ジロ・デ・イタリア 16日目
ジロ・デ・イタリア 16日目
クラス:WT ステージレース
開催国:イタリア
日程:5月24日
距離:132km
天候:晴れ
起床時体重:61.1
起床時心拍:45
出場チームメイト:ダミアーノ・クネゴ、アレサンドロ・ビソルティ、グレガ・ボーレ、リカルド・スタキオッティ、エドワード・グロス、山本元喜、ジャンフランコ・ジリオーリ
コースプロフィールは省略。
レース前のミーティング
今日もクネゴの山岳リーダジャージを守る為に全員でクネゴを援護するという指示。
レースレポート
結構前でスタートラインに並びパレードスタート。
眺めのパレードで位置を上下させながら良い位置でレース開始。
スタート後はしばらく集団内に居て様子を見る。
何度かアタックがかかった後結構な人数の飛び出しが出来る。
クネゴがどこにいるか確認すると集団内に居る。
これはマズイ。
急いで集団の先頭に上がろうとするが、追撃のアタックもかかっており速度が速く中々上がれない。
無線から「追いかけろ!」という指示が出る。
誰か分からないが前に出れたNIPPOの選手が他の追いかけたいチームと一緒にローテーションを開始している。
自分も急いで前に上がらないといけない。
少してこずったが前に上がれた。
そこから前を追うローテーションに入る。
そこまで長く引きすぎないように気を付け変わる。
先頭から5番目くらいの位置に入るが集団先頭付近は協調が上手く取れていない。
というよりあえて乱しているチームが居る。
LOTTO JUMBOだ。
逃げを追いたいのはNIPPO、バルディアーニ、モビスター辺り。
LOTTOが集団先頭付近に位置取ることで逃げを追いたいチームが前に出にくくなっている。
恐らく総合順位を脅かす選手が入っていない逃げなのだろう、LOTTOとしてはさっさと逃がしてペースをコントロールしたいのだろう。
LOTTOに阻まれながらも協力して前を追うが30秒差から詰まらない。
前も全力で逃げようとしているので当然だろう。
しばらく追いかけていたが疲れて来た。
少し後ろに下がったところでロータリーが来て集団内での位置をかなり落としてしまう。
前に上がるのはかなり厳しい状況。
上がれないし上がらない方が良いと判断。
理由は今日のタイムアウトのリミット。
レース前に確認したところによると今日は10%。
距離とコースプロフィール的に今日のゴールタイムは3時間半程。
恐らく打ち切りはトップのゴールから21分程のハズ。
しかも今日のレースは距離が短いので前半からペースが上がりグルペットが発生するのが早い可能性が高い。
グルペットが早くできる割にタイムアップの時間が短い。
要は高速のグルペットが出来る可能性が高い。
出来る限り集団に近いグルペットに入る必要があるしグルペットに入ってからも速いペースに耐える必要がある。
どちらに対しても足を残しておかなければ対応できない。
ここで出し切って「仕事したぜ!」なんて言っている場合では無い。
そこから登りに備えて集団内で待機する。
と言っても登りの始まりまで残り10km程。
足に結構キテいる
正直やり過ぎた。
そもそもスタート時点でも「コンディションが最高」とは感じていなかったのでかなり不安。
しかし、今日のステージの内容を自分で確認した時点で今年のジロで一番キツいステージになるかもしれないという覚悟はしていたので心の準備は出来ている。
登りが始まる。
付いては行けるが結構キツイペースで登りだす。
出来ればここではグルペットに入りたくない。
中切れが発生する。
最後尾で登りだしたので集団と開いた差を埋める為に更に踏まなくてはいけない。
キツイ。
3度程前との差を埋める。
これは付いて行けないかもしれない。
そう思っていると前の10人ほどがゴッソリ遅れる。
グレガも居る。
集団に追いついた方が良いかと思い、前に上がろうとするとグレガに「俺の後ろに居ろ」と言われる。
言葉に従って後ろに付いていると、その後集団はさらに加速し離れていく。
もし前に追いついていてもその加速で遅れただろう。
グレガのおかげで無駄な足を使わずに済んだ。
集団が加速したことにより、自分達のグルペットの前に千切れた選手の小集団が複数出来る。
その集団を少しでも吸収して大きな集団にする為にペースが上がる。
かなりキツイ。
今にも千切れそう。
というか、前と車輪1個分ぐらい離れている。
他にも苦しんでいる選手がおり、後ろから怒りの叫びが聞こえてくる。
しかし先頭でペースを上げている選手はそれを無視。
登りで千切れる弱い選手を残す事よりも前から千切れてくる少しでも強い選手を取り込む事を優先したいという事だろう。
