全日本選手権ロードレース 2015
全日本選手権ロードレース
距離:240km
天候:曇り
栃木県那須市で開催。
コースは16kmの周回コースを15周する240kmのレース。
周回コースの前半は下り基調の平坦が続き、その後アップダウンを繰り返しながら登り、スタート地点に戻るという周回コース。
レース前のミーティング
前日にミーティング。
注意しておきたい選手の確認とコースに対してどう感じるか?という確認。
自分の感じとしては、逃げに後ろから選手が追いついてくることによりいつの間にか逃げがメイン集団になっているという、前合流の展開になるのではないか?と予想した。
その為、決まりそうな逃げには反応していき常に前々でレースを展開していけるようにしたいと考えた。
指示というよりアドバイスとして、逃げに乗りに行く際にはしっかりとメンバーを見て乗っていくこと。
またメンバー的に無駄な逃げになりそうだと判断できるようなものであれば踏まずにさっさと潰してしまい仕切り直した方が良い。
注意しておくべきなのは良いメンバーを揃えてきているアンカーと愛三と右京という話になった。
レースレポート
昨年上位ゴールという事で集団前方からスタートすることが出来た。
トイレに行っていたこともあり、スタート2分前にスタートラインに並ぶ。
少し遅く来すぎたか?とも思ったが自分よりさらに後に佐野さんが来たので安心。
号砲でスタートするが初めの2km程はニュートラルスタートで、先導車の後ろに付いて走る。
先頭でうまいこと位置取りしながらレース開始。
アタックが散発し、行っては吸収を繰り返すがあまり良いメンバーが行かないので様子見。
半分ほど進み直線的な長めの登りへ。
取りあえず様子見の全力アタック。
頂上が見えたあたりで減速してくるが誰も抜きに来ない。
後ろは結構きついのだろう。
当然自分もかなりキツイ。
後でデータを確認したがこのレースの最大心拍の189bpmをマークしていた。
頂上前で後ろから抜かれる。
集団は伸びているが付いて来ている。
そんな簡単には決まらないのだろう。
今ので結構足に来た。
自分からは行かずにメンバーを見てチェックに入り足を回復することに。
良い選手が行けば反応する。
中々決まらない。
2周目に入る。
相変わらず決まらず。
常に先頭ではなく、10番手辺りでいつでも反応できるように備えつつレースを見る。
再び直線的な長めの登りへ。
また心拍189bpmだった。
しかしそこでも決まらずアップダウンを繰り返す。
常に前で展開していることもありキツイ。
しかし、今まで苦しんできたヨーロッパでのアタック合戦に比べると楽。
とは言っても動きすぎている感はある。
少し落ち着いた方が良い。
出来れば水が欲しい。
頭から被っていろんな意味で頭を冷やしたい。
3周目に入る。
街中を過ぎて下る。
4km地点で集団右側から佐野さんが前に上がっていく。
これは怪しいと思い後ろに付いて上がっていく。
予想通り佐野さんアタック。
しかし、下りで集団のペースが上がっていたこともあり集団との速度差がイマイチ。
即座に反応せずにワンテンポおいてアタック。
すぐに佐野さんに追いつく。
佐野さんが後ろをチラッと確認してグイグイ踏んでいく。
登りの途中で交代。
自分が先頭で一気に踏んでいく。
登り切った辺りで後ろから「開いている!」と誰かが叫ぶ。
下り出しでグッと踏んでペースを乗せてから先頭交代。
下りきったところで後ろを見ると離れている。
しかも逃げのメンバーがかなりいる。
この逃げが決まる。
バイクが上がってきてタイム差45秒。
この時逃げのメンバーが20人だという事を知る。
かなり多い。
見た感じかなり良いメンバーが乗っているし、チームメイトの石橋もいる。
3周目完了でタイム差1分半。
2名の追走がいるみたいだが追いついては来ないだろう。
