イル・ロンバルディア 2016
イル・ロンバルディア
クラス:ワールドツアークラス ワンデーレース
開催国:イタリア
日程:10月1日
距離:241km
天候:雨のち曇り
出場チームメイト:ダミアーノ・クネゴ、グレガ・ボーレ、ピエールパオロ・デネグリ、イウリ・フィロージ、エドワード・グロス、小石・佑馬、山本元喜、ジャンフランコ・ジリオーリ
ロンバルディア周辺で行われたワールドツアーレースで、今シーズンのヨーロッパ最終レース。
レース前のミーティング
クネゴ、ジリオーリ以外は逃げを狙ってアタックに反応しろという指示。
レースレポート
スタート20分前に並びに行ったにもかかわらずかなりの人数の選手が並んでおり集団の前よりの中盤でパレードが始まる。
パレードの間に何とか前に上がろうと集団の左側から一生懸命前に上がる。
ワールドツアークラスのレースのアタック合戦のスピードはHCクラスよりも遥かに速いため、最初に前でスタートしなければ後から前に上がるのは至難の業。
石畳の町中をパレード走行で抜ける。
左コーナーでスリップを警戒して大回りにコーナーを回る選手が多く、左のイン側が大きく開ける。
「今こそが前に上がるチャンス!」と思いコーナーの立ち上がりで踏み込んで加速しようとする。
濡れた石畳でグリップを失った後輪が思いっきりスリップ。
そのまま進行方向に対して横向きになったまま滑り、バランスを崩して落車。
速度が出ていなかった上に落車するまでに立て直そうと粘ったこともあり怪我はほぼ無し。
その代りに心が傷ついた。
このロンバルディアでは去年もスタート直後にロータリーでスリップしてこけている。
呪われているのだろうか?
というか、レースが始まってもいないのに勝手に一人でスリップして落車は相当恥ずかしい。
バイクに急いで跨り直して再スタート。
しかし今の一連の出来事でかなり位置を下げてしまった。
リアルスタート地点を通過するが集団の中盤辺り。
前に上がるのはかなり辛そう。
レースが始まる。
アタック合戦が始まりペースが上がる。
やはり速い。
前に上がる余裕がない。
集団はコーナー毎に縦に伸び、コーナー立ち上がりにおいて全力でダッシュを繰り返す。
そのコーナー立ち上がりのダッシュがさっき落車したせいで怖くなり反応が遅れる。
毎回、前の選手から少し離れて前を追いかける。
しかもコースプロフィール的には平坦に見えていた前半部分もかなりアップダウンを繰り返している。
中盤から後半にかけての山岳が大きすぎるせいで縦の尺度が圧縮されたことで平坦に見えていただけなのだろう。
まぁ、このことに関しては大体予想していたので大きな問題ではない。
しかし、間抜けな落車で立ち上がりが怖くなるなんてことは予想していなかったので大きな問題である。
コーナーの立ち上がりは苦しいわ、登りではアタック合戦でペースが上がって苦しいわ、で休めるところが無い。
ペースが落ちた時にはアタックに反応するために少しでも前に上がろうとするので、そこでも苦しい。
その前に上がった分が登りやコーナーで後ろに下がってしまうことで帳消しになるので、もはや悲しい。
でも今日のコース的にレースに最後まで残るなんていう可能性はゼロ。
限界まで残れたとしても130km辺りの登りの入り口までだろう。
そんな感じである以上、スタートで動けなければ出場した意味は全くない。
その後も苦しみ続け何とか前に上がろうと、もがき苦しむ。
集団の先頭がペースを落としたタイミングでとうとう先頭に出ること成功。
30km過ぎ。
ここで「様子を見て反応するアタックを見極める」なんて言っていると集団に飲み込まれて終了なので、そのままの勢いでアタックに反応。
全然決まらず。
何とか集団の先頭近くにとどまって耐える。
かなりキツイ。
上がるために相当消耗しているし、1回反応しただけでかなり辛い。
でも前にいるだけでは意味がないので、ヤケクソ混じりアタックに反応。
キレが無さ過ぎて反応したはいいが、すぐに追いつくことが出来ず少し離れて追走。
あぁ、辛い。
後ろから抜いてきた選手の後ろに付いて前に追いつく。
4人で飛び出したが一瞬で追いつかれる。
脚が限界。
集団に飲み込まれ一気に位置を下げていく。
その最中にロータリーが現れる。
立ち上がりで加速する集団に苦しみ、遅れそうになりながら付いて行く。
そこからもアタック合戦は続き、ハイペースでアップダウンと伸び縮みを繰り返す集団の後方でガリガリ脚を削られていき「もう無理……」と思いながらヘロヘロになって付いて行く。
緩やかな登りで千切れそうになりながらほぼ最後尾まで下がってしまい下りへ。
湿った路面に警戒した選手たちがかなりユックリと下る。
一体先頭はどうなっているのだろうか……怖い。
安全に下り切り、平坦に入る。
凄い、凄い、勢いで集団が加速していく。
付いて行こうとするが千切れる。
千切れザマに前を見ると集団もブチブチに千切れている。
追いつける気がしない……。
チームカーの車列にバンバン抜かれていく。
諦めた選手がパラパラとやめていき、最終的に小石と合流し回収車に回収された。
そこからかなりの間、回収車からコースを見ていたが半端ない登りの連続で、千切れた選手がUターンしてきてショートカットしてゴールで待つバスに帰って行っていた。
一番長い登りの雰囲気はまさに富士あざみラインだった。
下りも道幅が狭くブラインドコーナーの連続、ガードレール無しのところもありかなり危険だった。
感想
今シーズンのヨーロッパ最終レースで気合を入れていたのだが爆散という感じだった。
前に上がるために苦しみ、コーナー立ち上がりで苦しみ、登りで付いて行けず苦しみ、下りでビビって苦しみ、苦しみのオンパレードという感じのレースだった。
とはいっても自分が経験したのはほんの初めの一瞬だったので最後まで残った選手がどれだけ苦しんだのかは、想像したくない。
コースプロフィール的にはジロでも似たような高低図のハードなステージがあったが、それをワンデーレースでやると初っ端だけでもここまでキツくなるのか……という感じだった。
やはり、その日の1勝のために全力を尽くすワンデーレースでは同じワールドツアーであってもレースの難易度は大きく変わるのだと改めて実感させられた。
キツさレベル
10
ありとあらゆる部分で辛かった。
頑張って粘ったが抵抗むなしく散っていったという感じだった。
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