シュヘルデプライズ
ベルギーでのHCクラスのワンデーレース、シュヘルデプライズに出場して来ました。
距離は204kmで完全な平坦で、ラスト50kmは13kmの周回を3周するコースした。
レース前のミーティング
自分への指示はレース開始後は自由に動いて逃げてもいいが、逃げに乗れなかった際にはスプリンターのマリーニの側で待機しておくという内容でした。
レースレポート
4日前のボルタリンブルグクラシックの悪天候が嘘のような晴天の下レースが行われました。
ベルギーのレースでは初のほぼ無風でのレース。
HCクラス初の完走になるか?という期待が持てる。
パレード走行は今回は10kmほど。
パレード走行終了後からいつもどうりアタック合戦開始。
自分も前に出ようとするが中々難しい。
しばらくすると道路の中央にタイヤ1つ分ほどの溝が出てくる。
嵌ると危険なので集団も若干真ん中を避けて進んでいく。
しばらくして集団先頭まで出る事ができた。
アタック開始。
いつもは「行けそう!」と思えば本能の赴くままにアタックをかけていたが、今回は頭を使うことに。
まず、単独になってしまっては逃げる事はできない。
よって自分からアタックするのはほぼ無駄。
逃げが決まる時には複数人が固まっていくはず。
という事で複数が飛び出すまで先頭付近にとどまるために頑張る事に。
ヨーロッパ2年目にして少し賢くなった。
飛び出しに反応できる位置に待機。
この時に後ろから上がってくる流れに飲み込まれて集団に吸収されないように気をつける。
5人以上が行く気配になったら最後尾に飛びつく。
逃げようとしているメンバーの様子を伺い、他がやめたら即座に自分もやめる。
集団に追いつかれた際に中央に飲み込まれるのでは無く端に寄っておくことで先頭に上がる流れに乗りなおす。
これを何度も繰り返し先頭を維持。
自分からアタックに行くわけでないので足へのダメージも比較的軽く何度も対応する事ができる。
アタックに反応するインタバール能力も、レースで毎回最後尾を引きずり回されていた事で上がってきている気がする。
しかし中々逃げが決まらない。
チームメイトも上がってきてアタック合戦に参加する。
バッティングしてしまわないように気を付けながらアタックへの反応を繰り返す。
コーナーの連続する区間に入る。
速度のアップダウンとコーナーでの位置取りが上手くできず集団に飲み込まれる。
コーナー連続の区間が終了し幅の広い道に出るが、集団自体が道幅一杯に広がっており前に上がることができない。
それでもなんとか前に上がろうと道路の右端ギリギリを走っていたが、集団の前方のメンバーも飲み込まれかけては上がりなおしを繰り返しているので後方の選手は一向に上がれない。
しばらくすると逃げが決まってしまったようでペースが落ち着く。
自分はマリーニを見つけて集団待機。
逃げが決まった時点で30km地点ほど。
そこから100kmほど、130km地点ぐらいまで安定したペースで進む。
途中で踏み切りで集団が止まったり、アスタナから執拗に文句を言われたりした。
130km地点から徐々にペースが上がりだし、チームも固まって集団の前方を維持しだす。
自分も遅れないように気をつけながら付いていく。
150km地点あたりから位置取りが本格的にシビアになっていき、チームもバラけだす。
自分も集団中ほどまで下がってしまう。
周回コースに入る。
後半になるほど位置取りが激しくなるのは明白なので何とかして前に上がりたい。
集団の端から隙間を見つけては足を使って上がるがコーナーで後ろに下がるというのを繰り返す。
集団の後方には自分以外にもチームメイトのイタリア人が2人飲み込まれて下がってきていた。
上がり直そうともがいた事と、周回でコーナーが連続する事により集団が伸び縮みを繰り返した事で足が一杯になり、いつもの如く集団最後尾に張り付く事になる。
集団最後尾はレースにおいて最高速度が出るポジションでもある。
ほぼ無風の平坦だった今回でも60km/h以上を何回か見た。
なぜ、そういうことが起きるのか?
まず、集団先頭は選手同士が肩が触れ合うような危険な状態で進んでいく。
そしてそのままコーナーに入っていく。
その時、集団前方はほぼペースを落とさずにコーナーを曲がる。
しかし、集団の中盤から後方の選手はなんとか前に上がろうとコーナー入り口に我先にと殺到する。
その結果、密集具合が半端なく上がってしまい、危険なためブレーキしペースがかなり落ちる。
だいたい半分以下の速度になってしまう。
従って、先頭は速いが後方は遅いという速度のギャップが生まれる。
だからコーナーでは集団が伸びる。
ここから地獄が始まる。
コーナー抜けた後。
集団の前に出たい。集団から遅れたくない。位置をキープしたい。
といったそれぞれの思惑が絡みながら集団が元の形に戻ろうとする。
縦に伸びた集団が元の団子状に戻ろうとするのである。
当然ながら先頭はそんなことを気にしないのでハイペースで進む。
だから後ろはそれを越えるハイスピードで追いつく。
その速度アップは後ろに下がれば下がるほど大きく長くなる。
集団内の位置取りに失敗したり、力が無く下がってきた人間を容赦なく鞭打つところが集団最後尾である。
一度最後尾まで落ちてしまうと集団のペースが落ちない限り延々とダメージを負い続ける事になる。
最後尾で粘り続ける事2周。
ラスト周回に入った瞬間今まで以上にペースが上がった。
今までは先頭が見えていたのに完全に一列状態で、集団先頭は遥か彼方のコーナーの先に見えなくなっている。
しばらく耐えたが、それまで鞭打たれていたダメージも重なりとうとう千切れる。
自分が千切れた直後に、自分の前の6名ほども千切れたので合流した。
そのメンバーでローテーションしてゴール。
結果は5分36秒遅れの170位。
感想
ほとんどの選手が完走したレースではあったが、HCクラスのレースで完走できたのは嬉しかった。
周回コース内にあった1kmの石畳もそれまでに走っていた石畳が強烈だった事もあり比較的楽にクリア出来た。
アタック合戦での前方維持の仕方も段々と分かってきたような気もするので、次に生かしたい。
しかし終盤で前を維持するのは未だに難しいのでなんとか克服したい。
集団の後方に下がってしまっては前に上がるのは、やはりほぼ無理という事を再確認した。
余談
レース後に結構テレビに映っていたと教えてもらった。
どうやら、「小さい日本人が『まだ』集団最後尾で粘っている。」
と紹介されていたらしい。
いずれは前にいることで紹介されたいと思う。
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