無いとは思うが今のタイム差ではメイン集団に簡単に潰される可能性もある。
もう少しタイム差が欲しいと考えペースを上げる。
差がある程度開いた為逃げのペースが落ち着く。
逃げのメンバーは、
NIPPO自分と石橋。
ブラーゼンの佐野さん。
アンカーの西薗さん、井上さん、初山さん。
右京の土井さん、平井さん。
ブリッツェンの増田さん、堀。
愛三の小森さん、平塚さん。
シマノの木村。
キナンの水野さん。
あとは実業団チームから6人。
かなり良いメンバー。
主要チームは大体2人乗せておりアンカーに至っては3人もいる。
どのメンバーも強力で狙える選手が揃っている。
この逃げは決まらない。
協力し合っている状況ではあるがお互いに腹の探り合いがあるので全力で逃げ切ろうという意思は薄いだろう。
少なくともこのままのメンバーだけでゴールまで行くというのは100%ない。
後ろからの合流が有るか、一度吸収されてからもう一展開絶対にある。
ここで足を使ってしまっては後半で動けなくなる。
石橋にも足を温存しておくように伝える。
自分が見る限り各チームのエース級の選手が乗っている。
しかし、自分の予想では愛三の2人はエースでは無いはず。
それであれば愛三はメイン集団に戻って逃げを潰しに来る可能性がある。
その作戦を取れば愛三も足を使うことになるのでどうするかは分からないが。
5周目に入るタイム差は5分以上開く。
下りきって登りだす。
平塚さんがパンクしたようで、登りの途中に居た愛三の監督の西谷さんのところに小森さんと2人で止まる。
そのまま逃げには戻ってこず。
逃げ集団内では、愛三は後ろにいるエースで勝負する為に2人を戻したのだろうという予想で「漢だ、漢な作戦だ」という声が上がっていた。
愛三が後ろに戻り集団の牽引を始めたこともあり、この周の終わりにはタイム差が3分40秒にまで詰まっていた。
逃げも危機感を感じ協力してローテーションを回すがイマイチ上手く噛み合わない。
6周目に入る。
タイム差も徐々に詰まってくる。
6周目の終わりで大門さんから後ろを待てという指示が出る。
追いつかれるのは確実なので足を溜めておいて次の展開に備えろという事だろう。
タイム差が縮まりながら6周目が終わり7周、8周も終わる。
9周目に入りタイム差は1分を切ってくる。
逃げのメンバーも後ろを気にし出してはいるが流石にまだ集団は見えない。
下り切り登りが始まったところで、逃げのメンバー内でアタックがかかりだす。
吸収される前に飛び出して新しい逃げを前で待ちたいという動きだ。
しかし全員遅れたくはないようで、アタックがかかっては捕まりを繰り返す。
当然ペースも安定せず加速したり緩んだりを繰り返す。
9周目が終わる。
タイム差は20数秒。
土井さんの提案でアタックの掛け合いをやめて全員でローテーションすることに。
実際誰も飛び出せる可能性は無かったので、かなり無駄な打ち合いではあった。
アタックの打ち合いをやめたせいか、集団がペースを落としたのか、下りきるまでは吸収されず。
登りの手前で後ろを確認すると集団はすぐそこまで迫ってきていた。
この感じであれば1回目の登りの途中で追いつかれるだろう。
登りに入る。
予想どおり集団に追いつかれる。
登りでアタックがかかり自分も反応する。
下りも飛び出していたが、決まらず10km手前の2回目の登りの入り口で捕まる。
カウンターで凄い勢いでアンカーの選手が飛び出していく。
速すぎて誰が行ったのか分からなかった。
しかし早すぎたことが災いし、単独での飛び出し。
登りもゴリゴリ踏んでいってドンドン差が開いていく。
ブリッジをかけようとする選手もいたが吸収。
飛び出したのは内間さんだった。
流石に内間さんでも1人で残り5周半を逃げ切るのは無理だろう。
でも、前で合流するのは有りだ。
少し足を溜めるために大人しくし、10km過ぎ辺りの3回目の登りが始まると同時にアタック!
