ツール・ド・サンルイス2016 3日目
ツール・ド・サンルイス 3日目
クラス:1クラス ステージレース
開催国:アルゼンチン
距離:131km
天候:晴れ
コースはエル・ポトレロ・デ・ロス・フォネを出発し南東に曲がりくねりながら向かい、その後北東に向かって真っすぐ上がって行き、湖を2周してから来た道の近くを引き返していきラ・プンタでゴールする小さなアップダウンが連続するコース。
23.9kmと56.4kmに3級山岳ポイント、119.6km地点に2級山岳ポイント、30kmと90m地点に中間スプリントポイント地点が設置されていた。
レース前のミーティング
ホテルでのミーティング後に車で移動、スタート前に個人的に監督のジュリアーニに話を聞きに行く。
今日は回復する事を一番に考えて動くようにという指示。
無理に前に上がる必要は無いし、最後の登りもしんどいと感じれば千切れてゆっくりと帰ってくればいい、レースは明日が山岳ステージでキツイから今日も頑張ってしまうと明日ゴールする事すらできなくなってしまう。
という事で今日は回復日。
レースレポート
スタートラインにチームのメンバーと一緒に並びに行く。
今日は昨日よりも先頭に近い位置に並ぶことが出来た。
14時59分にレース開始。
日が沈むことが遅いこともありレースのスタート時間が平均的に遅い。
スタート後本日もパレードスタートが有った。
昨日と違い前に上がる必要も無いためリラックスした状態で走る。
左から白いジャージの選手に抜かされた。
去年の世界選手権で優勝したサガンだった。
このレースはカテゴリ的には上から3番目の1クラスと呼ばれるレース。
この上にはHCクラスとWT(ワールドツアー)クラスがある。
上から3番目のクラスのレースという位置づけではあるが、この時期にヨーロッパでは雪などでレースが開催できないこともあり、強いチームや強い選手が結構出場している。
上に書いたサガンやイタリア選手権優勝者のニーバリ兄(ちなみに弟のアントニオ・ニーバリはNIPPOで出場しており自分と同部屋)、登りが半端無く速いキンタナなど、あまり選手の名前を知らない自分ですら知っている有名選手がかなりいる。
そういった選手の中で走れるのもかなり貴重な経験でもある。
いつの間にかリアルスタート地点を過ぎておりレースが始まる。
開始早々下り基調の曲がりくねった道へ。
結構怖いがあまり遅れ過ぎないように気を付けつつ走る。
下り切ったところで大きな道に出る。
そのころにはほぼ最後尾近くで少し前からは遅れていた。
無理せず余裕を持ちつつ他のチームの選手と一緒に集団に追いつく。
追いついたところで集団の前方を見ると結構な人数の選手が逃げていたように見えた。
ほぼ最後尾から見たので詳しくは分からない。
しかしアスタナやいくつかのワールドツアーチームが逃げに入っていたのは確認することが出来た。
その後逃がしたくないチームがペースを上げてしばらく速いペースが続いた。
その間自分は集団後方で遅れないことだけに気を付けて付いて行く。
そこまでしんどい感じではない。
しばらくしてペースが落ち着く。
逃げが決まった。
そこからはペースが落ちてレースが進む。
チームのメンバーがいるところまで行って一緒に走る。
良い具合にタイム差が開いたのだろう、再びペースが上がりだす。
そこまでしんどくも無いのでチームのメンバーと一緒の位置で走る。
湖の周回に入る。
結構ペースが上がって来た上にアップダウンが激しくなって来る。
少ししんどいと感じたので後ろの方に下がる。
チームのメンバーがいる集団中盤は大抵の選手が居たい場所でもあるので過密だ。
選手間の距離も近い上に少し気を抜けばすぐに抜かされてしまう。
落車が起きるのも大抵このあたり。
ペースが上がった際には中盤にいる方が有利であるし、遅れることもまず無い。
しかし、その分疲労も溜まりやすいし精神的にも疲れる。
自分は基本的には登りの入り口手前で集団の中盤手前ぐらいの位置まで上がっておき、登りに入ると周りより少し遅いペースで登っていく。
当然他の選手に抜かされていくので登り切ったころには集団のほぼ最後尾。
しかし、その分他の選手よりユックリ登る事が出来るので疲労が溜まりにくい。
そんなことを繰り返して2周目に入る。
集団後方にいるだけでチームの為に何もしないのは自己中心的過ぎて自分的に気分が良くないので、チームカーを呼んでチームメイトにボトルを運ぶことにする。
背中に5本のボトルを入れて集団中盤まで上がって行く。
チームメイトにボトルを渡し終える。
やはり集団中盤は疲労が溜まる。
集団後方に下がって休む。
2周目も終わり緩やかなアップダウンの直線区間に入る。
このころには逃げへ追いつく為にペースアップが始まっており結構速いペース。
そこそこしんどいとも思うが千切れるほどでもない。
ラスト25km地点を通過。
道が狭くなる。
そろそろ登りが始まる頃合いだろうか?