このペースに付いて行ける選手は文句が無い。
むしろ少しでも大きく強い選手の多い集団にしたいので「助かる」という感じだろう。
また、前にも書いたが、ペースが速いのには遅れたタイミングが早いので前からの遅れを少しでも抑えたいという思いもあるだろう。
千切れそうだが何としても耐えなければいけないというペースがかなりの間続く。
相当キツイ、本当にかなりキツイ。
前回の「完走を諦めようかと思った」くらいキツイガ、今回は覚悟が出来ていたので耐えれる。
ここで耐えれなければ、ここまで耐えて来た全てが無駄になる。
耐え続けていると前に居た遅れて来た選手を吸収しきってペースが安定する。
山頂まで7km程。
そこから若干休みつつ登る事が出来た。
下りに入る。
爆速で下る覚悟は出来ている。
前から少しも離れずに全神経を集中して下る。
ここで集団から遅れるようなことが有れば更にしんどい状況になる。
2週間かけて鍛え上げられた下りの技術のおかげで集団の前方で下り切れた。
そこから平坦区間。
全力でのローテションが始まる。
最後にある登りのためにも足を使いたくない。
集団の後方で出来る限りローテーションに加わらないようにして付いて行く。
それでも人数が30人ほどで、全力でローテーションしているという事もあり何度か前に出ることになった。
そして110kmから始まる登りへ。
先頭とのタイム差10分。
残り10分しか遅れれない。
余裕はかなり少ない。
登りだして気付いたがこの登りはトレンティーノの2日目に走ったラストの登りと同じ。
勾配はそこまでキツく無かったハズ。
無線から「登りは10km」と情報が入る。
(まぁ、そんなものか、そこまで長くないな……)
そう思い、そう思ってしまった事に対してジロを走り出してから登り過ぎていることで感覚がマヒしてきている事に気付く。
そこから自分にとっては余裕のあるペースで登る。
周りには相当苦しそうな選手もおり、そういう選手を見るとより楽に感じる。
山頂付近で無線から「打ち切りの時間が迫っている!」とかなり焦った感じで情報が入る。
下りで爆速になることを予想し集団の先頭から10番手以内まで上がる。
残り10kmのゲートを越えて下りへ。
予想通り爆速で下る。
しかしトレンティーノで下っていてだいたいの感じを覚えていた事と、コーナー自体がそこまで深く無いおかげであまり苦労することなく付いて行けた。
そしてラスト5kmを越えて再び登りだす。
他のチームにも打ち切りが近いという情報が入っているのだろう、ペースが相当速い。
先頭付近で下り切ったこともあり自分も先頭に出る。
この場面では「足を温存」等とほざいている場合では無い。
引いた後に千切れない程度に全力で先頭を引いて変わる。
残り3kmを切る。
そうとうペースが上がる。
とてもグルペットとは思えない状態。
無線からは「追い込め!追い込め!時間がもうない!」と聞こえ。
後ろからは「ふざけんな!ペースを落とせ!」と置き去りになりたくない選手が叫ぶ。
一向雲早くゴールする為に半端無いペースで登る。
グルペットが分解し出す。
少しでも完走の可能性を上げる為に自分は先頭の集団に付いて行く。
マジでキツくて千切れそうになるがとにかく耐える。
ラスト1400mの看板が出る。
ここからは100m毎に看板が出る。
ラスト1kmを切り道がフラットになる。
こうなれば後は付いて行くだけでいい。
全力で前に付いて行きゴールした。
感想
覚悟は出来ていたので良かったがやはり相当キツかった。
ゴールしたタイミングで「先頭から何分遅れているかの表示」を確認すると17分台。
意外と余裕があったのか?と思ったが、自分がゴールしたのが17分57秒、打ち切りタイムリミットが19分41秒。
打ち切りまで2分を切っており、最後に追い込んでいなければ恐らくグルペットが抹殺されていた。
ちなみに132kmのレースで獲得標高2500m、自分のグルペットで平均速度38.4kmは速すぎると思う。
トップに至っては時速40km越え……頭おかしい。
ラスト10kmからの下りで最高時速96.4kmをマーク、素晴らしい。
レース後に道に迷って1時間ぐらい彷徨った。
キツさレベル
10
距離が短かったから良かったとか言っている場合じゃない。
途中で休んで回復させた足もレース終盤に出し切ったと思う。
明日に疲れが残っているのは確実だと思うので覚悟して明日に挑みたい。
amazonをお気に入り登録される際はこちらからどうぞ!山本元喜のYouTubeチャンネルはコチラ!
山本元喜の本はコチラ!