐらい、まででいいという話になる。


レースレポート

毎年恒例ではあるが、ツール・ド・おきなわは朝が早い。
朝の4時には朝食を食べ、6時45分にはレースがスタートする。
まだ日の登っていない朝の6時過ぎにホテルを出発する際に、キナンの角口会長が激励に来てくださった。
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ギリギリ日の出くらいの時間でパレード中に明るくなってくるのも毎年のこと。
最後尾からパレードをスタートしたが、薄暗いという事もあってスタートのタイミングを正確に把握するためにも集団の先頭に上がる。
他のチームの選手と駄弁りながら走っていると、静か~に先導車の持っている板が赤から緑に変わりレーススタート。
しばらく誰もアタックする選手がおらず。
「このままで走っていれば、ずっと誰もアタックしないんじゃないのか?」などと話していると、ザワーランドの選手がアタックして行った。
特に誰も反応せずにザワーランドの選手が離れていく。
すると、陣さんがスル~と自分の横に出てきて「あの逃げ、そのまま決まりそうじゃない?」と聞いてくる。
自分も少し考えてから「そうですね……、じゃあちょっと行ってきます」と伝えてアタック。
簡単に決められる逃げであれば乗っておいて損は無い。
今回の自分の役割は、集団の牽引か逃げのどちらか。
少数で逃げられるのであれば、中間スプリントや山岳も狙っていけるので、逃げた方が得。
逃げを狙うリスクとしては、アタック合戦が長引いてしまった際の疲労や、有力選手と逃げてしまった際に、逃げ切りになってしまって負ける、というパターンだが、両方ともスタート後に少人数で決めれるのであれば問題ない。
アタック後ほどなくしてザワーランドの選手に追いつく。
2人になったところで後ろを振り返ると集団と少し離れている。
これは逃げれるチャンス、と判断しペースを一気に上げて逃げを決めにかかる。
ザワーランドの選手もかなり乗り気なようで踏む。
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時々後ろを振り返っては、差を確認しつつ、前に出ているときは全力。
経験的に10分間踏み続けられれば絶対に決めれる、という自信があったので、それを目標にとにかく踏み続ける。
しばらくして、タイムボードが表示され、集団と30秒差が開いていると告げられるが、ペースは緩めない。
キッチリと10分間踏み続けて、タイム差が1分以上に開いたところで自分は1段階ペースを緩める。
スタートから10分間の平均出力360W、平均時速48km。
そこから少し時間が経過したところでチームカーが上がってきて「後ろに数名が追走を仕掛けているが、わざわざ待つ必要はない」という指示をもらう。
ザワーランドの選手にもそのまま伝える。
ザワーランドの選手はペースを落としたくないようで、自分以上に一生懸命踏んでいる。
31km地点の中間スプリントポイントが近づいてくる。
お互いに逃げたいという意思で上手く協調出来ている状況だったので、争ってペースを崩したくなく、交渉することにする。
「中間スプリントが欲しいか?」と聞くと「お前はどうなんだ?」と聞き返される。
この感じは押せば譲ってくれる、と判断し「欲しい。1回目を取らせてくれたら、2回目は譲るよ」と言うと納得してくれた。
そういうことで1回目の中間スプリントは自分が獲得した。
その頃にはメイン集団とのタイム差は10分以上に広がっていた。
自分達を単独で数名の選手が追っており、一番近いのは1分半後ろにドイツ人の選手が1人。
ザワーランドの選手と「ドイツ人を待って3人で逃げた方が楽になる」と話し合い、少しペースを落として待つことにする。
ジワジワとペースを落とすも、中々タイム差が詰まって来ない。
待ち続けたところで、後ろのドイツ人も待っていることに気が付いたのか、一気にタイム差が詰まって50km辺りで合流する。
合流したはいいが、ドイツ人が牽かない。
ずぅっと付き位置で前に出てこない。
最初は「自分たちに追いつくために脚を使ったから疲れているのだろう」と多めに見ていたが、延々と出てこないので「待ったのは失敗だったかな」と考えていると、しびれを切らしたザワーランドの選手がキレる。
後ろで言い合いを始めた二人の前で「これでどうにかなるだろう」と考えながらペースを上げていく。
自分がしばらく踏んで後ろに下がると、渋々といった様子で先頭交代に加わってくる。
しかし、ペースも遅いし時間も短い。