同じことを考えていた選手が他にもいたようで再びアタック合戦に。
アタックが続きながら軽く下って緩やかに上る。
長めに下る!という手前でニュートラル規制が入る。
集団内に何が起きてる!?という混乱が生まれるが、女子のレースのゴールに被ってしまうためレースを一時中断するというアナウンスが聞こえる。
12km地点辺りで完全に停止。
内間さんも集団前方で止められており、タイムギャップを取って再スタートするとのこと。
コリアを思い出す。
女子との距離が十分取れたようで、まず内間さんが再スタート。
少し間をおいて集団も再スタート。
一度止められたせいで勢いを失い、集団はアタックがかからずまとまってゆっくり進む。
10周完了残り5周。
下りきるまで集団はゆっくりのペースで進んだ。
登り出しからアタックの掛け合いが再開。
しかし今回はなかなか激しい。
ブリッジをかけたいにしても延々とアタックが続き中々決まらない。
ふと気づくといつの間にか内間さんが集団に帰ってきている。
そこで、新しい逃げを作る為にアタックが続いていたのだと理解する。
11周が完了し残り4周。
下りでもアタックが頻発し自分も乗っていく。
かなり激しいアタック合戦になっている。
ここで飛び出せば展開によっては逃げ切りもあり得るので全員ガチ。
下り切った地点で自分を含む10数名の大きな集団が先行していたが、それも登りが始まると吸収される。
途中でキナンの伊丹さん単独で飛び出す。
集団のペースが緩み差が開く。
しかしすぐに集団が活性化しアタックが続く。
自分もブリッジをかける為に全力で行ってみたが、少し飛び出しただけで前には追いつけず吸収される。
流石に行き過ぎている。
そろそろ休まないと最後まで勝負出来なくなる。
残り3周。
集団内に戻り休憩する。
自分と入れ替わるような形で石橋が前で動く。
集団内で中切れに注意しながら足を回復させる。
残り2周。
下りきって登りが始まるとペースが一気に上がる。
いつの間にか伊丹さんが吸収されて最後に向けての本格的なアタック合戦が始まったのだろう。
登りで割れかけている集団の前に飛びつく。
ここで遅れてはどうしようもない。
集団はハイペースで縦に伸びている。
道が細くなり曲がっているせいで先頭の様子が見えない。
10km地点からの下りで前が見える。
少数が飛び出し、それを10名ほどの集団が追い、さらにその後ろに3名追走、そして集団という形。
出遅れた。
先行している集団には有力チームのジャージが見えた。
これは潰すか乗るかしないとまずい。
しかし、幸いメイン集団のペースも緩んでいない。
無駄足は使わず、ペースが緩むタイミングか、自分だけ乗れそうなタイミングで飛び付こう。
登りでタイミングを見て全力で前へブリッジ。
追いつく。
が、集団も追いついてくる。
そのままの勢いでアタック合戦を繰り返しながら進む。
かなり強烈。
後ろを振り返る余裕も無く、先頭付近でとにかく前へ前へと動き続ける。
ラスト1周。
余裕のない中で後ろを振り返るといつの間にか10名程で集団から飛び出している。
いつどこで飛び出したかは分からないが取り合えずチャンス。
バイクが上がってきてタイム差30秒!
かなり良い!
しかし、強力なメンバーもいる。
ラスト1周で逃げ切れるかもしれないこの展開に至っては、もはや一緒に逃げる強い選手は自分の邪魔にしかなってこない。
しかも散々動いたせいで自分の足は相当限界。
二の腕はほぼつっている。
ここは動いてはいけない。
とにかくこの逃げで上手く粘り、攻撃に耐えて最後の登りで仕掛けるしか勝ち目はない。
おそらく他の選手も相当限界なのだろう、ラスト8kmを切っているにもかかわらず全員が協力して逃げる。
下手に仕掛ければ、逆に振り落される。という考えや、優勝は要らないからこの逃げでゴールまで行ってとにかく上位に入りたい。という考えがあるのだろう。
集団からブリッジをかけるのに成功した有力選手が増えてくる。
ラスト4kmからの登りで仕掛ける。
そう思って備える。
しかしラスト5km手前の登りで土井さんがアタック。
単独で飛び出す
仕掛けるのが早い!
しかし土井さんであれば逃げ切られる可能性もかなり高い。
自分も1位しか狙っていない以上、ここで遅れるわけにはいかない。
少し遅れて自分も飛び出す。
しかし、予想以上に早いタイミングのアタックで戸惑ってしまったこともあり追いつけない。
なにより土井さんが失速せず力強く踏んでいき差が少しずつしか詰まらない。
このままでは追いつく前に自分の足がなくなってしまう。
全力で追い続けたが集団に追いつかれ、抜かれる。
完全に足を使い切ったことで失速。
集団に付けず遅れる。
そして千切れた状態でゴール。
29位。
感想
結果を残すことは出来なかったが、自分の全力を出し切って走ることが出来たので満足のいくレースをすることが出来た。
途中でも書いたが、全日本選手権は1位のみに意味のあるレースだと思うので、プロとして結果を残せなかったというのは良くなかった。しかし、結果を残すために自分のスタイルで今できる全てのことはやり尽したと感じたのが今回のレースであったので情けないという気持ちは無かった。
今回は展開が自分向きでは無かったし、コース的にも逃げが決まるコースでは無かったという事だろう。もっとも、その中でも勝てるというだけの実力を付けないといけないというのも事実だとも思う。
最後の付くことが出来なかった土井さんのアタックを自分が出来るくらいに力を付けれれば今回のレースでも結果は違ったかもしれないと思う。
レースに対して満足は出来たが、これからの全日本選手権で勝とうとするのであれば、今の実力で満足していてはチャンスは無いし、ヨーロッパで戦うためにもさらに力を付ける必要があると再確認できたレースだった。
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