そこから5km程の間に3回落車が発生する。
どの落車にもNIPPOの選手が巻き込まれていなかったので一安心。
自分もこけはしなかったが、落車による足止めを受けて集団から少し遅れた。
他にも遅れていた選手は結構な人数いたので、その遅れた中でも絶対に集団に復帰したい選手を見つけて付いて行くことで集団に復帰できた。
絶対に集団に復帰したい選手とは、このレースで優勝したい選手や、その優勝したい選手を援護する役割を与えられているアシストと呼ばれる選手だ。
だいたい顔を見れば必死の形相で追いつこうとしているので分かりやすい。
登りが始まり遅れだす選手もチラホラ増えだす。
平坦のステージでスプリント勝負がしたいスプリンターと呼ばれる選手は無理に集団に付いて行って疲労を溜めるより、次の平坦なステージの日の為にユックリ登って疲労を出来る限り少なくしようという考えだ。
そもそもそういう選手は必死に集団に付いて行っても結局遅れてしまう場合が多い。
ある程度付いて行ったところで沿道から「逃げ集団と1分差」とスペイン語?で言っている声が聞こえる。
そこから更にペースが上がりだす。
諦めて遅れて行った選手も結構抜かした事だし、そろそろ遅れても大丈夫だろうと考え集団から遅れて自分のペースで登りだす。
レースには日によって「先頭がゴールしてから○%遅れたら失格になる」という時間が決められている。
例えば先頭がゴールするまで2時間かかったレースで5%と決められていた場合、先頭から6分遅れると失格になってしまう。
今回のように何日もレースが続くステージレースでは失格になってしまうと次の日からのレースに参加できなくなってしまう。
そうならない為にも集団から遅れた選手は、遅れた同士で集団を作り協力し合って先頭から遅れ過ぎないようにペースを維持する。
こういった集団をグルペットと呼ぶ。
そのまま自分のペースで登っていると前方に集団から遅れたグロースとスタキオッティがおり、そこに追いつき合流する。
2級山岳の山頂を過ぎ下りに入る。
下り切ってからは10名程のグルペットでローテーションしながらゴールした。
感想
回復する事をメインで考えて走ることが出来たのでリラックスして走ることが出来た。
去年に比べるといい意味で余裕が出て来ているようにも感じた。
それでも完全に回復という訳にはいっていないので気を付けたい。
このレースを走ることで今シーズンのレースに向けて調子を上げて行くことが出来るように気を引き締めつつ頑張りたい。
キツさレベル
4
今日のレース単体で見ればほとんどしんどく無かったという事で4。
蓄積している疲労も考えると数値はもう少し上がると思う。
昨日のキツさレベルは7だと感じたが、体に与えられたダメージは思っていた以上に大きいと感じた。
特にシーズンが始まって間もないという事もあり練習で長距離をたくさん走れていなかったことも原因ではあると思う。
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