牽きたくない気配満々。
自分としては70km手前から始まる普久川ダムの登りの手前で一度ペースを上げて、メイン集団にプレッシャーをかけたいところ。
逃げ切りを狙う逃げであれば、序盤にペースを上げ過ぎるのは体力の浪費につながるので避けたいところだが、今回は最後に勝負しなくていいと言われているので、後半無視で踏み放題。
自分だけがやたら踏み、普久川ダムの手前14kmから7kmが平均時速38kmであったのに対し、7kmから直前までは時速42kmに上がっていた。
普久川ダムの登りに突入。
相変わらず無駄に自分が踏んでおり、ドイツ人はサボり気味に踏んで、ザワーランドの選手はドイツ人と同じくらいのペースで牽くが辛そう。
ドイツ人は結構余裕ある、と判断し、半分くらい登ったところで「俺は山岳賞が欲しいが、あなたは欲しい?」とドイツ人に訪ねると「俺も欲しい」と答えられる。
これは面倒なことになったな、と思いながら引き続き登る。
チームカーからは「山岳賞は絶対に逃さないように!」という指示が出る。
そろそろ頂上が近いな、と思っていた矢先、沿道のおじさんが「頂上まで1700m」と叫んでくれる。
日本語で3回ほど。
自分だけが理解できたはず、おじさんグッジョブ。
集中しながら登っていると、山岳賞まで1kmの看板が現れる。
これには英語も書かれており、3人ともが理解した。
その証拠に、自分が先頭を変わろうとするが、前に出てこない。
ブレーキはしなかったが、脚を止めてかなり減速してみたが状況は変わらず。
牽制し過ぎてもしょうがないので、自分が先頭のまま頂上手前の緩やかな区間を走る。
ツール・ド・おきなわには大学生の頃から何度も出場しているし、今年の1月にはナショナルチームでレースのコースを走ったこともある。
そのおかげもあって、山岳賞手前のコースレイアウトは頭に入っていた。
コーナーが連続するため頂上は見えないが、勾配はずっと緩いまま。
少し早めに仕掛けても、そのまま逃げ切れる可能性がある。
頂上手前300mで唐突にアタック。
全力で踏み続け、チラリと後ろを確認すると少しだけ離れている。
油断するといつでも追いつかれる距離。
そこからは我武者羅に踏み倒し、山頂を1位通過する。
29秒間平均900W、最大1270W(過去最大)。
バラバラになったが、後ろを待って再合流。
3人で再びローテーションを回す。
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長い下りに入る手前で集団とのタイム差12分。
ドイツ人もザワーランドの選手も、コースをあまり知らない様子で、ブラインドコーナーを攻めることが出来ず、無駄にブレーキをしていたり、外側を回り過ぎていることがある。
自分は覚えているので、効率よく最短ルートで下っていける。
こういう地味なところで脚が温存出来たりするから、コースを覚えているのはやはり大事。
一通り下り切ったところで、ザワーランドの選手とドイツ人が今後のボーナスポイントについての会議を開始する。
ドイツ人が「1回目の中間スプリントはお前が取ったのか?」と聞くと「俺は取っていない」と答える。
それを聞いて少し考え込むドイツ人。
「じゃあ、日本人の選手に山岳賞を譲り、次の中間スプリントは君で、最後は俺が獲得する。これでどうだ?」と問いかける。
ザワーランドの選手が「(山岳賞について)お前はそれでいいのか?」的な感じで聞いたらしく、ドイツ人が「He is strong」と言っていたのが聞こえた。
彼(自分)の方が強いから仕方がない、という意味だろう。
後の事を考えずに無駄に踏み倒していたのがここに来て効いてきている。
自分にも同じ内容で確認を取って来たので「OK」と答え協定が結ばれた。
もともと2回目の普久川ダムまでと決めていた身としては、願ったりかなったりの条件。
だが、これは自分が強いという前提で結ばれた約束で、強くないとバレた瞬間に裏切られる可能性がある。
このまま無理してでも、踏み続けるしかない。
普久川ダムを下り切った後のアップダウンで攣り始めていた体に鞭を打って踏む。
サイザーランドの選手は脚に余裕が無いらしく、ペースを少し落としている。
ドイツ人の選手はここに来て、かなり踏み始めている。
先ほどの協定からも、ドイツ人の選手は終盤まで逃げる気でいるのだろう。
確実に、今の3人の中で一番強いのはドイツ人。
しかし、自分も強いキャラを崩すわけにはいかず、2回目の普久川ダムの登りへ向かうための海岸線の平坦区間を、ドイツ人と一緒くらいのペースで牽く。
先頭に出るたびに、どこがしかが攣っていたが、一切表情に出さずに牽き続けた。
2回目の普久川ダムの登りへ。
登り始めて早々に、チームカーから「山岳賞は絶対に外さないように!」と念を押される。
1回目と同じくらいのペースで自分が踏んでいると、ザワーランドの選手が力尽きて千切れていった。
そのまま登り続け、山岳賞のポイントまでラスト700mくらいでドイツ人に「先行する」と伝えて、単独で山頂通過。
集団とのタイム差は5分。
その後、再び合流し残りの距離を消化していく。
自分の中間スプリントと山岳賞獲得、という目標は達成したので、集団に戻っても問題ないのだが、山岳賞を譲ってくれたドイツ人を、160km地点の中間スプリントまで助けてあげたいという気持ちがあったので一緒に逃げ続けた。
結果、140km辺りで脚が止まってしまい遅れる。
しばらく流して走っていると30人ほどのメイン集団に追いつかれる。
最後尾に付いていくことで、ゴールまでの距離をとにかく消化することを目標に頑張る。
リタイアすると山岳賞も中間スプリントも貰えない可能性があるので、頑張る。
もともとは普久川ダムまでのハズだったので残業。
残業だが、ゴールすれば賞品とかもらえるのでサービス残業ではない。
頑張って走っていると、後ろから名前を呼ばれる。
一瞬、反応するか悩んだが、仕方が無く後ろに下がっていくと、チームカーからボトルを渡される。
残りの距離が50kmを切ろうか、という段階なので集団に残っている、中島さん、椿、大喜に2本ずつ、計6本のボトルを押し付けられる。
3本で一度前に上がろうとしたのだが、呼び止められて6本渡された。
そして受け取っている最中に体が攣った。
満身創痍に片足突っ込みつつ、ボトルを持って前に上がる。
全員に1本ずつ配り、2本目を渡そうとすると全員受け取り拒否。
体を攣らせながらも受け取ってきたボトルを、拒否される、これは中々に酷いと思った。
この3人は恨むことにする。
これからは、誰かがボトルを運んできてくれたら、とりあえず受け取ることにしよう。
何処で恨まれるか分かったものじゃない。
その後、再び最後尾周辺で休んでいると、ラスト40kmを切るくらいで再び呼ばれる。
流石に今回は無視しようと思ったが、仕方が無く下がる。
先ほどが2秒ぐらい悩んだとしたら、今回は4秒くらいは悩んだ。
下がっていくと「大喜に渡して」と茶色の液体が入ったボトルを渡される。
後から聞いた話だと、コーヒーが入っていたらしい。
ボトルを受け取って前に上がっていくが、登りが始まる。
この登りは結構長いので、千切れる可能性がある。
左コーナーのイン側から一気に上がろうとしたが、集団が詰まりブレーキする羽目になる。
スペースが出来たところで踏みなおして一気に前へ。
「大喜!ボトル!」と叫ぶと「いらん!」と言われたので「とりあえず受け取れ!」と言って押し付ける。
受け取ったボトルを見て「あぁ、これか」と言って納得した様子。
自分はボトルを渡したところで千切れる。
チームカーの石田監督から「お疲れ様。あんまりゆっくり走り過ぎると、リタイアになるから気を付けてね~」と声をかけられたので、タイムリミットが8%であることを確認して離れた。
後はタイムリミットをオーバーしないようにペースを調整してゴールした。
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感想

今年の最終レースという事で、シーズンオフに入りかけていたが少し気張ってみた。
後半の事を心配せずに思いっきり逃げることが出来たので、中間スプリントと山岳賞を獲得できた。
自分個人の結果は望めないだろうと思いつつ参加したレースだったので、思いのほかいい感じで終えることが出来たので、少し嬉しかった。
最初の普久川ダムを越えてからは常に体が攣る状態と隣り合わせだったので、走り方にかなり気を使った。
千切れてからも、大失速することなくゴールまで走ることが出来たので、シーズン最後のレースとしてもイメージの悪くない終え方をすることが出来たと思う。
来年に向けての準備を進めていきたい。


キツさレベル
10
早々に体が攣り始めたので、かなりハードなレースとなった。

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2019/11/18 (Mon) 22:44 | EDIT | REPLY |   

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